入れ替わり not ラブラブ編 by 243さん

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「気にしないでください。
 …エヘヘヘ」

無理に作ったような笑顔を浮かべ、奈緒子は遠くを見あげた。
上田が不安になっているから、自分は頑張らなくちゃならない。
そう思っているのだろうか。
何もわからないまま身体が入れ替わったうえに勝手に身体を触られて、
いくら奈緒子とはいえ冷静でいられるわけがないのに。
上田の泣きそうな表情に気付き、奈緒子は上田の肩に手を置いた。

「ほら上田、私が来たからもう大丈夫!トリック見つけてあげますよ!」

元気な声とは裏腹に、置かれた手が震えている。
居たたまれなくなると共に情けなくなり、上田は緒子の手を払い除けた。

「…正直に言えばいい!軽蔑しただろう!?
 強がって俺を気に掛けたりするな!!
 そんなに俺は頼りないか!!」

一気にまくしたて、膝を抱えて布団に顔を埋める。



奈緒子は深くため息をつき、上田を強く見据えた。

「…私だって本当は怖いし、恥ずかしいですよ。
 でも、強がるとか気遣うとか、頼るとか頼らないとか、
 …そーゆー問題じゃないでしょう?
 二人の問題なんだから…向き合わなきゃ、何も解決しないだろ!!」

奈緒子は無理矢理布団をはがし、上田を押し倒す。
上田は奈緒子の豹変に驚き、動けなくなってしまった。

「え、やまだ…?」

「…上田さん。
 気持ち良かったですか?私の体…」

上田の耳元に息を吹き掛け、奈緒子は微笑んだ。
上田はなんとか起き上がろうと抵抗するが、なぜか力が出ない。

「…謝る、すまなかった。
 頼むから落ち着いてくれ…」

いつもと違う奈緒子。
自分に押し倒されるという状況。

感じたことのない恐怖だが、必死に意識を保つ。

「ねぇ上田さん…」

奈緒子の舌が、耳をゆっくりなぞる。
上田は必死に声を抑えた。
なんて感じやすいんだ、この体は。



…もう、どうなってもいいか…。
上田は抵抗をやめ、奈緒子に身を任せた。

「…なんだ、案外しぶといですね。
 これだけやれば気絶すると思ったのに」
「…。え?山田…」
「うん、からかったらすっきりした。
 上田さん服着てくださいよ、服」

からかわれた!?山田に?
…恥ずかしいというか、残念というか。
少し落胆しながら、上田は起き上がった。
ふと、奈緒子の動きが不自然なことに気付く。
妙に上田から体を背け、落ち着かない様子で視線が定まっていない。

「ん…?まさかYOU…」

背後からそっと股間に手を伸ばすと、指先が硬いものに触れた。

「!!んにゃー!!さっ触るな!!
 違う!!これは私の意志じゃなくて!」

奈緒子は必死に股間を隠して後ずさる。
よし、これで優位にたてる!
上田は勝ち誇ったように笑みを零した。

「…YOU、自分の裸を見て興奮したのか?
 山田奈緒子は貧乳の上にナルシスト、と…」
「違う!!何言ってるんだ!
 う…上田さんこそ、どうなんですか」



奈緒子は上田の足の間に無理矢理手を突っ込んだ。
上田はその衝撃で、仰向けに転がる態勢になる。

「こら、やっ山…」

既に濡れて愛液を滴らせるそこに、奈緒子は一気に指を突き刺した。
「っおぉあ!!…ぅくっ…」
「あ、大丈夫ですか?」
心配しているような言葉をかけるが、特に悪怯れる様子もなく
奈緒子はくちゅくちゅと中指を動かした。
乱暴すぎる指使いに痛みを覚え、上田は奈緒子の腕を掴む。

「ゆ…YOU、普通は、指とかはな、
 まず…慣らしてから、入れるものだ…っ」

奈緒子は試行錯誤しながらひとさし指をねじ込んだ。
二本の指でかき回され体が仰け反り、痛みで顔が歪む。

「知ってますよ、いきなり入れたら痛いじゃないですか」

何!?まさか…。
さらりと言ってのける奈緒子に、上田は思わず冷静になって問い掛けた。

「いつの間に。相手は誰だ?矢部さんか?」
「んなわけないだろ!!
 じ、自分で…。ときどき…」



ほっとしたと同時に、心臓が強く跳ねた。
起きたとき全裸だったのも、
自慰に励んでいる途中で寝てしまったからに違いない。
…ダメだダメだ、想像するな!

「…上田さん、顔真っ赤ですよ?」

最初は乱暴だったものの、奈緒子もコツを得たようで、
指先をねっとりといやらしく動かしだす。

「っあ…山田、やめたほうがいい!
 取り返しのつかないことになる」

奈緒子は手を止め、首を傾げて上田を見つめた。
俺のかわいい動作なんて見たくない…
と思いつつ、視線を返す。

「俺たちは、こんなことをする間柄じゃないはずだ。
 この手を離しなさい」

これは恋人同士だとか、性行為に飢えている人だとかがすることだ。
俺は山田が好きだし告白も一応したつもりだが、未だに返事はない。
山田は少なくとも俺に好意はあるだろうが、
返事がないということは恋愛対象じゃないのかもしれない。
もしくは自分の気持ちを認めたくないか、はたまた気付いていないのか。
俺ははっきりさせたかった。



答えを待っていると、奈緒子はやっと口を開いた。

「…いいじゃないですか、私の体なんだからどうしようと」

…やはり明確な返事はもらえないのだろうか。

「またわからないことを…。
 いいか、今YOUは上田次郎で…おっおぉう!」

奈緒子は再び指を動かしはじめた。
空いている左手で上田の手首を握り、切ない表情で訴えかける。

「っ上田さん!もう無理…!
 さっきからこの巨根疼くんですよ!
 どうにかしてください!」

奈緒子は上田の右手を股間に押しつけた。

「や、やまっ…うあっ、わかった、わかったから…!」

上田は反り立った巨根をズボンの上から扱いた。
お互いに激しく手を動かし、腰を揺らす。

「あっあぁん!何…すごい…!
 気持ちいい、もっとぉ…上田ぁっ」

奈緒子はこのままだと達してしまいそうだ。
この部屋に上田の服があるはずもないので、下着を汚すわけにはいかない。



「…っはぁ、う…っ
 山田、ズボン…脱げ!」

上田は一旦手を止め、ベルトを外しにかかった。
だが、奈緒子は初めての快感に酔い痴れてそこまで頭が回らない。
上田の手を掴み、再び股間に強く擦り付けて腰を振る。

「離すなぁっ!!…もっとぉ…もっと!!」
「っぐ…山田っ、出すなよ!?
 してやるから、とりあえず脱いっ…あうぁ…!」

奈緒子にかき乱されて、上田は力が入らなくなる。
…してはいけない、でもずっとこうしていたい。
混乱と快楽にうめつくされた頭の隅で、そんなことを思った瞬間。

「上田さん!!ああんっ、んやっ…なんか変…!!
 …ふっやああぁぁっ!」
「っやまだ!…うああっ!」

奈緒子の体ががくがくと揺れて崩れ落ちる。
同時に奈緒子の指が膣内の奥に突き立てられ、
上田も声を上げて果てた。



「…はぁ、はぁ…う…山田?」

倒れこんだままぴくりとも動かない奈緒子の体から、
上田はなんとか抜け出した。
まだぴくぴくと収縮する膣内から、二本の指がずるりと抜ける。
上田は荒い息を整え、ぼんやりと奈緒子を見つめた。

「…おい、山田…?」

…反応はない。
上田は奈緒子の背中を枕にして寝転んだ。


最終更新:2006年09月16日 11:33