地理

※地理のページは地理の苦手なあまとう@文系さんの代わりに
地理マニアのスイショウさんが執筆してくれました♪感謝!!

「地理」という科目の位置付け

最近、二次試験で地理を課す大学が減ってきている気がします。
社会3科目(世界史・日本史・地理)の中から2科目を選ぶと、世の中のほとんどの人は「世界史・日本史」を選びます。
しかし、よく考えてみてください。
「世界史・地理」「世界史・日本史」のいずれにしろ、世界史はほとんどの受験生が選択するわけです。&footnote(日本史&地理は効率が悪い)
世界史は社会科目の中では一番暗記量が多い科目。それを少しでも補ってくれる科目といったら、やはり地理ではないでしょうか?
歴史が好き・得意だからという理由で「世界史・日本史」にするのもアリですが、この2科目は「どちらも歴史」であるというだけで、双方との関わりがあまり見出せません。
つまり、効率的に、短期間で社会を得意にしたいなら「世界史・地理」の選択をするべきなのではないでしょうか。

「地理」とはどんな科目か

地理は、現代の世の中・社会を地理的な面から考察していく科目です。
例えば
  • オーストラリアでは石炭をたくさん生産している。
  • それはなぜかと言えば、オーストラリアにはグレートディバイディング山脈という地形があるから。
  • グレートディバイディング山脈は「古期造山帯」という石炭が取れるのを特徴とする造山帯に属しているから。
こうやって、地理というのは世の中の1つの事柄を地理的な視点から裏付けていくのです。
こうすることで、現在における様々な問題*1に対する解決策を考えるアイテムとして
地理で学んだことが活かせるようになるのです。

「地理」の魅力

地理の魅力を2つ説明しておきたいと思います。

(1)

地理が嫌いな人にその理由を聞くと、ほとんどの人が「地名を覚えるのが嫌いだから」「暗記が苦手だから」と答えます。
おそらくその人は、小学校・中学校の社会科で地理を学んできて、ひたすらテスト前に一夜漬けで暗記した経験をしてきて、結局テストで悪い点を取り・・・という経験をたくさんしてきたの でしょう。
ですが
高校の地理には、今までとは違った魅力があります。
それは超簡潔に言えば「奥が深い」ということなのです。
先ほど取り上げたオーストラリアで石炭が取れるという話と関連付けると
  • 地理が苦手な人
  • 嫌いな人
  • 中学まで散々丸暗記で地理を学んだ
こういう人達というのは、
「オーストラリアは石炭が取れて、この国では○○が取れて、この国では…」と覚えたり、「オーストラリアにあるこの細長い山脈はグレートディバイディング山脈」と暗記したり、
つまりは、1つ1つの事柄を単体で丸暗記してしまおうとしているのです。
世界史で言うと、流れをおさえずに一問一答のクイズで世界するための丸暗記勉強、というイメージです。
そういう勉強の仕方をしていると、地理は好きになりません。

そうではなくて1つ1つの事柄を勉強したら、必ず「なぜ?」と突っ込んでそれを解明・追究しようとしていくことが大事なのです。
小学校・中学校の地理ではなかなかそのような学びが出来ませんでした。
なぜなら、高校で地理の細かい事象に対して理屈を解明するという楽しみを得る手段として、中学までは地名を覚えたりなど常識的・基礎的なことを勉強していたからです。
分かりますか? 
地名の暗記はあくまでも手段。地名が言われたときにそれがどこにあるのか分からないと話にならない、だから中学まででは地名の暗記が中心だったのです。
結論として、高校の地理は、地名の暗記が目的ではなくて社会的事象の解明がメインなので、より奥が深く面白くなります。
ですから、地理が嫌いな人も考え方を少しでも変えれば大好きになれます!


(2)

社会科目の中から2科目を受験科目として選ぶとき、「地理は絶対選ぶ価値がある!」と思った人にその理由を聞いてみると、ほとんどの人が「暗記量が少なくて楽だから」と答えます。
そうなんです。地理は、世界史・日本史よりも暗記量が少ないです。*2
なぜでしょうか?
世界史や日本史のような歴史科目では、過去から今に至るまでの流れを学びます。
その中で数々の出来事が連続していくわけですが、その1つ1つの出来事に対して、登場してくる人物名や地域をおさえていくわけですね。
極端に言ってしまえば「歴史は、1つの独立した出来事の連続」ととらえてもいいでしょう。
確かに出来事と出来事はつながっているのですが、1つの出来事を構成する知識(人物名など)はどの出来事にも同じ数だけあるというイメージでとらえることができますね。
極端な例:江戸時代と明治時代はつながっています(関連性がある)が、江戸時代に登場した徳川家康と明治時代に日本にやってきたペリーは無関係ですね
それに対して地理では、先ほど取り上げたように、オーストラリアという1つの地域を取っても、そこにある地域の特色が、様々な地理的事項と関連していて、つながっているのです。
地理では「系統地理」「地誌地理」という2つの側面から勉強します。
  • 「系統地理」では、「地形」「気候」「産業」といった側面から世界全体を見渡します。
  • 「地誌地理」では、世界の1つ1つの地域のそれぞれに対して「地形」「気候」「産業」といった面を確認していきます。
この2つはお互いに関わっていることが分かります。例えば、世界の気候*3について学べば、その知識は、中国、アメリカ、オーストラリア…どこの地域を学んでも生か されるのです。
歴史ではそんなことはありませんね。*4
つまり、地理を学んでいくと次から次へと様々な事項がつながっていき、複雑な現代社会を深く理解することが出来るのです!

地理の勉強の仕方

地理の勉強の仕方を、要点に絞って説明します。

(1)学習の順序

まず、地理の勉強の順番は「系統地理⇒地誌地理」です!これは鉄則です!!
理由は先ほどの説明でもなんとなく分かるとは思いますが、系統地理で学んだ知識が地誌地理で大きく活かされるからです。*5
どの参考書も必ずこの順番で項目が並んでいるので、それに従って勉強しましょう。「アメリカのこと知りたいからアメリカからやる!」とかは控えましょう

(2)系統地理の重要性

系統地理から勉強を始めるわけですが、これを理解すると本当に地誌地理を学ぶときが楽なので、系統地理は「みっちり」「深く」勉強しましょう。
例えば「地形」の単元で、新期造山帯・古期造山帯・安定陸塊という3つの造山帯の名前が出てきますが、この3つのそれぞれの特色を学ぶ
と、気候を学ぶときにも産業を学ぶときにも役立つので、本当に深いところまで勉強してください。常に「なぜ?」と突っ込んで、解明していってください。
ときには、地学的な知識まで話が飛ぶこともあります。ですが、それも含めて結局は地理を理解することにつながるのです。

(3)学習の計画

高校3年間で地理をどう学んでいくかというのは、意見も分かれますし結構大きな問題です。
ここでは一般的な主張と、僕のおすすめの2つを書きます。
一般的な主張は、「地理などの社会科目の勉強は高3からやればいい。高3の夏休み終わりまでに基礎をマスターして、秋は過去問を解く。」というものというものです。
確かに地理は1年間でも勉強が出来ますね。
ですが僕のおすすめは、やはり高1から地理を勉強することです。
確かに高校1年生はまだ理社科目に力を入れる必要はないかもしれません。英数国のほうが、当然重要です。
この重要3教科を独学している人はいますか?
確かにいるかもしれませんが、ほとんどの人が学校や塾で要領よく学習できているはずです。
それプラス問題集・参考書をやる時間を考えて、それを超えない程度に地理を勉強する必要がありますね。そこは自分でコントロールしましょう。
では具体的にどういう計画でやるかというと、まず、高校1年生のうちに地理の基礎を固めてください!
おすすめの問題集はいろいろありますが

  • 「山岡の地理B教室PARTⅠ・Ⅱ*6
  • 「瀬川センター地理B講義の実況中継①②」
がおすすめです。

そして余裕があるのであれば
  • センター試験地理Bの点数が面白いほど取れる本」
もおすすめです。
前者をメインにやって、後者も時々参照して理解を深めたり知識を定着させたりしましょう。
そしてもっとコンパクトに要点がまとまっているのが「要点に強い 地理B要点ハンドブック」ですが、上記の2つの参考書がやり終わって、
基礎が形成された後に見てみましょう。知識全体の整理に役立ちます。
そして、難関大学を目指す皆さんは、高1の終わりまでに地理のセンター試験で80点以上を取ることを目指しましょう!
地理は、力がつけば80点までは伸ばせます。そこから先は、時事の知識とかにも目が向いていないと得点UPがしにくいですから。
高1ではこれを目安に、勉強を進めていってください!

そして
  • 高2では「地理用語の暗記」や「論述対策」にも力を入れていきます。(地理用語は、バカ真面目に覚えなくてもOKな大学が多いです)
すると
  • 高3になったときは過去問研究をすればいいだけなので、英数国にも時間をあてられてかなり楽です。
大学受験では各科目とのバランスが重要です。高2の終わりまでに全教科基礎を完璧にして、高3では「英数国をきわめる」勉強が出来ると、相当効率がいいですね!

(4)日常生活でも地理を取り入れる

よくある話なのですが、地理のセンター試験は、参考書や教科書で学んだ知識を使って解くわけですが、そこには最近の時事的な話、社会問題も出てきます。
ですから、毎日、新聞を読んで世の中に興味を持っておくことが意外と大事になってきます。(余裕のある人はセンター試験を解いてみよう)
とはいえ、毎日、新聞を全部読むのは大変ですね。読むべきところは、世界のニュースだけで結構です。日本の政治関係は読む必要はありません。
世界のニュースを読むメリットはいろいろあります。まず、日本の新聞に世界各国のことを載せるわけなので、紙面の都合上、1つ1つのニュースがコンパクトにまとまるわけです。
ですから読みやすいし簡潔です。地理を学習して蓄えた知識があればそれを活かして読むことが出来るし、地理の学習が進んでいない人はそこから疑問点を探し出すことも出来ます。
このように新聞記事も受験勉強に活かす工夫をしておくことが大事です。高1のときはまだ意識しなくていいかもしれませんが、時間がたっぷりあるはずなので、やる価値はあります。
高3になると毎日朝は新聞記事を読む時間を10分ぐらい作るのを習慣にすると、充実した学習が出来ますね。

(5)もっと具体的な勉強の仕方


参考書などの勉強教材も揃っていてもう勉強が開始できる人向けに、具体的なやり方を書いていこうと思います。
もちろん、通読形式(=読んで理解・納得するのがメイン)の参考書では、ただ単に読むだけでいいのですが、どこに念頭を置けばいいのか、どういう意識を持てばいいのか、を知っておくと効果的ですね。
まず、繰り返しますが、系統地理を疎かにしないこと。特に、地形・気候です。ここからすべてが発展する、と考えてしまって構いません。
そして、特に気候に関しては重要です。ケッペンの気候区分や植生・土壌の暗記は絶対必要ですが、ただ覚えるだけだと、もったいないです。
例えば、気候分布を学び、「イギリスはCfb気候だ」という知識を得たとします。もちろん、この知識だけで解ける問題もいろいろあると思います。
センター試験には必ず、地図上に4つの点がふってあって、それぞれの地域の雨温図(orハイサーグラフ)を選ぶ問題が出ます。その4つの点のうちの1つがイギリスであれば、早速「イギリスはCfb気候だ」という知識は活用できるし、得点にもつながります。
ですが、もうちょっと踏み込んでみてください。「イギリスはCfb気候だ。Cfbの特徴は、高緯度のわりには年中温和であること。なぜなら、北大西洋海流(暖流)と偏西風の影響を受けるからだ。」というところまで理解(+暗記)していたとします。
そうすると、気候の問題だけではなくて、他にも解ける問題が増える可能性がありますよ。(具体例は思いつきませんが、少なくともあらゆる点でプラスになるのは間違いなし!)
海流や風の知識があれば、「なぜあの地域には砂漠が分布しているんだ?」「なぜあの地域は年中温暖なんだ?」などいろんな疑問が解決できます。
参考書を読んでていろいろ疑問に立ち向かったときに、そういう地理的思考力があれば、ちょっと考えれば納得出来、気持ちがいいですよね。(逆に解決出来ないと、ストレスになります。)
言いたいことをまとめると、
系統地理を勉強する際には、どうしても理科的知識(大気・風、断層・褶曲etc)など余計なものも含めてみっちり深く理解することが重要です。
よく、「センター地理はなんとか8割は安定して取れるようになったが、そこからが伸びない・・・」という人がいます。そういう人は、「踏み込み」「掘り下げ」が足りないんです。
逆に、コンスタントに9割以上の安定した得点が取れている人は、そのような深い部分にもしっかり焦点をあてて地理的事象を理解している、ということなんです。
長くなりましたが、地理をまだ何も勉強していない人も、「とにかく地理は奥が深いんだなぁ。しっかり理屈とかそこらへんを理解すれば応用が効くってことなんだろうなあ」という感じで分かってくれれば結構です。


地理のおすすめ参考書&問題集

《基礎》

  • 瀬川センター地理B講義の実況中継①②
分かりやすく、センター向けの知識に整理できる。話の展開からつながりを感じられて面白い。
  • 山岡の地理B教室PARTⅠ・Ⅱ(系統地理のみ網羅)
「分かりやすい」のが強み。
  • センター試験地理Bの点数が面白いほどとれる本
分かりやすさは山岡の地理B教室には負けるが、「図表」を用いた明解な説明を理解することが、センター試験対策につながる。 

《応用・入試問題演習》

  • 地理の完成
至上最上の資料集。難関大学に行く人は必携。
  • 実力をつける地理100題(Z会)
これを完璧にするだけでもかなり力が伸びる。
*納得できる地理論述
論述のみに特化した問題集。

無料で地理を勉強したい

今までの項目を読んで、「なーんだ、結局は参考書買わないと勉強は始まらないのか」と思っている人もいるかもしれません。
そんなことありません!インターネットで無料で地理を勉強出来る手段を紹介したいと思います。
このページの製作者でもあるスイショウ(現在は高2ですが、高1の皆さんも応援しますよ!)は、YouTubeに地理の授業動画を投稿しています。地理の基礎を納得しながら学んでいくためのものです。
YouTubeで大学入試の地理と検索すると出てきます。
まだ投稿数は少ないのでこれから少しずつ増やしていきたいと思っていますが、
作ってほしい動画があればこちらで直接申請してください。

地理の勉強環境を作ろう

英数国に比べて地理は、高1であれば基礎だけをマスターすればいい、と前述しました。
もっと分かりやすく言うと、「地理に興味を持ち、地理の世界に入る」ことが高1の段階です。
地理は面白い科目ですが、勉強している過程でどんどん疑問があふれたり、時には地理の面白さを共有したり問題を出し合ったりしたいときもありますね。
そんなふうに切磋琢磨して勉強できたら最高じゃありませんか?
そういう勉強をしてみたい!、みんなで地理の勉強をしたい、共有したい、という思いのある人はぜひ僕に連絡をください。
SkypeID・ツイッターIDともにsuishou11です。 こちらからも連絡可。

コメント

  • 『ジオゴロ』、『地図と地名による地理攻略』もおすすめ。あと、G戦士の受験勉強法ブログも地理に関してはいいこと載ってる -- 名無し (2011-10-31 03:03:37)
  • 高1からこんなに地理ばっかやるのはよっぽど英数が余裕な人ぐらい。まあ趣味としてやるならいいかもしれんが -- 名無しさん (2012-08-10 09:32:40)
  • だから端から何行にも渡って英国数が大事だと書いてあるのだがねえ スレタイだけ見てコメントする人種なら仕方ないが -- 名無しさん (2013-05-02 14:23:13)
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最終更新:2013年05月02日 14:23
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*6 系統地理のみ