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水着談義

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jewelry_maiden

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だれでも歓迎! 編集
「ケイちゃんはいつも水着着ないけど、嫌いなの?」
 不意打ち。まさか漬物石姉様がそんなことを尋ねてくるとは。もう少しでマスターのように紅茶を吹き出すところで……危ない危ない。
「姉様、いきなり何をおっしゃるのかしら?」
「だってみんな海行くのに水着選びしてるから。でもケイちゃんはまだでしょ?」
「まだも何も、着るつもりはありませんわ。安易に素肌を晒すのは嫌ですので」
 それに、私にあんなものが似合うとは思えない。ああいうのは蛋白石や爆弾岩姉様が着てこそ映える物でしょうし……。
「でも、一緒に遊べないよ?」
 姉様が首をかしげている。そんなに不思議なのでしょうか。
「でしたら、姉様はどうですの?」
「え? 私はもうマスターに……ふふ」
 微笑む姉様の顔……何故か、姉様のマスターに対して怒りが湧いてきた。まったく、いったいこの二人はどれだけ仲がよろしいんだか。
「ケイちゃんも着てみたらいいと思うんだけどなぁ。マスターさん、喜ぶと思うよ?」
「なっ……なぜ私があんな人を喜ばせねばならないのですか!」
「だって、ケイちゃんはいつもマスターさん困らせてるんだから。たまにはつき合ってあげないとダメだよ」
 困らせる……まぁ、確かにときどき無茶なことを言っているかもしれませんが、それはマスターとして当然の勤めであって、決して私がマスターに無理強いさせて楽しんでいるわけではありません。
 でもあの人が困っている顔はどうも見ていて飽きなくて……。
「ケイちゃん、声に出てるよ」
「えっ……あわわ」
 まったく、何気を緩めているんだか……。
「と、とにかく、私のために困るのは義務ですから」
「なら、たまにはそれを労ってあげると思って……ね?」
 ……なぜ、今日の姉様はこんなにもマスターの肩を持つのだろうか。しかもどこか楽しそうで……まるで私をからかっているような。
「……姉様、私のことをからかってません?」
「ふふ、どうでしょう」
 その問いに、姉様はただ笑みを浮かべるだけ……やはり、姉様に勝てる気はしない。

「水着? 鶏冠石の?」
「ええ。どうしてもと漬物石姉様に頼まれたので……瑪瑙、選ぶのにつき合ってくださらないかしら」
 結局、姉様の強い要望で水着を買うことになった。
「うん、かまわないよ。でも姉さんどうしたんだろうね、そんなにしつこく水着を勧めてくるなんて」
 そんなこと、私に分かるはずがなかった。私の遊ぶ姿が見たいのか、それとも見てみたいだけなのか。同じ乙女である姉様の考えが、まったく分からりません。
「ただ単に、初めての海に浮かれているだけだったりしてね」
「姉様が? あの姉様が浮かれるような人に見えますか?」
「……見えない、ね。どちらかといえばみんなの面倒を見るお母さん役かな」
「ええ、まったく……はっ、まさか私のところのアレが何か姉様によからぬことを……」
「それは……絶対ないよ。きっとマスターさん鶏冠石が怖くて……いや、何でもない」
 何か失礼なことをつぶやいた気がしましたが……まぁ、そうでないことを願いましょう。あったとしたらお仕置きということで。
「ところでいつも思うのですが……どうして瑪瑙は自分の服選びは苦手なのに、他人の服を選ぶのは得意なのでしょう?」
「む……そ、それはどうでもいいからっ」

    ◇    ◇    ◇    ◇

「海、海……ふふふ、楽しみ……」
「ずいぶん浮かれてるなぁ。そんなに楽しみなのか?」
「だって、マスターと初めての海ですから。ふふふ……あ、おにぎりに何入れましょうか」


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