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家電製品SOS!

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匿名ユーザー

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 突然だが、珊瑚は雷が苦手だ。
 比べるとすれば、天が『にゃあぁーっ!』って驚くぐらいの雷では、珊瑚はこうなる。
「おーい」
 ふすまに声をかけてみる
「うぅぅ……」
 中から聞こえるうめき声。
 いや、珊瑚が怯えている声だ。
「珊瑚は雷に弱い……っと。今後の参考に……」
「って、誰だよお前は」
 いつの間にか俺の横でメモを取っている娘が一人。
 なんというか……魔法使い? とにかくエキセントリックな格好だな。
 と、そこにもう一撃落雷。
「にゃあぁーっ!」
「ーっ!!」
 居間からは天の悲鳴。ふすまからは珊瑚の悲鳴になっていない悲鳴。
「【天河石のマスター】、家電製品がコードに刺さったままだと落雷で破損するかも知れない
というのを知っているかな?」
「いや、知ってるけど……だからお前は何なんだ。警察呼ぶぞ?」
「大丈夫、怪しい者ではない」
 怪しい奴がそんなこと言っても信用出来るかと。
「マスタぁ~……あうぅ」
 と、いつもの糸目のまま恐怖の涙を浮かべた天が寄ってくる。相変わらず器用な奴だ。
「あー、悪い悪い。ほらこっち来い」
「うぅ」
 どうも天に泣かれると弱い。しかも脚にすがりついてくる始末。
 仕方ない。天を抱き上げ、抱っこしてやる。
「マスタぁー……」
 安心したのか、涙を服の袖でぬぐって笑顔を浮かべる。
「……ロリコン」
 怪しい奴は、無表情でそうつぶやきやがった。
「よし、分かった。警察呼ぶ」
「まぁ落ち着こうじゃないか、イケメンさん」
「お世辞が通用すると思ってるのかと」
 そもそも表情変えずに言われても嬉しくない。
「……主」
「って、お前も覗くな!」
 いつの間にかふすまの隙間から珊瑚が覗き込んでいた。
 しかも何か弱々しい子犬のような……珊瑚、お前は俺に何をして欲しいんだ?
雷を止めるなんて無理だぞ。
「珊瑚はきっと天河石と同じことをして欲しいのだよ。よし、では僭越ながら私が代わりに……」
「なっ、し、試金石っ!? うちに来るなとあれほど……」
 ふーん、試金石ねぇ。珊瑚の知り合いなのか。
 と、また落雷。先ほどよりも近い。地面が軽く揺れる。
「ふにゃあぁーっ!!」
「うあーっ!!!」
 ふすまから飛び出し、俺に飛びつく珊瑚。
 そして天は俺に強くしがみつき……がっ、く、首っ、首入った!!
「さあ、私が空いているよ、珊瑚」
 試金石と呼ばれた娘の声は、珊瑚に届かないようだ。

「死ぬかと思った……」
「ご、ごめんねマスタぁー」
 とはいうものの、俺から離れる様子のない天。俺の右腕にしっかり抱きついている。
 で、左腕は……。
「う、うぅっ、うぅぅ……」
 天以上に余裕のない珊瑚が、泣きながら抱きついていた。
 こんな過剰反応、俺が包丁で指切った時以来だぞ。こいつ血も苦手だから。
 そして……。
「さぁ、私がいるから泣きやみなさい」
 珊瑚に寄り添う試金石。
 ……何、何なんだこいつと珊瑚の関係って。
「うぅ、あうぅぅぅ……」
 それを尋ねることが出来るであろう唯一の人物は、泣きべそ状態。
 ……雷雲が通り過ぎるまで、この妙な空気は続いた。
 あぁ、電線とかに落ちないといいんだがなぁ。停電だけは勘弁。

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