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エイプリルフールのお戯れ

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匿名ユーザー

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  今朝、鶏冠石が珍しく真剣な顔で相談があると言ってきた。
  どうも欲しい物があるらしい。
「まぁ鶏冠石には日頃から世話になってr……まぁたまにはプレゼントくらい買ってやるよ」
「ありがとうございます。それで欲しい物なんですが」
「おうなんでも言ってみろー」
  まぁそう高い物でもないだろう。
  これでも鶏冠石は他人の迷惑になるくらいなら自分でやる、って感じのキャラだし。
「グランドピアノを買ってください」
「……グランドピアノ?」
「私が欲しいのはこれです」
  ついっと広告を手渡される。
「120万……これはまた、高いね……」
「一桁足りてませんわよ」
「へ? 1200万!?」
  紅茶を思いっきり吹いてしまった。
「やっぱり……ダメ、ですよね」
  しゅんと落ち込む鶏冠石。
  そんな顔されるとダメとは言えなかった。

  とりあえずお金持ちったらここだよなー。
「グランドピアノ?」
「はい。1200万の物が欲しいとかで……」
  黒曜石ちゃんのマスターさんなら実際持ってるし色々わかるだろう。
  いざとなったら俺の命を担保にお金を借りる覚悟だ。
「運搬とか設置でプラス100万くらいかかっちゃうと思うよ」
「……やっぱムリかなぁ」
「ちょっと無茶なお買い物だね。それでも買ってあげたいんだ?」
「そりゃ、鶏冠石って普段そんなムチャな頼み事なんてしないし、珍しくホントに欲しそうだったし……」
「そんな鶏冠石ちゃんが可愛かったんだね」
「ま、まぁそんな感じです」
  黒曜石ちゃんのマスターさんは凄く達観しているように見える。
  外見は別に俺とそう離れてる様には見えない良いお兄さんって感じなのに。
「1200万円だっけ? 1600万円貸してあげるから、これでついでに防音室も作ってあげたら?」
「1600万円って! 凄くありがたいけど……流石に借りれませんよ」
「キミに貸すんじゃないよ。キミの鶏冠石に対する気持ちはそれくらいの価値があると思ってね」
  普段そんなこと言われないし度を超えたお金のせいかもしれないけど、
  不覚にも涙腺にきてしまった。
「ほら泣かない泣かない。じゃお金とってくるから気を付けて持って帰って色々準備してあげて」
「あ゛い」

  まさかお金までなんとかなるなんて思わなかったなぁ。
  黒主さんは偉大だ、ホント。
  鶏冠石も本当に買って貰えるなんて思わなかっただろう。
  今週末には工事も搬入も済んじゃうみたいだし。
  そうだ、鶏冠石にはいきなり教えてやろう。
「何にやにやしてんだ俺。気持ち悪い。鶏冠石にバレないようにしないと……ただいまー」
「おかえりなさい。ふふふ、その様子だとさぞ苦労したみたいですわね」
「あ、あぁ。やっぱグランドピアノは高いよな」
「ふふ、まさか真に受けて貰えるなんて思いもしませんでしたわ。
  今朝の事は嘘です。今日はエイプリルフールですわ」

  ――――は?

「まぁなんとかしてくれようとした気持ちはありがたく受け取らせてもらいます」
「う……嘘?」
「え? えぇ。どうしましたの?」
「け、け、け」
「ちょ、ちょっと?」
「鶏冠石のばかーーーーーーー!!!!」


  こうして、お互いの気持ち(というか考え?)のすれ違いによって起こった事件は幕を閉じた。
  注文は全てキャンセル。
  お店の人も普通の人に見える俺が一括現金で払うなんておかしいと思っていたらしく、笑って承諾してくれた。
「すいません……このお金ありがとうございました……」
「いやぁははは。こういう事だと思ってたよ」
「まさか気付いてたんですか……」
「キミが言ってたじゃないか。鶏冠石はそんなムチャな頼み事する娘じゃないって」
「まぁ、そうですけど……」
「これからも鶏冠石ちゃんと仲良くね」
「はい」

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