宝石乙女まとめwiki

手をつなごう

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jewelry_maiden

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  このごろは日差しが暖かい。ちょっと前までの寒さが嘘のようだ。
「いい天気だねえ、電気石」
「んー」
  電気石と二人、のんびりと散歩。たまにはこういうのもいいものだ。
「……ん」
  唐突に差し出された手。
「えっと、電気石? 手をつなぎたいの?」
「ぐりーんだよー」
  断る理由もないので手をつないで歩く。
  ちょっと照れくさいけど、傍から見たら親子みたいできっとほほえましいだろう。
  空もよく晴れて、散歩するのも気分がいい。
「電気石ってけっこう甘えん坊だね」
  何の気なしに言った言葉。

「……手、つなぐ……マスター、いるって安心する……」
  電気石は一瞬大人びた笑顔を浮かべ、そう言った。
「え……」
  歩みを止めないまま、電気石は言葉を続けた。
「姉様……蛋白石と、二人だったとき……さみしくて、こわくて」
  いつになく饒舌な電気石。
「いついなくなるか……だから、手、つなぐ……安心」
  ぎゅっと、僕の手を握って微笑む。
  この子が僕よりずっと長い時を過ごしていたんだということを、今さらながら思い出した。
  僕らが一緒に暮らすよりはるか昔、この子たちは寂しい思いや怖い思いをたくさんしたのだろうか。
「……僕は、ここにいるから。安心していいんだよ」
「ぐりーんだよ?」
  照れたように電気石が笑う。
  僕は小さな手をそっと握り返す。
  この笑顔を、もう曇らせないように、と思いながら。


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