宝石乙女まとめwiki

怒った顔も愛らしくて

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「なっ、なんや、なんやこれはぁーっ!」
  と、俺が10時間ならんで購入した某ハードのリモコンをテレビの前で振り回している化石ちゃん。一緒にやっている漬物石は慣れたものだ。暇があれば俺の相手をしてもらっているからな。
「化石ちゃん、そんなに慌てなくても大丈夫だからね」
「せやけどつーちゃんっ、うちこんなの初めて……あわわっ」
  うーむ、なんだか見ているだけで面白いな、化石ちゃんの動きは。つーちゃんっていう呼び方も面白いけど。だがテレビに突き刺すとかはホント勘弁して欲しいな……そんな惨劇が起きないことを祈ろう。
「仲いいんだな、二人とも」
「はい、昔からの仲良しですよ」
「つーちゃんはうちの大親友やーとととっ」
  昔からかぁ、いいなぁそういうの。
  いいといえば、漬物石って遊んでいるときはホント子供みたいに無邪気なんだよな。本人に面と向かって言ったら赤面するだろうが、素直に可愛いと思う。
「クリスマスはみんなで遊ぶかー」
「あ、それいいですね。でもお出かけもしないと……」
「つーちゃんよそ見は禁物やーっ」
「えっ、あー……負けちゃいました」
  と、こちらに苦笑を向ける。ホント、楽しそうだなぁ……って、それよりデートだったな。もちろん忘れてなどいない。
「黒曜石ちゃんのところでクリスマスパーティやるんだろ。大丈夫、ちゃんとそれに合わせてデートの予定してあるから」
「なっ、つーちゃんがマスターはんとデートっ。ひゃー」
「マ、ママ、マスターっ。化石ちゃんも顔赤くしないでよぉ」
  そう言う漬物石が、一番顔を赤くしている。嫌がってる様子ではないからいいけど。
「……何がおかしいんですか?」
「ん、そんなおかしいなんて思ってないぞー。それより次は俺の番」
「マスターはん強すぎやから相手できへんよぉ……」
「マスターっ、ごまかさないでくださいー」

          ◇

  小一時間遊んだ後、マスターはお昼ご飯を作り始めた。もちろん化石ちゃんの分も。
  それにしても……クリスマスが近づくに連れ、マスターは少し意地悪になっているような気がする。
「さっきはめっちゃ楽しかったな、つーちゃん」
「うん。でもマスターったら……」
  さっきのマスターの顔……むぅ。
「でも良かったなー、マスターはんに誘ってもろて。つーちゃん最近マスターはんの話ばかりやもんね」
「だ、だからぁ……でも最近マスターが意地悪で……」
「んー……そや、きっと照れてるんやないかな? よく言うやろ、好きな子にはいじわるするーって」
  確かにそういうこともある。だけどあの大人のマスターがそんなことをするとは考えにくいような。
「まぁ、最悪鬼畜ーなんてことはないから大丈夫やー」
「か、化石ちゃんっ!」
 もう、みんなで意地悪するなんて……。

          ◇

  三人分を皿に盛って……よし、完成。
「お待たせ。久しぶりにスパゲティ作ってみたぞ」
「おぉ、欧米やっ!」
  あえてパクリには走らなかったのかな……そういや漬物石はどうした? 反応が返ってこないが。
「つーちゃんっ、スパゲティやー♪」
「……ふーん」
「どうしたんだ?」
「何でもないですよ」
  何でもないのにそんな如実に拗ねた顔してるのはどうかと。もしかしてまださっきの根に持ってるのかな……まさかあそこまで顔赤くするとは思っていなかったからなぁ。
「まぁ、とりあえず食べるぞ。はい、化石ちゃん」
「おおきに」
「ほら、漬物石も」
  こちらに目線を合わせずに皿を受け取る。まったく……。
「ほないただきまーっす……うまっ、ごっつうま!」
「そんな慌てて食べなくても……おかわりいる?」
「おかわりよりもお持ち帰りの方がええなぁ。マスタにも食べさせたいねん」
「あぁ、構わないよ」
「おおきにー♪」
  とまぁ、化石ちゃんは実に美味しそうに食べてくれるが。
「漬物石は口に合うか?」
「むぅ、まぁまぁですね」
  まだふてくされてるよ……さて、どうしたものか。とりあえず辺りを見渡して……そうだ、これにしよう。
「化石ちゃん、口にいっぱいついてるよ」
「む、もったいなっ」
「はい、ティッシュ。あぁ、俺の分少し分けてあげるよ。今腹があまり減ってないから」
「なっ、食べられるときに食べておかんとあかんよ?」
「それは化石ちゃんの方が問題な気がするんだけど。はい」
「うわっ、めっちゃ多っ! 肉と野菜のオンパレード!!」
「面白い表現するね」
「うちの取り柄やー♪」
  必要以上に化石ちゃんの相手をしてみる。さて、漬物石は……ふふふ、やっぱりかまって欲しそうな顔してる。でもこちらが視線を合わせてみると
すぐ逸らしてふくれっ面。ホント、可愛い奴だよなぁ。
「……ま、マスターっ」
「んー、どうしたぁ?」
「な、何でもないです……早く食べないと、冷めちゃいますよっ」
  やばい、顔がにやけてしまう。これじゃあまた漬物石を怒らせてしまうぞ。
「マスターはんも意地悪やなー。ちゃんとつーちゃんもかまったってー」
「べべ、別にそんなつもりじゃないですーっ」
「そうかー、かまって欲しいのかー。じゃあ食べさせてやろうか?」
「っ、マスターっ!」

「いやぁ、ホント済まなかった! ちょっと調子に乗りすぎてさぁ」
「知りませんっ。それに笑いながら謝っても許すわけないじゃないですか」
  化石ちゃんが帰った後、それはもぉ漬物石はご機嫌斜め。さすがにやりすぎたと今は反省している。
「こんなにマスターが意地悪な人だったなんて……」
「だってさぁ、拗ねる漬物石の顔が可愛くてな。はっはっは」
「っ……か、可愛いわけないじゃないですかっ、私は怒ってるんですよっ」
  そうやって顔赤くして手を振ってる姿を見て、可愛くないと思う奴はいるのか。いや、いない。絶対に。何てったって俺の自慢の同棲相手なのだから。
「はいはい。じゃあデートのときは、今日怒った分たっぷり可愛がってやるからさ」
「可愛がるとか卑猥ですっ! あとデートを強調……うぅ」
  自分で言って自分で照れていたらどうしようもないだろ。
「……マスターは、本当に意地悪です」
  顔を真っ赤にして、小さく呟く……可愛い。やっぱり漬物石は可愛い。
「ひゃあっ、ま、マスター離してくださいぃ」
「ダメだ。漬物石が可愛すぎるのが悪い」
「そんな事真面目に言って恥ずかしくないんですかぁーっ」
「恥ずかしくない。どうせ二人きりだ」
「っ……もぅ」
  本当は自分でもアホだと思う。こんなに意地悪したくなるなんて、俺は中学生かと。でも、それと同じぐらい俺は漬物石が……。
「よぉーし、今日はこのまま晩飯だ。ちなみにスパゲティの残り」
  プレゼントは用意した。行きたい店の予約も済ませた。後は当日を待つばかり。デート当日を楽しむだけ。
「……お、美味しいから、それでかまいません」
  小脇に抱えた漬物石が、小さく呟いた。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー