宝石乙女まとめwiki

ずこうのじかん

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jewelry_maiden

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  それはいつもの休日のこと。
「電気石、何作ってるの?」
  座布団に座ってしきりに手を動かしている電気石の後ろ姿に、僕は興味を覚えた。まぁ、子供のやっていることだからたいしたことではないとか、電気石には言えないような失礼なことも考えているけど。
「んー……?」
  でも、それは僕の想像を遙かに凌駕するものだった。
「……何、これ?」
「んー、基盤?」
  首をかしげられても困るんだけど……しかし、それは確かに電気石の言う通り基盤だった。よく機械に入ってる緑色のアレ。しかも電気石の片手にははんだごて。電源は自前のようだ。
「図画工作?」
「いや、普通こういうのは作らないよ」
「楽しいよ?」
「ごめん、僕には何が楽しいか分からない……」
  あ、電気石しょんぼりさせちゃった。いくら分からないからって、そんなこと言ったらやっぱダメだよね。でも話を合わせるのはとうてい無理。だって基盤を作るとかやったことないし。
「ご、ごめんね。じゃあ僕はよく分からないから、どういうの作っていたか教えて?」
「うん……いんてる入ってる」
「そ、そうなんだ。じゃあパソコンなの?」
「ううん。使っちゃダメ……どかーん」
  それはつまりパソコンに使うと爆発すると。
「あ、危ないんだね……」
「んー……ちょっと?」
  爆発するのはちょっとじゃないよ。充分危険だと思う。
  しかし、僕と話している間も少しずつ手を動かして作業を進めている、とても楽しそうに。手つきも慣れており、きっと昔からこうして遊んでいたんだろうなぁ。
「マスター……一緒に、やろ?」
「ぼ、僕も? いいけど上手くできるかどうか」
「……教えるよ」
  と、電気石は嬉しそうに微笑む。
「マスター、いろいろ教えてくれるから……だから、私も♪」
  僕にはそんな自覚はなかった。電気石は普段からけっこう器用で、普通の生活の上でできないことはほとんどなかった。身長が足りなかったりで物理的にできないこともあるけど。
  とにかく、僕が何を教えてあげたのかなんて、自分自身よく分かっていない。しかしこんな笑顔を向けられれば、そんな謙遜は無用どころか失礼に値するってことくらいは分かる。
  今日は電気石につき合おう。この子が満足するまで。
「そっか。じゃあ今日は電気石にいろいろ教えてもらおうかな」
「うん」
  手を休め、近くの座布団を自分の座布団の隣に置く電気石。僕は礼を言ってその上に腰を下ろす。電気石と密着する形で。
「これでこれ、じゅーって溶かすの」
「ふむふむ」
  というわけで、今日の休日は電気石との工作の時間。たまにはこういうのんびりした日も、悪くはない。

「ただいまーっ。あれ? ご主人様、お姉様と何してるんですか?」
「……一緒に遊んだ」
「うん。何作ったか自分でもよく分からないけど……」
  床には、例の緑色のアレが数枚。僕より作るペースの早い電気石のがほとんどだけど。
「楽しかった♪」
「そうなんだー。よかったね、お姉様っ」
  ま、電気石が楽しかったなら、それでよししってことで。
「で、結局これって何なの?」
「んー……どかーん?」

「……何、つまり爆弾作ってたの? 僕」

「パソコンに使うと爆発……ほほぉ」
「置石、うちにはパソコンない」
「じゃあアキバ辺りに売りに行く?」
「行かない」

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