久しぶりにピクニックをすることになった。いつか来た彼岸花の咲く丘で――
「なぁ鶏冠石」
「はい?」
なんでまたピクニックなんて? と問いかける。
「秋が私たちを呼んでいる気がしました」
……景色を楽しめってことかな、うん。
「なぁ鶏冠石」
「はい?」
なんでまたピクニックなんて? と問いかける。
「秋が私たちを呼んでいる気がしました」
……景色を楽しめってことかな、うん。
こんな夜でも、鶏冠石がいると鳥が寄ってくる。暗くて種類までは分からないけど、今夜は俺が近くにいてもかまわずに寄ってきていた。
途端、鶏冠石が……いや、景色が急速に色づく。
「今日って満月だったのか」
「とても綺麗ですわ……」
さっきまでは暗くて分からなかった鳥たちが、月明かりに照らされてハッキリと見える。羽根の中心にいる鶏冠石はまるで天使のようで。
「綺麗だ……」
「えぇ、ホントに……真ん丸ですわね」
俺は鶏冠石のことを言ったんだけどな。まぁ分かんないか。
ザァッと風が吹く。俺の心情を察したのか、花たちがユラユラと笑っているように思えた。
「何にもないと思ってた日だったけど……」
鶏冠石といればいつだって特別な日に変わってしまう。
「ピクニックに誘ってあげたこと、感謝なさい」
「あぁ、ありがと」
「今日は素直ですわね。よくってよ」
俺はいつも素直だ、と言おうとしたが、少しでも長くこの瞬間を味わいたくて、つい黙りこくってしまう。神様、どうかこの時間がいつまでも続きますように、といつもはまったく頼らない神様にまで頼ってみたり。
あぁ、でも大丈夫だ。
鶏冠石といれば、いつだってどんな時だってきっと鮮やかな毎日になる。花たちだって頷いてくれている。
これからも特別な日が増えるように、毎日を鶏冠石と一緒に歩んでいこう――
途端、鶏冠石が……いや、景色が急速に色づく。
「今日って満月だったのか」
「とても綺麗ですわ……」
さっきまでは暗くて分からなかった鳥たちが、月明かりに照らされてハッキリと見える。羽根の中心にいる鶏冠石はまるで天使のようで。
「綺麗だ……」
「えぇ、ホントに……真ん丸ですわね」
俺は鶏冠石のことを言ったんだけどな。まぁ分かんないか。
ザァッと風が吹く。俺の心情を察したのか、花たちがユラユラと笑っているように思えた。
「何にもないと思ってた日だったけど……」
鶏冠石といればいつだって特別な日に変わってしまう。
「ピクニックに誘ってあげたこと、感謝なさい」
「あぁ、ありがと」
「今日は素直ですわね。よくってよ」
俺はいつも素直だ、と言おうとしたが、少しでも長くこの瞬間を味わいたくて、つい黙りこくってしまう。神様、どうかこの時間がいつまでも続きますように、といつもはまったく頼らない神様にまで頼ってみたり。
あぁ、でも大丈夫だ。
鶏冠石といれば、いつだってどんな時だってきっと鮮やかな毎日になる。花たちだって頷いてくれている。
これからも特別な日が増えるように、毎日を鶏冠石と一緒に歩んでいこう――