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褪せる記憶、褪せない想い

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「キレイ……キレイな曲ね、アメジスト」
  彼女が笑顔でそう言ったのは、ちょうど演奏が終わったときだった。
「なんなら、違う曲も弾こうか? なにがいい?」
「なんでも!」
  食後のティータイムに、私のバイオリンを聞かせてあげるのが最近の日課だ。
「アメジストはピアノもバイオリンも本当に上手ね、いつ覚えたの?」
「さあね、いつの間にか弾けるようになってたよ」
  その言葉にまた彼女は笑う。

  彼女の笑顔が瞼の裏に残っている。
  かちり。
  また違う場面に変わる。古い映画のように、コマ切れでパラパラと流れる

  彼女はどんな色の目をしていたか。
  彼女はどんな声で笑っていたか。
  彼女はどんな風に私に接してくれていたか。
  忘れるわけがない。しかし確実に色褪せていく。視覚が、嗅覚が、触覚が、彼女から遠ざかっていく。
『“私たち”は結局孤独なのさ』
  この言葉は誰に向けて放ったものだったか。いや、むしろ自分に向けたものだったか。
『忘れるな』
  そう、私たちは紡がれる者。人に忘れられたときに心臓が凍るのだ。

  ホープ。私の宝石姫。色褪せはしようと、私は決して忘れはしない。
  覚めぬ夢から放たれたときに、一人にさせはしない。
  ずっと傍にいよう。私は貴女と同じ刻を生きることにしたのだから。

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