宝石乙女まとめwiki

久しぶりの言葉

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匿名ユーザー

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主『気分転換に何かしてみたらいいんじゃないか?』
  みんながうんもうんもとうるさくてイライラしていたとき、マスターがそんな事を言っていた。
黒「それで、今日はイメージチェンジをしてみたいと思ったんですか」
雲「うむ」
黒「でもイメージチェンジ……具体的にはどうすればいいのでしょうか?」
  悩む黒曜石。試しに相談してみたら、喜んで協力してくれたのだ。
  で、イメチェン。確かに具体的にどうするかというのを考えていない。
黒「こういうときは、おしゃれとか服飾関係に強い人に相談すればいいかな」
  …………
黒「い、いっぱい借りて来ちゃいましたね……」
  私と黒曜石の手には、抱えるのがやっとというほどの服。そして髪をセットするための道具。
  金糸雀のマスターでみっちゃんという人に相談したら、こんな事になってしまった。やたらと張り切って色々用意してくれるのはいいが、ついてこられるときっと大変な事になる。私達は適当に理由を付けて、こうして二人で戻ってきた。
黒「出来たら写真を送ってねって言われましたけど……カメラなんて扱えるかなぁ」
  荷物を置いた黒曜石の手にあるのはデジカメとかいう機械。機械なら電気石が詳しそうだが、あいにくここにはいない。
雲「……保留でいい」
黒「それじゃあせっかく手伝ってくれたみっちゃんさんに悪いですよ?」
雲「じゃあ、どうする?」
黒「んー……う~ん…………」
  このままでは知恵熱を出してしまいそうだ。私は黒曜石を止めるために肩を叩く。
黒「ん、雲母ちゃん……」
雲「とりあえず、始めよう」
黒「そ、そうですね。そうしましょう」
  …………
  イメージチェンジ……。
黒「普段は重たそうなドレスですから、やっぱりワンピースとか軽めの服で……髪は切れないから髪型を色々変えてみましょう。雲母ちゃんはどんなのがいいですか?」
  髪型を変える……私の髪型を変えるのはかなり大変な気がする。
  ここは楽そうなところで普通の長い髪にしてみよう。
  …………
黒「なんだか珊瑚姉さんみたいですね」
  髪をストレートにするだけだと面白くないということで、ポニーテールというものにしてみたものの、元々珊瑚と髪の色が似ているせいか、なんだかそっくりになってしまった。
  しかも着ている服も珊瑚に似ている。狙ってやっているようにしか見えないかも知れない。
黒「でも始まったばかりですから、別のもやってみましょう」
  …………
黒「今度は電気石ちゃんみたくなりましたね」
  黒曜石の言う通りだ。さっきと服装は替っていないが、この髪の先がはねている髪型は電気石だ。
  …………
黒「ツインテールだと天河石ちゃんみたいですね」
  天河石より似合ってないと思う。
  …………
黒「髪をまとめるとアメジスト姉さんみたいですね」
  アメジストと一緒というのはあまりいい気分がしない。
  …………
黒「ふぅ……周りに色々な子がいると大変ですね」
  言われてみれば確かにそうだ。
黒「他に何か……あ、三つ編みなんてどうですか?」
  三つ編み……一体どういう髪型なのか、見た事がない。
  多分他のみんなの中にもその髪型はないと思う……。
雲「……それ、出来るか?」
黒「はい。この前マスターに教わったから、出来ますよ」
  私を椅子に座らせ、背後に立つ黒曜石。
黒「もしかしたら三つ編み、雲母ちゃんに似合うかも知れませんね」
  そう言われても、どういう髪型か分からない。
  だが、黒曜石は手際よく、ストレートに延ばした私の髪をまとめていく。
黒「とりあえず、これが出来たらマスターに見てもらいましょう」
  この面倒な事をやるきっかけとなったマスター……。
雲「……うむ」
黒「じゃあ、頑張りますね」
  そう言う黒曜石の顔が、何故か嬉しそうに見えた。何がそんなに楽しいのだろうか……。
  …………
  数十分後。私はマスターの部屋の前に来ていた。
  私の前に立つ黒曜石が、そのドアをノックする。
  しかしこの三つ編み……。
黒「マスター、いますか?」
主「んー……あぁ、入っていいよ」
  その言葉を聞いてから、黒曜石がドアを開ける。彼女が言うにマスターを脅かしたいから、私は少し待っていろと言われている。
黒「実はですね、マスターに見て貰いたいものがあるんですよ」
主「俺に? 何かな」
黒「はい、それじゃあ……雲母ちゃん、入ってきてください」
  呼ばれたので、私はマスターの部屋に入る。
  何故だろう、マスターの前に出ると、少し照れくさい。黒曜石はにこにこ笑っているが、それが逆に緊張を助長させる。
  そして何よりマスターの顔。私の顔をさっきから目を点にして見ている。何か言ってくれないのか……?
主「……雲母、髪型変えたんだ」
  なんだか喋るのも恥ずかしいので、頷いておく。
  そんな私を見て、今度はマスターが笑う。いい笑顔だ。
主「すごいね、よく似合ってるよ。服がセーラー服っていうのは何か狙った感じがあるけど……」
  それはあの金糸雀のマスターが『セーラー服には三つ編みよねぇ』と呟いていたのを実践しただけだ。私の意志ではない。
雲「……ダメか?」
主「ん、いや、可愛いよ。こういう雲母初めて見たからさ、ちょっと見とれちゃったよ」
黒「ふふ、可愛いって言ってもらえましたね」
  可愛い……マスターと初めて出会ってから久しく聞いていない言葉だったような気がする。
  ……顔、赤くなってないだろうか。
雲「……ありがと」
  マスターから目をそらす。なんだかあの笑顔を見ているのが恥ずかしい。
  こんなあからさまな態度を見せてしまったら、茶化されそうなのに……絶対アメジスト達には見せたくない。
黒「そうだ、写真撮ってって頼まれていたんですけど、カメラの使い方が分からないんです」
主「ん、そうなの? じゃあついでだから3人で写真撮ろうよ」
黒「あ、いいですねぇ。雲母ちゃん、いいですよね?」
  ……たまには、いいか。
  その時は何故か不思議とそう思えた。
  …………
み「あぁー、やっぱ三つ編みとセーラー服は最高の組み合わせよねぇ」
金「みっちゃん、何見てるかしらー?」

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