宝石乙女まとめwiki

繰り返す日々にスパイスを

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匿名ユーザー

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  ダルい。体が重い。このままだとヤバい。
「た、ただいま……」
「おか……どうなさいましてっ!?」
  あ……ヤバ、意識が……。

「ん……」
「気がつきまして?」
  あれ……俺何やって……。
「帰ってきたと思ったら急に倒れてしまったんですわ。おそらく風邪ですわね。熱はありますがインフルエンザではないと思います」
「あー……部屋まで運んでくれたのか?」
「そんなに玄関が好きなら今から戻しましょうか?」
「いや、ありがとう」
  そうだ、たしか鶏冠石の顔を見て緊張と一緒に意識も切れたんだ。
「悪いな。重かったろ?」
「えぇ、思ったよりもしっかりしていました」
  なんでそこで微笑むんだ?
「うー……まさか風邪ひくとは……」
「季節の変わり目でしてよ? 体調を崩しやすい時期ですわ」
「でも今までそんなに風邪とかひかなかったんだけどなぁ……」
「過去は過去です。とりあえず今日はゆっくり休んでください」
  時計を見る。9時……3時間くらい寝てたのか。
「ずっと看病しててくれたのか……?」
「い、いけませんかっ!?」
「いや、感謝はすれどいけないなんてことは絶対ない」
「当然ですわ」
  看病されるっていいな……実はもう体調はバッチリだが、これならもうちょっと病気もアリだ。それに今日の鶏冠石はやけに優しいしな。今ならちょっと無茶なことでも……。
「鶏冠石……」
「? なんですの?」
「俺はもうヤバいかもしれない……寒いんだ……」
「ちょ、どうしましたの?」
「体が震えるんだ……自分の体じゃないみたいで……怖い」
「大丈夫ですわ。ただの風邪です。体の調子が悪いと心も不安になります。ちゃんと私がついていますから」
「なら……キスしてくれないか?」
「は?」
「鶏冠石……頼む……」
「え、そんな……え?」
  鶏冠石の腕を引っ張る。うろたえてる鶏冠石が鬼のように可愛い。だがここでニヤけてはおしまいだ。あくまで真剣な顔で責める。
「ちょ! 待っ、ん――」
  唇が重なる――
「ん……ふ――」
  鶏冠石の頭はこの事態についてきていないのかもしれない。いつもだと考えられないくらいか弱い。そのギャップで俺の理性はどこかへ飛んでしまったんだろうか。俺は鶏冠石をベッドの上まで引っ張った。
「あ……や、やめなさいっ!! 体調が優れないんじゃありませんの!?」
「いや、ごめんもう我慢ムリ」
「あ、コラ……ちょっと! んむーー!」
「んー」
  たまにはこんなのもアリだ。

  事後。
「サイテーですわ!」
「ゴメン……」
「知りませんっ!! あんな……」
「ん? あんな、なに?」
「もうっ!」
「俺は鶏冠石が好きだからしたんだけど……鶏冠石は嫌だったか……ごめん」
「そ、そんなこと言ってません! ただその過程というか方法というか……ゴニョゴニョ」
  可愛い。可愛すぎるぞ鶏冠石。
「聞いてますの!? って、ん――」
  うるさい口は塞いじゃいましょう。もう正直あとのことなんて考えていない。今日くらい俺の勝手にさせてくれたってバチは当たらない。
  それに別に悪いことをしてるわけじゃないんだ。これからもたまにこんな日があって鶏冠石の小言を聞いて――きっとそんな毎日が続いていくんだ。いや、絶対に続けるんだ。
  終わらせたくない日常を噛みしめるように、そしてまだ見ぬ明日に負けないように――。

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