うん、台風もこっちにはこなかったようだ。多少風はあるけどしっかり晴れたな。
「おーい鶏冠石ー」
「なにかしら?」
「ピクニックいかない?」
「おーい鶏冠石ー」
「なにかしら?」
「ピクニックいかない?」
「そんなわけで準備はできたな」
「言うのが遅すぎますわ! 前日に言ってもらえればしっかりと準備できましたのに……」
「いやまぁ、軽い散歩みたいな感じでよかったんだけどさ。鶏冠石こういうの好きなのか?」
「えぇ、嫌いじゃなくてよ」
鶏冠石は意外と乙女チックだからな。これはもしかして珍しくはしゃいでる?
「それでどこに行きますの?」
「ん、この通りをずっと行ったところに小高い丘があるじゃん? そこ」
「わかりましたわ。では早速向かいましょう」
「言うのが遅すぎますわ! 前日に言ってもらえればしっかりと準備できましたのに……」
「いやまぁ、軽い散歩みたいな感じでよかったんだけどさ。鶏冠石こういうの好きなのか?」
「えぇ、嫌いじゃなくてよ」
鶏冠石は意外と乙女チックだからな。これはもしかして珍しくはしゃいでる?
「それでどこに行きますの?」
「ん、この通りをずっと行ったところに小高い丘があるじゃん? そこ」
「わかりましたわ。では早速向かいましょう」
「結構歩いたな……」
「あらだらしない。たったこれだけでバテてしまったのかしら?」
(お前が異様に速足だったからなんだけどな……)
「ではあの木陰にでもシートを引きましょうか」
「うぃー頼むー」
そよそよそよ
「もっと風があると思ったけど、なかなか……」
「えぇ、心地よい風ですわ」
鶏冠石が優しく微笑む。
「? 私の顔に何かついてまして?」
やば、見惚れてた。
「い、いや。楽しんでるかなーと思ってな」
なんだそりゃ。ピクニックって楽しむもんだっけ?
「あなたにしてはなかなか気が利いていましてよ。こんなに静かな時間はなかなか味わえません」
「そか。ならいいんだ」
ヤバい。今日の鶏冠石はなぜかスゴくドキドキする。ていうか俺が静かに過ごすなんて柄じゃない……間がもたん。
「そうだ! 昼飯にしようぜ!」
「あなたってホントに風情がありませんわね……」
む、だってもうお昼じゃないか。
「楽しみにしてたんだよ、鶏冠石の料理」
「料理というか……サンドイッチと飲物だけですわよ?」
「いいのいいの。さぁ、くれ」
「まったく……はい、召し上がれ」
「あらだらしない。たったこれだけでバテてしまったのかしら?」
(お前が異様に速足だったからなんだけどな……)
「ではあの木陰にでもシートを引きましょうか」
「うぃー頼むー」
そよそよそよ
「もっと風があると思ったけど、なかなか……」
「えぇ、心地よい風ですわ」
鶏冠石が優しく微笑む。
「? 私の顔に何かついてまして?」
やば、見惚れてた。
「い、いや。楽しんでるかなーと思ってな」
なんだそりゃ。ピクニックって楽しむもんだっけ?
「あなたにしてはなかなか気が利いていましてよ。こんなに静かな時間はなかなか味わえません」
「そか。ならいいんだ」
ヤバい。今日の鶏冠石はなぜかスゴくドキドキする。ていうか俺が静かに過ごすなんて柄じゃない……間がもたん。
「そうだ! 昼飯にしようぜ!」
「あなたってホントに風情がありませんわね……」
む、だってもうお昼じゃないか。
「楽しみにしてたんだよ、鶏冠石の料理」
「料理というか……サンドイッチと飲物だけですわよ?」
「いいのいいの。さぁ、くれ」
「まったく……はい、召し上がれ」
5時くらいかな……太陽も優しくなってきた。鶏冠石は小さい娘みたいにチョロチョロ歩き回っている。疲れないんだろうか……でも、あれだけはしゃいでくれたなら連れてきた甲斐があった。
鳥と話していた鶏冠石がこっちに歩いて来る。
「だいぶ暗くなりましたわね」
「あぁ、そろそろ帰るか?」
「少し休ませていただける?」
「ん。わかった」
鶏冠石が俺の横に座る。フワッといい香りがした。夕暮れ時に鶏冠石が木陰で涼んでいると、まるで一枚の絵画になったようだ。その隣にいる俺も物語の一部になった気分になる。
不意に、右肩に重さを感じた。
「おい、鶏冠石?」
「すー……すー……」
ビックリした……寝ちゃったのか……。
「こうしてると年頃の女の子だな」
いつものお嬢様な感じはない。一人の女の子に戻った鶏冠石。
「写真、写真撮っとこうかな」
しまった、ピクニック鞄は手を伸ばしても届かないところにある。くそっ! やられた!
「だいぶ暗くなりましたわね」
「あぁ、そろそろ帰るか?」
「少し休ませていただける?」
「ん。わかった」
鶏冠石が俺の横に座る。フワッといい香りがした。夕暮れ時に鶏冠石が木陰で涼んでいると、まるで一枚の絵画になったようだ。その隣にいる俺も物語の一部になった気分になる。
不意に、右肩に重さを感じた。
「おい、鶏冠石?」
「すー……すー……」
ビックリした……寝ちゃったのか……。
「こうしてると年頃の女の子だな」
いつものお嬢様な感じはない。一人の女の子に戻った鶏冠石。
「写真、写真撮っとこうかな」
しまった、ピクニック鞄は手を伸ばしても届かないところにある。くそっ! やられた!
ゆっくりと時間は流れた。いつまで寝てるんだろう。確かにずっとこうしてたいという気持ちはある。でももうだいぶ暗くなっちゃったぞ?
「鶏冠石……?」
まるで眠り姫。王子のキスを待つ純潔の少女。
「キス、しちゃうぞ」
反応はない。でもこんな寝顔を見せられたら、俺だって我慢はできなかった。
「鶏冠石……?」
まるで眠り姫。王子のキスを待つ純潔の少女。
「キス、しちゃうぞ」
反応はない。でもこんな寝顔を見せられたら、俺だって我慢はできなかった。
「まさかあんなところで寝てしまうなんて…… 不覚でしたわ……」
「まぁたまにはいいじゃん。鶏冠石も羽目外してはしゃいでたんだからさ。疲れたんだろ」
「別にはしゃいでなんか……」
静かな夜道を歩く。楽しかったことの後はこうも物寂しいものなのか。
「ありがとうございます」
「うん?」
「今日は非常に充実した時間を過ごせましたわ」
「あー、イーンダヨー。役得役得」
「? グリーンですわ」
ピクニックもたまにはいいな。今度は他の宝石乙女を誘っても面白いかもしれない。
でも、また二人っきりで行きたい。それでまた二人であの飽和しそうな時間を楽しむんだ。
「まぁたまにはいいじゃん。鶏冠石も羽目外してはしゃいでたんだからさ。疲れたんだろ」
「別にはしゃいでなんか……」
静かな夜道を歩く。楽しかったことの後はこうも物寂しいものなのか。
「ありがとうございます」
「うん?」
「今日は非常に充実した時間を過ごせましたわ」
「あー、イーンダヨー。役得役得」
「? グリーンですわ」
ピクニックもたまにはいいな。今度は他の宝石乙女を誘っても面白いかもしれない。
でも、また二人っきりで行きたい。それでまた二人であの飽和しそうな時間を楽しむんだ。
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