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オブシディアンオパールなるものがあるらしい

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匿名ユーザー

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「ご主人様、オブシディアンオパールっていう人工石があるの、知ってましたか?」
「え、知らないけど……というか唐突だね」
  本当に唐突だった。蛋白石が笑いながら食べ物以外の話を始めるんだから。でもそれより唐突なのは……。
「で、なんで黒曜石ちゃんもいるの?」
「ど、どうも」
  蛋白石と黒曜石、すごく珍しい組み合わせだと思う。
「まぁ、とりあえずいらっしゃい。今お茶用意するから待っててね」
「いえそんなっ、お構いなく」
「私も手伝いますよー」
「君はまな板以外弄っちゃダメ」
  それ以外をやらせると台所が悲しいことになる……。

  オブシディアンオパール。無理矢理日本語にすると黒曜蛋白石になるのかなぁ……なんかすごい名前だ。でも蛋白石と黒曜石ちゃんは別々だし……何がしたいんだろ?
「それで、えー……蛋白石、君は何をしたいの?」
「はいっ、何も考えてませんっ!」
  ……頭痛い。
「ぐ、具合でも悪いんですか?」
「いや……蛋白石がとんちんかんすぎて頭痛がね」
「とんちんかんって酷いですよぉー」
「じゃあせめて何やるか考えてから黒曜石ちゃんを呼びなさいっ!!」
  ほんっと、この子は天然というかなんというか……。
「え、えっと、その……」
  それに対してガチガチに緊張してるのが見て分かる黒曜石ちゃん。恥じらいがあって可愛らしい子だよね。蛋白石ももう少し見習って欲しいよ、まったく。
「……蛋白石、あまり黒曜石ちゃんに変なことさせたらダメだからね」
「分かってますよぉ……もぉ、信用なさすぎですよぉ」
  分かってるならいいんだけどねぇ……にわかに信用できない。
「それじゃあー、黒曜石ちゃん、何しよっか?」
「え、そうですね……二人羽織?」
  僕は盛大にお茶を噴いた。そりゃあもぉ某探偵モノに出てた故松田優作氏の如く。二人羽織って……宴会芸? 黒曜石ちゃんもなかなか面白いことを言うんだなぁ。
「あわわ、大丈夫ですかぁー? タオルタオル……」
「げほっ、ごほっ……そ、ソコのタンス……」
「はい……えっと、あった。どうぞ」
  黒曜石ちゃんからタオルを受け取る。うぅ、鼻に違和感が……。
「ごめんなさい、変なこと言ってしまって」
「い、いいんだよ。気にしてないから」
「グリーンダヨー♪」
「蛋白石ぃ……あーもぉ、じゃあオブシディアンオパールってコンビでも組んで、何かしてみたらどう?」

『私なんかで大丈夫でしょうか?』
  黒曜石ちゃんの言葉通り、確かに不安もたくさん残るが(主に蛋白石に)、ここにオブシディアンオパールなる名前の宝石乙女コンビが結成されたわけだが。
「⊂二二( ^ω^)二⊃ブーン」
「な、内藤かっ」
  身長差が大きい二人が並んだ漫才。黒曜石ちゃんはピコタンハンマーで必死に蛋白石の側頭部にツッコミを入れている……なんか僕、すっごく無理なことをさせてしまった気がする。
  とりあえずコンビといえば漫才ということで、某漫才コンビ風にネタをやらせてみたものの……これはもういろいろとダメだ。そもそも黒曜石ちゃんツッコミ向きじゃない。ハイスピードツッコミ自体無謀だった。だからって馬鹿力の蛋白石なんかにツッコミやらせたら大変なことになるだろうし……うんっ、漫才は無理!
「黒曜石ちゃん、今度はこの『オメェに食わせるタンメンはねぇ!』ってやってみよ?」
「やめとこ、ホントに。黒曜石ちゃんいっぱいいっぱいだし」

  コンビ……女の子でコンビなら、やっぱりアイドル歌手かなぁ。元々蛋白石アイドルみたいな外見だし。でも、これはやる前から失敗というのがはっきりと分かった。だって……。
「やっぱり歌と言えばグリコンダーのテーマだよねぇー」
「あ、それなら私も歌えますよ」
「ホント? じゃあZX改のも大丈夫?」
「んー、ちょっと自信ないですけど、少しなら」
「じゃあ二人で歌おうよ。ご主人様、カラオケいきましょー」
「……アイドルが歌うような歌じゃないでしょ」
  いや、好きなのは分かるけどね。蛋白石達毎週見てるもんね……僕もだけど。でも黒曜石ちゃんも好きだったんだなぁ。ちょっと意外。
「ご主人様ー、カラオケ行きましょうよー」
「あー、はいはい。電気石と殺生石が帰ってきたら連れて行くから……」
「やったぁ。約束ですよ?」
  ……なんか、どんどん当初の目的が忘れ去られている気がする。

  で、結局いろいろやらせても必ずどちらかが苦手という始末。まぁ歌については未知数だけど……ん、どちらかが苦手? じゃあどちらも得意なことって何だ?
「ねぇ、二人の特技って何?」
「もっちろん、包丁さばきですよー」
「えっと……特技かどうかは分かりませんけど、料理……」
  ふむ、なるほどなるほど……って、アイディアキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!! 思わず心の中で叫んでしまった。何故か知らないがそれだけ嬉しいんだよ。
  で、なんか異色なコンビになるけどこれしかない。というかこれにして早く終わらせよう!
「じゃあさ、料理人コンビで行くっていうのはどう? 蛋白石が包丁役で、黒曜石ちゃんが調理役。どちらも見せ場あるし、ちょうどいいと思うけど」
「それなら……できそうですね」
「さすがご主人様っ。私もそれならできますよー」
「よし、じゃあさっそく何か作ってみよっか。最初は僕も手伝うから」
  そうと決まれば準備だ。蛋白石のエプロンと、黒曜石ちゃんは殺生石のを使ってもらうとして……よし、完璧。

  片や人間の境地を越えていそうな包丁使い。
  片や家庭的でお嫁さんの理想みたいな子。
「すごい……」
  僕が口を挟む余地は全くなかった。蛋白石の手に渡った食材は、まるで家の包丁が斬鉄剣か何かのような切れ味になり、自由自在、様々な形に食材を変えていく。
  その材料を手際よく下ごしらえしていく黒曜石ちゃん。殺生石にしごかれたと言っていたが、僕からしてみれば殺生石と同じぐらい料理の腕はいいと思う。
  二人にまな板とフライパンを渡せば、きっと無敵なんだ。そうに違いない。オブシディアンオパール……それは最強の料理人形コンビなんだねっ!
「あっ、手が滑ったぁ~!」
  え……。

  すごいね、大根ってその気になれば人を気絶させるだけの威力が出せるんだね。
「ごめんなさいぃ~、調子に乗ってたらつい……」
「い、いいんだ、うん……それより、二人で料理したらすごいね。いいコンビだと思う」
「ご主人様にそう言ってもらえると、嬉しいですよ」
  と、その時テーブルからいい匂いが漂ってくる。きっと二人の料理ができたのだろう、ちょっと楽しみかも。僕は体を起こしてその料理を確認する。でも確認する必要もないか、この匂いは……。
「なんとかできました」
「愛情たっぷりオブオパカレーっ♪」
  テーブルに並べられたカレーライス。見た目は何の変哲もないけど、少し野菜が多めかな。でもオブオパ? オブシディアンオパールの略だとは思うけど……匂いは普通のカレーだ。
  ……って、なんでカレーなのに大根切ってたの!?
「愛情を込めるならやっぱりカレーだって、テレビで言ってましたからねー。最初の料理はカレーにしてみました」
  相変わらず恥ずかしい言葉を……あー、黒曜石ちゃんスプーン持ったまま顔赤くしちゃって。でも黒曜石ちゃんは僕なんかより自分のマスターさんに食べてもらいたいんじゃないかなぁ。
「さぁマスター、座って下さいねー。黒曜石ちゃんも一緒に食べよー」
「はい。それじゃあ……」
「いただきますっ」
  カレーは好物だ。僕は早速スプーンでカレーを頬張る。で、いかにも感想を聞きたそうな二人の視線。もちろん回答は一つしかないよね。
「うん、美味しいっ。具もちょうどいい大きさだし、味つけもバッチリだよ」
「やったねっ、オブオパレシピ第1号、大成功ー♪」
「そうですね。蛋白石ちゃんの包丁、すごかったですから」
「黒曜石ちゃんだってすごいよー。私調理は全くできないから」
「卵を殻ごと潰しちゃうモンね」
「あっ、それ言わないでくださいよぉー。それよりこの後カラオケですよね? ね?」
「はいはい……せっかく美味しいカレーもご馳走してもらえたから、ちゃんと連れて行くよ」
  せっかくの休みだけど、なんだか疲れなんて取れそうにないなぁ。でもまぁ、たまにはこうしてみんなで遊ぶのも、いいかな。
  ただ、オブシディアンオパールって、コンビ名にするにはいいネーミングセンスではないよね。二人には黙っておくけど。

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