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100万ボルトのお仕置き

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匿名ユーザー

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  僕は何故かいじめられる。しかも陰湿じゃないから逆に質が悪い。
「瑪瑙ーっ、今度はアンミラだよ、アンミラーっ」
「嫌だって言ってるでしょぉー!」
  こうしていつも月長石から逃げる始末。嫌だとはっきり言ってるのに、いつもこうだ。一体僕の何が悪いのか……。
  僕は住宅街を走り回る。月長石から逃れるために。でも月長石、君はずるいよ……空飛べるんだもん。
「ほらほらー」
  悪魔の笑みが近づく。僕は追いつかれまいとさらに脚の回転を上げる。でもこのまま逃げててもらちがあかない……僕は道を曲がると、すぐその近くの庭に飛び込んだ。そして塀の裏に身を潜める……あぁ、情けない。
「瑪瑙ーっ」
  ……声が遠ざかる。どうやら逃げ延びることに成功したよ……。
「……かくれんぼ?」
「うわぁー!?」
  でっ、で、電気石!?
「どうしてここに……あっ」
  よく見たら、ここは電気石や蛋白石のマスターが住んでる家だった。
「今日はみんな留守なんだ」
「うん……私、お留守番」
  彼女が差し出してきたお茶を、礼を言って受け取る。
「……うん、美味しい。電気石お茶淹れるの上手だね」
「殺生石、教えてくれた……」
「殺生石かぁ。そういえば黒曜石も料理習ったって言ってたな」
「でも……上手に、できないと……怖い」
  何故だろう、当事者じゃないのに何故かその恐怖が目に見えたような気がした。
「瑪瑙……用事?」
「え、用事……あぁ、違うよ。ちょっと月長石に、ね……」
「……また?」
  逃げてきたなんてはっきり言えるはずがないよね。でも電気石には悟られて……うぅ、なんだか情けないよ、泣けてくる。
  でも……見た目の割に電気石って鋭かったり、よく分からないところがある。
「……よし、よし」
  って、僕電気石に頭撫でられてる……。
「は、はは……ありがと」
「元気……出た?」
「うん、少し……」
「……よかった」
  あ、笑った。電気石はいつもぼんやりとした顔をしているとばかり思っていたけど、そうでもなかったんだ……見た目は小さな女の子なのに、大人みたいな笑い方。とても優しい、女性の笑顔。ちょっとだけ羨ましかった。僕の外見は男の子だし。
「みぃーつけたっ!」
「うっ!」
  ベランダの窓に月長石っ!? しかもこっちに……突っ込んできたぁーっ! というかこのままだとガラスが割れ……。
「キーック!」
  ……そのかけ声と共に、澄み切った音で粉砕されるガラス。というかキック一発で……恐ろしい。
「にしし、もう逃げ場はないよ……あれぇ? 電気石もいるー」
  ガラスが割れる前にテーブルの下に避難していた電気石が姿を現す……あ、怒ってる。
「月長石……悪い子」
「な、なによぉ、ガラスの一枚や二枚、あっという間に直せるしぃ」
「マスターの、おうち……壊した」
  う……なんか電気石、放電してない? さっきから周りでバチバチと音が……これには月長石も危機感を感じたらしい。頬が引きつっている。
「悪い子は……お仕置き。殺生石、そう……言った」
「う……これはとってもまずい予感……」
「悪い子……お仕置き」
  ……僕の目の前で、電気石の体が光った。
  覚えているのはそこまで。ただ気を失う前にものすごい衝撃が走ったことだけは覚えてる……家、大丈夫かなぁ。

「ただい……うわぁー!!」
  帰ってきてみると、家は荒れ放題だった。もう言葉では言い表せられないないほどの惨状だ。
「おかえり……」
  それを出迎えるのはいつも通りの電気石。だがその周りには、何故か月長石と瑪瑙が気絶していた。
「な、何……これ」
「悪い子……お仕置き」
「……家を滅茶苦茶にするのも悪い子だよ、電気石」
「……お仕置き、されちゃう?」
「……」
  こういう時に殺生石がいたらどれだけ助かるか……あー、誰でもいいから早く帰ってきて。

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