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猫に鈴

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匿名ユーザー

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あるところに、三匹のねずみと、一匹の猫がいました。
猫は毎日毎日、ねずみを追いかけ回します。
そこでねずみの一匹がとある提案をしました。
瑪「これをつければ、猫が来た時にすぐにわかるぞ」
ねずみの手には、黄色い鈴が握られていました。
瑪「さぁ誰か、この鈴を猫につけてきてくれ」
そこで、別の一匹が言いました。
真「?あなたがつけてくればいいんじゃないのかしら」
一匹目のねずみは、困り顔です。
瑪「う!いや、えっとその……お腹!お腹が痛い痛い痛い、これでは鈴をつけにいけない!」
すごくわざとらしい声をあげました。
それを見て、二匹目のねずみが言いました
真「……ハァ、自分で出来ないことを人に頼むもんじゃ」
ないよ、まで言おうとしたところで、三匹目のねずみが口を開きました。
雲「雲母がやる」
真・瑪「……へ?」
一匹目のねずみと二匹目のねずみは驚きました。
もしも、鈴をつけるところを見つかったら、食べ殺されてしまうかもしれません。
それなのに、三匹目のねずみが、自分が猫に鈴をつけてくる、というのですから当たり前です。
瑪「やめておきなよ、食べられてしまうかもしれないよ?」
真「そうそう、命は一つだけなんだよ?」
二匹は、一生懸命説得しました。
雲「雲母がやらねば、誰がやる」
しかし、三匹目のねずみは一向に聞きません。
真「……分かったわ。でも気をつけなさい、猫は狡賢いから」
瑪「決して気を抜いちゃいけないよ、気を抜いたらすぐにお腹の中に入れられちゃうんだから」
二匹のねずみは、精一杯のアドバイスをしました。
雲「では、行ってくる」
そろりそろり、そろりそろり。
抜き足、差し足、忍び足。
ゆっくりゆっくり、寝ている猫に近づきます。
りん。
鈴の音がなってしまいました。
月「に゛ゃ゛~……何の音かにゃぁ?」
猫は寝惚けているようです。
雲「風の音、風の音」
月「にゃぁんだ、風の音かぁ……」
猫は再び眠り始めました。
そろり、そろり、そろり、そろり。
抜き足、差し足、忍び足。
ゆっくりゆっくり、寝ている猫に近づきます。
ちりん。
鈴の音がなってしまいました。
月「に゛ゃ゛~……何の音かにゃぁ?」
猫はまだ寝惚けているようです。
雲「雨の音、雨の音」
月「にゃぁんだ、雨の音かぁ……」
猫は三度眠り始めました。
そろぉりそろぉり、そろぉりそろぉり。
抜き足、差し足、忍び足。
ゆっくり、ゆっくり、寝ている猫に近づきます。
ちりりん。
鈴の音がなってしまいました。
月「に゛ゃ゛~……何の音かにゃぁ?」
猫はやっぱり寝惚けているようです。
雲「戸の音、戸の音」
月「にゃぁんだ、戸の音かぁ……」
猫はやっぱり眠り始めました。
そろぉり、そろぉり。そろぉり、そろぉり。
抜き足、差し足、忍び足。
ゆぅっくり、ゆぅっくり、ゆぅっくり、ゆぅっくり、寝ている猫に近づきました。
しゅるしゅるしゅる、きゅっ。
三匹目のねずみは無事、猫に鈴をつけることが出来たのでした。
心なしか、グッジョブ!と言いたそうな表情です。



三匹のねずみは物陰から、そぉっと猫の様子を見ていました。
月「ん゛に゛ゃ゛~……」
ちりちりん。
月「んにゃ?これは……にゃんだこれ」
三匹目のねずみが苦労してつけた鈴は、猫の手によって簡単に外されてしまいました。
月「旦那さんがつけのかにゃ?でもぉ……いらにゃぁい」
ぽいっ。
ちりちりちりん。
猫は鈴を放り投げてしまいました。
月「ん~!……外でもう一眠りするかにゃ」
猫はやっぱり、眠たそうに声をあげるのでした
めでたし、めでたし。



瑪「おのれ、猫め……!」
真「まぁ、ねずみが紐結べるんだから、猫が紐解けてもなんら不思議はないわね」
雲「……」
これでほんとに、めでたし、めでたし。

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