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西洋下着

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匿名ユーザー

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「だからねぇ、たまにはあなたもこういうのを」
「んー……私はかわいい方が好きなんだけどなぁ」
 爆弾岩と蛋白石が、テーブルの上に雑誌を広げて雑談を繰り広げる。
 雑誌の内容は、どうやら西洋の下着に関するものらしい。先ほどから爆弾岩が言う
あだるとという言葉はよく分からないが、二人とも楽しそうに話をしている。
 だけど、二人の間に座らさせられているだんな様は、相当居心地が悪いらしい。
女性の下着を選ぶのに付き合わされるのは、殿方としてつらいのは明白だ。
「あ、あのぉ、やっぱり僕は必要ないと思うんだけどなぁ。その、レポートもあるし、部屋にぃ」
「えー、ご主人様も一緒に選びましょうよぉー」
「そうよぉ。いざというときの練習と思ってね」
「いざというときって、一体いつ……って、二人とも腕掴まないでってば!」
 腕を捕まれ、絶対逃げられまいと押さえつけられるだんな様。両側から挟み込んでくる胸が、
妙に腹立たしく見える。
「……そんなに重要な物なのですか、下着というのは」
「え? そりゃあねぇ。男の子を誘惑するには、直接攻撃より間接的に攻めていった方が確実よ?」
「そうですか」
 前にペリドットにやらせた素肌にえぷろんというのと、同じ理屈なのだろうか。
 しかし、結局のところわたくしには関係ない。
「あれ、そういえばせっちゃんはずっと着物だからぁ……下着って、今まで一度も?」
「ん、ええ。これまで全くその手の物は」
 そう、わたくしは下着というのに触れたことが、これまで一度もない。
 それがわたくしには当たり前のことだし、わざわざ着物の中に別の衣服を身につけるというのも、
理解できない。
 ……ですが、それを聞いてなぜ、だんな様は顔面を紅潮させているのだろうか。
「あ、【蛋白石のマスター】君真っ赤。かわいいわねぇ」

 あれほどにぎやかだった今に、静寂が訪れる。
 二人はだんな様を連れて買い物へ。私は一人留守番ということになった。
「ふぅ」
 湯飲みを置き、テーブルに放置された雑誌を眺める。
 そこに載っている下着の数々。布地部分がこんなにも少ないのに、身につける意味が
どこにあるのだろうか。
 それこそ、殿方を間接的に誘惑する道具……誘惑……。
 ――だんな様は、どのような下着が好みなのだろう。
 雑誌を手に取り、適当にめくっていく。
 よく分からないカタカナ文字の羅列。カタカナに弱いわたくしとしては、頭が痛い。
 だが、一緒に載っている写真を見れば、大抵の想像は出来る。例えばこの、
がーたーべるとというもの……。
 これは、このすとっきんぐというものを下がらないようにする物なのだろうか。
 で、これをわたくしが身につけたとしたら……。
「……理解できませんね、やはり」
 どうせ隠れてしまう場所ならば、もっと単純な物でも良いのではないだろうか。
 でも、だんな様が好きだというのなら、このような物を身に付けてみても良いかもしれない。
 どのような物が好きなのかは、さすがに分からないが。

「ただいま……」
 意気揚々とした二人に続き、だんな様が疲れた表情で帰宅する。
 そして居間にくるなり、テーブルに突っ伏す。相当の気苦労があったのだろう。
「ご主人様のおかげでかわいいの選べたよー」
「あたしはアダルトなのがいいって言ったのになぁ。【蛋白石のマスター】君の趣味って、
そういうのなのねぇ」
「だから、違いますってば……」
 顔だけを爆弾岩に向け、疲れ果てた声で反論するも、どこか説得力のないだんな様。
「もう、素直じゃないのねぇ……あら、せっちゃんも気になるの?」
「え?」
「だって、手のそれ。読んでたんじゃないの?」
 そこで、未だ雑誌を手に持っていた自分に気付く。
「どんな物かが気になっただけです」
「あら、そうなの。なら今度はせっちゃんのも決めてあげないといけないわねぇ」
 にやりと笑う爆弾岩の視線が、だんな様に向けられる。
 その視線から目をそらすように、だんな様は顔をテーブルに埋める。
 ……こんな風に、だんな様を恥ずかしがらせる道具なら、やはり用意をするべき道具なのかも知れない。
 他でもない、あなただけの為に。
「ふふ、照れちゃってぇ。それじゃあせっちゃん、色々教えてあげるわね」
「あっ、私も手伝うよー」

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