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ソーダちゃんの「ひとりより、ふたりなのっ」 その2

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匿名ユーザー

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 時に、暖かい室内から外へ出るのも、頭の気分転換にはよいこと。
 家にいることが多い身としては、こうして外の空気を吸うのは心地がよい。
 とはいえ、今日は一段と寒い。普段は子供の姿も見られそうな公園も、長椅子に座るわたくし以外の姿はない。
 冬もついに本番。人も外に出るのが億劫な時期になったようで。
「てーいっ」
 ……尻尾に、抱きつかれる感触。衝撃は小さい。
 先ほど、だんな様と手入れをしたばかりなのに。
「ふかふかぁ」
「……ソーダ、いきなり何を」
 振り向けば、相変わらずの笑顔を浮かべるソーダの姿。
 わたくしの尻尾に抱きつき、頬摺りをしている。毛並みはすっかり崩れてしまった。
 いつも抱きつかないようにと言っているのに。まったく、どうして宝石乙女の子供達はこう……。
「ソーダっ、勝手に走っちゃ危な……あ、殺生石さん」
 ソーダに送れて姿を現したのは、この子の主。母親代わりの女性。
 片手に何か衣類のような物を持ち、わたくしの尻尾からソーダを引き離す。
「やぁー、ふかふかぁー」
「ダーメ。ごめんなさい、この子ったらいつも」
 毛並みの崩れた尻尾を、手櫛で直してもらう。
「子供を相手していれば、いつものことです」
「そうですねぇ」
 苦笑を浮かべる、ソーダの主。24時間子供の相手をしているのだから、わたくしの気持ちも分かってしまうのだろうか。
「それにしても、殺生石さんと外で会うのって初めてですね」
「あまり外には出ませんから」
 揺らす尻尾に目をやる。他人の前で、これはあまりにも目立ちすぎてしまう。
「それよりも、貴女達はなぜここに?」
「あ、はい。ソーダが新しいマフラー巻きたいって言うから、散歩に」
 そう言って、持っていた衣類らしき物……まふらーという物をこちらに差し出す。
 毛糸という素材で出来た、帯状で厚みのある布。しかしずいぶんと長いような気がする。
「殺生石さんを見つけて、抜け出しちゃいましたけど。ソーダ、寒いからこっちにおいで」
「はぁーいっ」
 隣に座っていたソーダが、主の膝元に腰を下ろす。
 そして主が、手にしていたまふらーを自らとソーダの首に巻く。
 なるほど、互いに密着して冷えを抑えるものですか。ついでに襟元からの冷気も抑えられる。
「何だか、テレビか何かで二人でマフラー巻くのを見ちゃったみたいで。真似をしたいって言うから作ったんですよ」
「ラブラブーっ」
 主の胸元にしがみつき、すっかり甘えん坊状態のソーダ。
 確かにこれなら、相当の暖かさは確保出来るだろう。
「ずいぶんと微笑ましい光景ですね。ふふふ」
「あはは……手編みなんて久しぶりで、あまり上手く作れませんでしたけどね」
「ううん、ママおじょーず。あみあみじょーずっ」
 融合でもしそうな勢いで密着しているソーダ。そして照れくさそうに笑顔を浮かべる主。
「……それ、教えてもらえないでしょうか」
「え?」

          ◆

 針を両手に、毛糸との格闘。
「ここを、こうして……なかなか、難儀ですね」
 どうも、彼女のように手際よく進めることが出来ない。
 なかなか大変な作業。しかし、わたくしとしても妖弧の自尊心がある。この程度のものに翻弄されるつもりは……。
「ここは、え、あ……間違えてる」
 ……翻弄されて、なるものか。
「あ、あのさ……僕がやろうか?」
「ダメです。これは妾自身がやらなければならないことなのですから」
「そ、そう」
 そう、これはだんな様の手を借りてはいけない。
 自力でまふらーを完成させ、そしてだんな様と密着し合うために……。
「えっと、そこはそうじゃ……」
「え、あ……あ、主様っ、あまり見ないでください!」
 しかし、今冬中に完成するのか。
 それだけは、わたくし自身も予想出来ない。完成させなければならないのに。

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