宝石乙女まとめwiki 試金石と寝相

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元々は殺風景な部屋ではあったが最近大量に購入したジャック・オー・ランタンの
人形のおかげで幾分部屋っぽくなったのではないだろうか、女の子の。
悲しい。男として悲しすぎる。本棚が僕の唯一の存在感なこの状態。
今日は一段と冷え込む。となると当然あの寒さ嫌いの人は亀と化す。
何しろものぐさな亀だ、いろいろと僕に命令してくる。王様と言い換えてもいい。
南瓜に囲まれた世界の王。それが彼女で、僕は都合の良い奴隷だろうか。
奴隷……彼女にとって僕がそんなものでないことを願いたい。
ああそうさ彼女がそんな風に僕を扱うわけがない。だからドアの前で躊躇しなくてもいい。
さぁ今こそ扉を開こう。きっと彼女は笑顔で出迎えてくれるハズだ。
「お、主人。丁度いいところに。蜜柑が切れた追加をもってきてくれないか」
「……了解」
僕の少しばかり儚い希望は無表情な彼女によって瞬殺された。
蜜柑ね、まだ在庫はあるからね、いいけどさ。あはは……。
ああ悲しい。悲しすぎる。物を頼まれるには慣れているからいい。
ああでも何だか心に木枯らしが吹く思いだ。なんていうか、寒い。身も心も。
籠に蜜柑を入れながら思わず溜息が出る。それは寒いからとい理由の他見当たらない。
結局、僕も寒いのが苦手なのかもしれないな。寒いから、何となく心細くなる。
心細いから、何でもないことでもすこし泣きたくなるんだ。やれやれ、弱いな、僕は。
さて、大体この辺りかな。ここは寒いし、早く戻ろう。
小走りで部屋まで戻り蜜柑が山のように詰まれた籠をコタツの上へ。
試金石はただボーッとニュース番組を見ていた。
僕はゲームをやろうと辺りを見回したがどこにもなかったので諦めることに。
山のような蜜柑を一つとる。蜜柑は皮を剥ぐのが面倒くさい果物だと思う。
口に入れると柑橘系独特の酸味と甘みが広がる。うん、これはどうもアタリのようだ。
「元気がないようだが」
ポツリ、と試金石はそう呟いた。そりゃ、さっきから元気はないけども。
悟られるほどわかりやすかったのか、僕は。やれやれ、心配させてしまっただろうか。
「まぁ、少しね」
僕も呟くように返答した。すると試金石は少し唸った後、僕のところへ近づいてきた。
一体何をするつもりかと様子を見てみたが近寄るだけで何もしない。
「何があったかはわからないが、元気がないようなら私が近くにいてやろう」
「それは嬉しいね」
やがてよりそうようにして少し大きめなコタツに何故か狭く入る僕達。
ただ、分かったのが。彼女は僕を奴隷なんかとして思っていない事と
結構心配もしてくれることだった。そう考えると、少し嬉しい。
やがて耐え難い睡魔に襲われる。特に逆らう必要もないので、そのまま寝てしまう。

起きたら目の前に南瓜の人形、恐らくジャック君が鎮座なさっていた。
寝ている間に何が起こったのかとんと検討がつかない。
何となく怒っているようなジャック君の表情。こりゃ、某映画状態なのかもしれない。
まぁ縁起でもないことを考えるのはよそう。今は現状の把握が先だ。
隣にいた試金石がいない。さらにすでに外は暗い。
まさか暗い中どこかへふらふら出歩いたのではあるまいな。
しかしそれはどうやら杞憂であったことがわかる。
何故なら彼女は隣にいないだけで正面にはいたのだ。
「起きたか」
「うん、まぁ」
どうやらジャック君に邪魔されて見えなかっただけのようだ。
何故か試金石は少しばかり不機嫌なようである。一体何が起こったのか。
「寝ている状況というのは無意識だ」
唐突に語りだす試金石。何かいやな予感がする。
逃げるのは今のうちではあるが指一つ動かせないこの状況。
まさに蛇に睨まれた蛙。何か僕悪いことしただろうか。
「無意識の行動についてとやかく言う気はないが
主人が何をしたのかについては知っていてもらいたい」
「あの、僕が何か」
何かあまり言いたくないことなのか顔を赤らませて俯く試金石。
どうしよう、何かを起こしてしまったに違いない。でも何を?
やがて決心がついたように再び僕の眼を見る試金石。
しかしそれでもすぐに眼をそらす。……あの、僕が何を。
「ええと……私が隣にいたのをいいことに抱きついてきたり
……あまつさえ身体中を撫でるようにして触れて
とうとう私の……その……む……胸にまで手を」
「え」
絶句する。そんなハレンチな行為を僕がしていたとは。
……というか無意識だったのが憎い。無罪であれを触れるのは不可能に近いのに。
それなのに感触一つ覚えていない自分が憎い。
違う違う。そうじゃないそうじゃない。
「それは……ごめん」
「何かしらの責任はとってもらうからな」
……責任とってもらうんだから。とまぁ最近の漫画風に言えばそうなる。
が、こんなうらやまけしからん状況を体験するとは思わなかった。
さてはて、どう責任をとったものやら……?