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ピクニック」(2006/09/18 (月) 20:34:19) の最新版変更点

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  うん、台風もこっちにはこなかったようだ。多少風はあるけどしっかり晴れたな。 「おーい鶏冠石ー」 「なにかしら?」 「ピクニックいかない?」 「そんなわけで準備はできたな」 「言うのが遅すぎますわ! 前日に言ってもらえればしっかりと準備できましたのに……」 「いやまぁ、軽い散歩みたいな感じでよかったんだけどさ。鶏冠石こういうの好きなのか?」 「えぇ、嫌いじゃなくてよ」   鶏冠石は意外と乙女チックだからな。これはもしかして珍しくはしゃいでる? 「それでどこに行きますの?」 「ん、この通りをずっと行ったところに小高い丘があるじゃん? そこ」 「わかりましたわ。では早速向かいましょう」 「結構歩いたな……」 「あらだらしない。たったこれだけでバテてしまったのかしら?」 (お前が異様に速足だったからなんだけどな……) 「ではあの木陰にでもシートを引きましょうか」 「うぃー頼むー」   そよそよそよ 「もっと風があると思ったけど、なかなか……」 「えぇ、心地よい風ですわ」   鶏冠石が優しく微笑む。 「? 私の顔に何かついてまして?」   やば、見惚れてた。 「い、いや。楽しんでるかなーと思ってな」   なんだそりゃ。ピクニックって楽しむもんだっけ? 「あなたにしてはなかなか気が利いていましてよ。こんなに静かな時間はなかなか味わえません」 「そか。ならいいんだ」   ヤバい。今日の鶏冠石はなぜかスゴくドキドキする。ていうか俺が静かに過ごすなんて柄じゃない……間がもたん。 「そうだ! 昼飯にしようぜ!」 「あなたってホントに風情がありませんわね……」   む、だってもうお昼じゃないか。 「楽しみにしてたんだよ、鶏冠石の料理」 「料理というか……サンドイッチと飲物だけですわよ?」 「いいのいいの。さぁ、くれ」 「まったく……はい、召し上がれ」   5時くらいかな……太陽も優しくなってきた。鶏冠石は小さい娘みたいにチョロチョロ歩き回っている。疲れないんだろうか……でも、あれだけはしゃいでくれたなら連れてきた甲斐があった。 #ref(13718.gif)   鳥と話していた鶏冠石がこっちに歩いて来る。 「だいぶ暗くなりましたわね」 「あぁ、そろそろ帰るか?」 「少し休ませていただける?」 「ん。わかった」   鶏冠石が俺の横に座る。フワッといい香りがした。夕暮れ時に鶏冠石が木陰で涼んでいると、まるで一枚の絵画になったようだ。その隣にいる俺も物語の一部になった気分になる。   不意に、右肩に重さを感じた。 「おい、鶏冠石?」 「すー……すー……」   ビックリした……寝ちゃったのか……。 「こうしてると年頃の女の子だな」   いつものお嬢様な感じはない。一人の女の子に戻った鶏冠石。 「写真、写真撮っとこうかな」   しまった、ピクニック鞄は手を伸ばしても届かないところにある。くそっ! やられた!   ゆっくりと時間は流れた。いつまで寝てるんだろう。確かにずっとこうしてたいという気持ちはある。でももうだいぶ暗くなっちゃったぞ? 「鶏冠石……?」   まるで眠り姫。王子のキスを待つ純潔の少女。 「キス、しちゃうぞ」   反応はない。でもこんな寝顔を見せられたら、俺だって我慢はできなかった。 「まさかあんなところで寝てしまうなんて…… 不覚でしたわ……」 「まぁたまにはいいじゃん。鶏冠石も羽目外してはしゃいでたんだからさ。疲れたんだろ」 「別にはしゃいでなんか……」   静かな夜道を歩く。楽しかったことの後はこうも物寂しいものなのか。 「ありがとうございます」 「うん?」 「今日は非常に充実した時間を過ごせましたわ」 「あー、イーンダヨー。役得役得」 「? グリーンですわ」   ピクニックもたまにはいいな。今度は他の宝石乙女を誘っても面白いかもしれない。   でも、また二人っきりで行きたい。それでまた二人であの飽和しそうな時間を楽しむんだ。
  うん、台風もこっちにはこなかったようだ。多少風はあるけどしっかり晴れたな。 「おーい鶏冠石ー」 「なにかしら?」 「ピクニックいかない?」 「そんなわけで準備はできたな」 「言うのが遅すぎますわ! 前日に言ってもらえればしっかりと準備できましたのに……」 「いやまぁ、軽い散歩みたいな感じでよかったんだけどさ。鶏冠石こういうの好きなのか?」 「えぇ、嫌いじゃなくてよ」   鶏冠石は意外と乙女チックだからな。これはもしかして珍しくはしゃいでる? 「それでどこに行きますの?」 「ん、この通りをずっと行ったところに小高い丘があるじゃん? そこ」 「わかりましたわ。では早速向かいましょう」 「結構歩いたな……」 「あらだらしない。たったこれだけでバテてしまったのかしら?」 (お前が異様に速足だったからなんだけどな……) 「ではあの木陰にでもシートを引きましょうか」 「うぃー頼むー」   そよそよそよ 「もっと風があると思ったけど、なかなか……」 「えぇ、心地よい風ですわ」   鶏冠石が優しく微笑む。 「? 私の顔に何かついてまして?」   やば、見惚れてた。 「い、いや。楽しんでるかなーと思ってな」   なんだそりゃ。ピクニックって楽しむもんだっけ? 「あなたにしてはなかなか気が利いていましてよ。こんなに静かな時間はなかなか味わえません」 「そか。ならいいんだ」   ヤバい。今日の鶏冠石はなぜかスゴくドキドキする。ていうか俺が静かに過ごすなんて柄じゃない……間がもたん。 「そうだ! 昼飯にしようぜ!」 「あなたってホントに風情がありませんわね……」   む、だってもうお昼じゃないか。 「楽しみにしてたんだよ、鶏冠石の料理」 「料理というか……サンドイッチと飲物だけですわよ?」 「いいのいいの。さぁ、くれ」 「まったく……はい、召し上がれ」   5時くらいかな……太陽も優しくなってきた。鶏冠石は小さい娘みたいにチョロチョロ歩き回っている。疲れないんだろうか……でも、あれだけはしゃいでくれたなら連れてきた甲斐があった。 #ref(137180.gif)   鳥と話していた鶏冠石がこっちに歩いて来る。 「だいぶ暗くなりましたわね」 「あぁ、そろそろ帰るか?」 「少し休ませていただける?」 「ん。わかった」   鶏冠石が俺の横に座る。フワッといい香りがした。夕暮れ時に鶏冠石が木陰で涼んでいると、まるで一枚の絵画になったようだ。その隣にいる俺も物語の一部になった気分になる。   不意に、右肩に重さを感じた。 「おい、鶏冠石?」 「すー……すー……」   ビックリした……寝ちゃったのか……。 「こうしてると年頃の女の子だな」   いつものお嬢様な感じはない。一人の女の子に戻った鶏冠石。 「写真、写真撮っとこうかな」   しまった、ピクニック鞄は手を伸ばしても届かないところにある。くそっ! やられた!   ゆっくりと時間は流れた。いつまで寝てるんだろう。確かにずっとこうしてたいという気持ちはある。でももうだいぶ暗くなっちゃったぞ? 「鶏冠石……?」   まるで眠り姫。王子のキスを待つ純潔の少女。 「キス、しちゃうぞ」   反応はない。でもこんな寝顔を見せられたら、俺だって我慢はできなかった。 「まさかあんなところで寝てしまうなんて…… 不覚でしたわ……」 「まぁたまにはいいじゃん。鶏冠石も羽目外してはしゃいでたんだからさ。疲れたんだろ」 「別にはしゃいでなんか……」   静かな夜道を歩く。楽しかったことの後はこうも物寂しいものなのか。 「ありがとうございます」 「うん?」 「今日は非常に充実した時間を過ごせましたわ」 「あー、イーンダヨー。役得役得」 「? グリーンですわ」   ピクニックもたまにはいいな。今度は他の宝石乙女を誘っても面白いかもしれない。   でも、また二人っきりで行きたい。それでまた二人であの飽和しそうな時間を楽しむんだ。

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