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里帰り」(2006/09/07 (木) 17:26:25) の最新版変更点

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僕が家に帰ると黒曜石がちゃぶ台に突っ伏して寝ていた。 起さないようにそっと黒曜石を抱き上げようとしたのだが、やはり起きてしまったようだ。 「マスターお帰りなさい、お帰りが遅いので心配したんですよ」 少し泣き顔の黒曜石にそう言われると僕も素直に謝らなければならない。 「ごめんよ、今度からは気をつけるよ」 ぎゅっと抱きしめると黒曜石は安心したのか、明るい声にかわった。 「晩御飯は食べますか?」 黒曜石は2ヶ月前から僕の家に来た宝石乙女という魂を持った人形だ、黒曜石の話によると 宝石乙女に相応しい人間の元にやってきてマスターの心を癒す存在となるということだ。 彼女の知る限り10人以上の宝石乙女が存在し、それらは姉妹のように仲良くしているらしい。 いつか姉妹に会わせたいと彼女は言うのだが自分の力で自由には出歩くことのできない宝石 乙女達に会うことはできていなかった。 そんなある朝のことだった、彼女が何時になっても起きて来ないので彼女がいつも寝ている 宝石箱を開けて見た。 調子でも悪いのかと様子を見るためにベルベットで出来た布団をまくると、顔に向かって 何かが飛びついてきた。 「うひゃぁ~ひっかかった!」 しゃべってる?でも黒曜石の声じゃない……顔に張り付いた人形を引き剥がすと、いつもと 同じだが何か表情の違う顔が目の前にあった。 「あなたが黒曜石のマスターだね、私銅鉱石、黒曜石と姉妹の宝石乙女だよ  今日は黒曜石がマグマのエネルギーを補給するのに宝石乙女の国に帰ってるから  私が代わりに来ちゃった!これ黒曜石からの手紙ぃ!」 銅鉱石から渡された手紙には黒曜石の字で一日宝石乙女の国に帰ること、僕の世話を銅鉱石が してくれることが書かれていた。 「ねえ、マスター私と遊ぼうよ」 黒曜石とは正反対な性格の銅鉱石の相手をしていると、銅鉱石はやたらと僕の体に触れてくる。 銅鉱石が僕の体によじ登ると耳元で「ねえ、私を楽しませて」と色っぽい声をささやきかけてきた。 その声を聞いた僕はまるで催眠術にかかったように、人間と宝石乙女の越えてはいけない一線を 越えてしまった。 銅鉱石との夜はふけていったのだが、最後はどうなったのか僕は覚えていなかった。 目を覚ますと僕はひとりベッドにいたのだから。 台所から聞こえる包丁の音に台所に引き寄せられると、黒曜石がいつものように朝食の用意を しているのだった。 彼女のもとに近づくと振り向いて満面の笑みで 「おはようございますマスター、昨日はすみませんでした銅鉱石が失礼しませんでしたか?」 「うん楽しかったよ」罪悪感を覆い隠すように笑顔の返事を返した。 「そうそうマスター、これをもって来ました見てください」 宝石乙女の国の土産話の最中に彼女は一冊のアルバムを僕に差し出した。 そこにはたくさんの宝石乙女たちが写った写真があった。 「えっと、これが雲母ちゃん、これが天河石ちゃん……これが銅鉱石……」 一枚一枚説明を聞きながら何十枚もの写真を眺めていく、そして僕はあるひとつの疑問が頭を よぎった。 「ねえ、黒曜石と銅鉱石は本当は一人なんじゃないかい?」 そう切り出すと、彼女は当惑した顔でこちらを見つめる。 「え、どうしたんです、マスター私と銅鉱石は別の……っきゃぁー!」 僕は強引に黒曜石のスカートを捲り上げた。 「黒曜石、これはどう説明するんだ?」 彼女の太ももには昨夜銅鉱石に僕がつけたキスマークがそのまま残っていた。 「……ばれちゃった……」銅鉱石の顔で舌を出し言った。 「やあ、銅鉱石」 「宝石乙女の肌にキスマークが残るなんて考えてもなかったよぉ」 「君、いや君たちはどうしてこんなことをしたんだ?」 「マスターの人数だけ宝石乙女の世界があります。  そして、それぞれの世界は地下のマグマを通じてつながっているのです。  マグマの中ではマスターの心を覗く事が出来るのですが、マスターは私を好いて頂いているのに  ただ大事にしていただけるだけで……  だから、別の世界の私……銅鉱石と入れ替わってマスターと……」 最後は顔を真っ赤にして話してくれたのだった。 「黒曜石……」 彼女を抱きしめ唇を奪うと、銅鉱石が「じゃあね」と言い彼女中から消えていったのだった。

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