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月長石の素敵な一日」(2006/09/05 (火) 19:21:46) の最新版変更点

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  今日は実に快調。目覚めは最高に良かったし、朝ご飯は食べた。美味しかったよー、自分の腕を褒めちゃうぐらいっ。   だけど、そんな素晴らしい一日の始まりなのに……アメジストの奴ぅ~。 月「『今日は一人で遊んでなさい』だってぇ~? 付き合い悪いのーっ」   ま、別にいいモンねーだ、アタシ一人でもさ。   という訳で、今日は誰であそぼっかなぁ……いつも金剛石や瑪瑙ばかりだと飽きちゃうからなぁ。   んー……よし! 今日は人間を相手してやろーっと。   でもどいつを狙うか……天河石のマスターはちょっと柄が悪いから嫌いだし、蛋白石のマスターは面白くなさそう。   となると、やっぱ黒曜石のマスターかぁ。アレも人間としては面白みがないけど……まぁ、蛋白石のトコよりはマシかなー。   と、言う訳で黒曜石の家に移動ーっと。 月「さぁ~って、何しちゃおうかなぁー……ここはやっぱアレかなぁ、男だし」   さっきは買い物がないとは言ったが、よくよく考えたらお米が無くなっていたと黒曜石に言われた。   でも黒曜石にお米を買うのは無理。だから金剛石に一応行かせたが……。 黒『金剛石ちゃん、財布忘れちゃったみたいで……多分気付いていないし、届けに行ってきます』   と、がっかりした様子で言っていたのを思い出す。まったく、金剛石はおっちょこちょいなんだから。   という訳で、今僕は部屋で独り。雲母や瑪瑙も出かけているらしく、やたらと静かだ。 月「やぁ」 主「ぬぅわーあぁぁぁ!?」   て、天井から顔!? 月「にひひひ、成功成功っと」   ……この喋り方、月長石か。あーびっくりした。 主「もぉ、脅かさないでよ……みんなならいないし、今日は具合悪いからイタズラは勘弁してよ」 月「ふーん、具合悪いんだぁ。あながち二日酔いか何かじゃないのー? 図星? 図星でしょ? ほらやっぱー」   す、鋭い……何で分かるんだろ。 月「男ってこれだからダメなのよねー、自分の限界を知らないで飲むんだから。黒曜石かわいそー」 主「う、うるさいなぁ。付き合いなんだから仕方ないでしょ」 月「その言い訳をするのはオヤジの証拠だよー」   うぐっ、痛いところを……自覚はあったけど、言われるとすごい痛い。   とにかく何か話題を変えないと……。 主「ね、ねぇ……いつまで僕の膝に乗ってるつもり?」 月「んー? そんな減るモンでもないし、細かい事気にしないの。それともまさか重いとか言うんじゃないでしょうねぇ?」   あぁー、目に殺意が篭もってる。やっぱりこの子達も体重については気にしてるんだなぁ。   ……って、変化しないよっ、人形なんだし!! とは大声で言えない……だって怖いんだもん。 主「べ、別にそういう訳じゃないけどさ」 月「にしし、ならいいじゃん」 主「だからってくつろぐなぁー!」   …………   重い体を引きずり、月長石にお茶を差し出す。普通の日本茶だが、月長石は文句を言わずに飲んでいる。 主「……で、こんなところにいたって君の暇は潰れないと思うけど?」   遠回しに退出を願ってみても、月長石にその兆候は見られない。こうなったらお茶漬けでも出すかな。   だが、その前に月長石が口を開く。 月「退屈をどう潰すかなんて、アタシの自由でしょー?」 主「だからってそれに俺を巻き込まないでよ」 月「他人を巻き込んでこその暇つぶしでしょうが」   うわぁ、とんでもない奴だ……。 月「さぁてと、ここってあなたの部屋なんだよねぇ? じゃあエッチな本の一冊や二冊はぁー」 主「こ、こらぁ! 物色するなー!」   タンスや本棚の裏を調べ始める月長石。でもそんなとこ探しても無駄だよ、この前瑪瑙に全て処分されたし……。   それでも部屋を物色されるのはいい気分ではない。俺は月長石を止めようと部屋を歩き回るが、なかなかどうしてこの 狭い部屋でヒラヒラと舞うように動けるのか……全然捕まらん。 月「んー、エッチな本はないみたい。じゃああなたはデジタル派ー?」   今度はパソコンを弄り出す。さすがにそこはまずい、色々と! 主「だ、ダメーってえぇ!?」 月「うにゃっ!?」   布団が足に絡まり、そのまま月長石に向かって倒れ込んでしまう。   だが、さすがに潰してはダメだろう。俺は腕に渾身の力を込め、四つん這いになって何とかそれを防ぐ。くぅーっ、手がしびれるー……。 月「ふーん、デジタルでもアナログでもなく、リアル派なんだぁー」 主「え……?」   俺の中の時が止まる……いや、この体勢……明らかに俺が月長石を押し倒して……。 主「くぁwせdrftgyふじこlp;:@「」!?」 月「んー? 別にそんな慌てなくてもいいのにぃ、お兄さぁん♪」   そういう問題じゃない。とにかく彼女から離れないと、もし黒曜石が帰ってきたらのわっ!? 主「げ、月長石……手、離して」 月「んー、このまま黒曜石達が帰ってきたらぁ、どーなるかなぁ?」 主「分かってるくせに……だから離して」 月「そうだねぇー、でもこのあとの出来事はなかなか退屈しのぎになりそーよ?」 主「おおお俺は退屈じゃない! 生活に関わる大問題なんだ、放せ!!」   語気を強めてみるが、月長石の悪戯な笑みに変化はない。完全に俺の反応を楽しんでいる。 月「んふふ、でも黒曜石達が帰ってこなければ、あなたの好きな事が出来ちゃうよー」 主「ばば、馬鹿な事言うな!」   きっと俺の顔は赤くなっているに違いない。だからこいつ、より一層楽しそうに笑っているんだな。 月「じゃあさぁ……もしもここでアタシがぁ……」 主「な、なんだよ……」 月「……いいよ、って言ったらぁ、どうする?」 主「!?」   お、落ち着け俺! これは月長石のいたずらだ! 人をからかって楽しんでるだけだ!!   あーもぉ嫌だ! 早くこいつから離れて……って、いつの間にか腕が首に回されてる!? 月長石の顔近っ!! 月「アタシねぇー、あなたみたいな男ぉ、結構好みなのよぉ? からかうと面白いし、可愛いし……」 主「う、うぅ……分かったからさ」 月「ホントに分かってるのぉ? 女の子がこういうこと言うってことの意味とかぁ」 主「そ、それは月長石が俺をからかって……」   そこまで言うと、何故か月長石はにやりと笑って、俺に密着して……えぇ!?   彼女の唇が、俺の耳に触れそうなほど近くに寄ってくる。 月「……ホントに、これが狂言だって……言える?」 主「あ、ああぁ……」   や、やばい、頭が回らなくなってきた……もう何がなんだか。 黒「マスター、ただいま戻りましたー」 主「!!??」   こ、黒曜石! 玄関から確かに声が!! レッドアラート、緊急事態!! 主「は、放せ放せ!」 月「んふふ……かぷっ」 主「ひっ!?」   み、耳たぶ甘噛みするなぁ! 黒「マスター、ちゃんと寝てますかぁ?」   って、黒曜石がもう俺の部屋の前間出来てる!   やばい……やばいやばいやばいやばいやばっ!   …………   あれ、どうしたんだろ、俺……いつの間にか意識が無くなって……。 黒「目が覚めましたか? もぉ、ちゃんと寝てなくちゃ駄目ですよ?」   え、黒曜石? 頭上から黒曜石の声が……。   ……って、あれぇっ、なんでちゃんと布団で寝てるの!? 主「こ、黒曜石……俺、一体……」 黒「ふふ、マスター寝相が悪くて、布団蹴り飛ばして変なところで寝てましたよ?」 主「ね、寝相……? パソコンの前辺りまで転がってたの?」 黒「はい。元に戻すの苦労したんですよ」   ……さっきまでのは、夢……? 主「っ!」   首筋にかすかな痛みが走る。 黒「どうしました?」 主「え、いや……黒曜石、この辺りに何かない?」 黒「マスターの首筋ですか? ……んー、なんだかよく分かりませんけど、噛まれたみたいな痕がありますよ」   噛まれた……そんな事をするのは一人しか思いつかない。 黒「まさかマスターが自分で噛めるはずないし……どうしたんでしょうね?」 主「え、あぁ……なんなんだろうなぁ」   言えない……さっきまで起きていた事、言える訳がない。   俺はその場を苦笑でごまかす事しかできない。ちくしょー、月長石の奴……。   でも黒曜石の様子を見ると、彼女が入る直前で俺を解放したのだろう。   ……はぁ、すっかり遊ばれてしまったよ 主「……黒曜石、水持ってきてくれないかな?」 黒「あ、はい。分かりました」 月「と、いう訳で、すっかりアタシの思うツボになった訳よぉー」   夕食時、今日の笑える話を早速アメジストに話してやる。今回のは談笑のネタとしては最高だよ。   でもアメジストの奴、こちらの事笑って見ているだけだ。少しは話し合わせろーっ。 ア「あそこのマスターも、ずいぶんと迷惑な子に目を付けられてしまったようだね」 月「なっ、迷惑って何よぉー。それはアンタも一緒でしょーっ」 ア「ふふ、あいにく彼には興味無しだよ」 月「あっそ」   面白くないのー。結構あいつからかうと面白いのにぃ。   特にあの慌てぶり、冗談じゃなく本気で可愛かったなぁー。   うん、あいつは気に入った。しばらくはアレで楽しませてもらおっと。 ア「……本当に、彼も大変だな。色々な子に目を付けられて」 月「何か言った?」

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