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ソーダちゃんの「ひとりより、ふたりなのっ」 その2」(2008/04/13 (日) 12:42:12) の最新版変更点

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 時に、暖かい室内から外へ出るのも、頭の気分転換にはよいこと。  家にいることが多い身としては、こうして外の空気を吸うのは心地がよい。  とはいえ、今日は一段と寒い。普段は子供の姿も見られそうな公園も、長椅子に座るわたくし以外の姿はない。  冬もついに本番。人も外に出るのが億劫な時期になったようで。 「てーいっ」  ……尻尾に、抱きつかれる感触。衝撃は小さい。  先ほど、だんな様と手入れをしたばかりなのに。 「ふかふかぁ」 「……ソーダ、いきなり何を」  振り向けば、相変わらずの笑顔を浮かべるソーダの姿。  わたくしの尻尾に抱きつき、頬摺りをしている。毛並みはすっかり崩れてしまった。  いつも抱きつかないようにと言っているのに。まったく、どうして宝石乙女の子供達はこう……。 「ソーダっ、勝手に走っちゃ危な……あ、殺生石さん」  ソーダに送れて姿を現したのは、この子の主。母親代わりの女性。  片手に何か衣類のような物を持ち、わたくしの尻尾からソーダを引き離す。 「やぁー、ふかふかぁー」 「ダーメ。ごめんなさい、この子ったらいつも」  毛並みの崩れた尻尾を、手櫛で直してもらう。 「子供を相手していれば、いつものことです」 「そうですねぇ」  苦笑を浮かべる、ソーダの主。24時間子供の相手をしているのだから、わたくしの気持ちも分かってしまうのだろうか。 「それにしても、殺生石さんと外で会うのって初めてですね」 「あまり外には出ませんから」  揺らす尻尾に目をやる。他人の前で、これはあまりにも目立ちすぎてしまう。 「それよりも、貴女達はなぜここに?」 「あ、はい。ソーダが新しいマフラー巻きたいって言うから、散歩に」  そう言って、持っていた衣類らしき物……まふらーという物をこちらに差し出す。  毛糸という素材で出来た、帯状で厚みのある布。しかしずいぶんと長いような気がする。 「殺生石さんを見つけて、抜け出しちゃいましたけど。ソーダ、寒いからこっちにおいで」 「はぁーいっ」  隣に座っていたソーダが、主の膝元に腰を下ろす。  そして主が、手にしていたまふらーを自らとソーダの首に巻く。  なるほど、互いに密着して冷えを抑えるものですか。ついでに襟元からの冷気も抑えられる。 「何だか、テレビか何かで二人でマフラー巻くのを見ちゃったみたいで。真似をしたいって言うから作ったんですよ」 「ラブラブーっ」  主の胸元にしがみつき、すっかり甘えん坊状態のソーダ。  確かにこれなら、相当の暖かさは確保出来るだろう。 「ずいぶんと微笑ましい光景ですね。ふふふ」 「あはは……手編みなんて久しぶりで、あまり上手く作れませんでしたけどね」 「ううん、ママおじょーず。あみあみじょーずっ」  融合でもしそうな勢いで密着しているソーダ。そして照れくさそうに笑顔を浮かべる主。 「……それ、教えてもらえないでしょうか」 「え?」           ◆  針を両手に、毛糸との格闘。 「ここを、こうして……なかなか、難儀ですね」  どうも、彼女のように手際よく進めることが出来ない。  なかなか大変な作業。しかし、わたくしとしても妖弧の自尊心がある。この程度のものに翻弄されるつもりは……。 「ここは、え、あ……間違えてる」  ……翻弄されて、なるものか。 「あ、あのさ……僕がやろうか?」 「ダメです。これは妾自身がやらなければならないことなのですから」 「そ、そう」  そう、これはだんな様の手を借りてはいけない。  自力でまふらーを完成させ、そしてだんな様と密着し合うために……。 「えっと、そこはそうじゃ……」 「え、あ……あ、主様っ、あまり見ないでください!」  しかし、今冬中に完成するのか。  それだけは、わたくし自身も予想出来ない。完成させなければならないのに。 ----

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