「我が家のサンタ」(2007/12/09 (日) 02:23:06) の最新版変更点
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「マスタぁーっ、クリスマスのプレゼントねぇー」
相変わらずのご機嫌っぷりで、俺の隣にやってくる天。
で、話題はクリスマスか……まぁ、もう12月だが。
「あー、そういうのはサンタのじーさんに言って……」
「違うよぉ。マスタぁーのね、クリスマスプレゼントだよー」
「俺? どういう風の吹き回しだよ」
いきなり何を言い出すかと思えば。
しかし、クリスマスプレゼントか……この年にもなると、どことなく照れくさい気も。
「マスタぁーはもう子供じゃないからぁ、サンタさんプレゼントくれないんだよね。だから天河石があげるっ。何か欲しい物あるー?」
「休暇」
……沈黙。どうやらもらえないようだ。結構欲しいんだけどな。
「え、えぇとぉ、お、お休み? うー……お休み……」
「すまん、冗談だ」
その言葉に、天が不機嫌そうに俺の肩を叩く。ほどよい肩叩きだ。
「マスタぁーの意地悪ー。天河石ちゃんと用意してあげるのにー」
「だから悪かったって。だけどなぁ」
しかし、いきなり欲しい物を聞かれても、なかなか思い浮かぶものではない。
どうも昔から物欲が弱いというか……大体、天に用意出来る範囲でとなると、なかなか難しい。
若い頃はそんなことも無かったはずなんだがな。俺も老けたのか……少しショックだ。
「何でもいいんだよー。ほらっ、このご本に載ってる乗り物っ。前欲しいってマスタぁー言ってたー」
そう言って、テーブルの上に置いてあったバイクの雑誌を手に取る。
……天が、プレゼントにバイクとな。
「この真っ赤なのとか綺麗だよー。えっとー……いちー、じゅー、ひゃくー……にゃー」
意気揚々と雑誌をめくったと思えば、どんどんその元気を失っていく。忙しい奴だな。
「どうした?」
「えっとね、ゼロが多すぎてね、数字が分からないの」
指差す先には、バイクの価格……まぁ、うん、高い。
「いっぱいなの?」
「ああ、かなりいっぱいだ」
その言葉に、天がわずかに涙目を浮かべる。
相変わらず、子供っぽいところがあるよなぁ……って、こんなとこ珊瑚に見られたらまた怒鳴られる。
「とりあえず、バイクなんて無茶なモンは買わなくていいから。な?」
「……ごめんなさい」
「謝る必要ないって。だから元気出せ」
「うぅ……マスタぁー、欲しい物なぁに?」
結局話は振り出しに戻るか。
だが、どちらにしろ欲しい物なんてなかなか浮かばない。どうしたものか……。
……まずい、天が機体の眼差しを向けてきた。
考えろ、考えろ俺。天でも用意出来そうなプレゼントを。
「あー、そうだなぁ……て、天が渡したいと思った物なら、何でもいいぞ」
何言ってるんだ、俺は。これでは何も思いつかないのと一緒じゃないか。
こんな事を言ったら、天がまた怒る……。
「天河石が渡したい物? 何でもいいのぉ?」
「ああ。天がくれるなら、何でも嬉しい……かも」
ややとまどい気味の俺の答え。
だが、天はそれを好意的に受け取ってくれたらしい。明るい笑顔を浮かべる。
「うんっ、分かった! じゃあ天河石がマスタぁーのこと、いっぱい喜ばせてあげるね!」
「そ、そうか。期待してるぞ」
……何とか、丸く収まったか。
「じゃあね、お姉ちゃんと相談してくるー。楽しみにして待っててねっ」
「分かった……しかし、何で俺にプレゼントくれるんだ?」
珊瑚がいる台所へ向かおうとした直前、実に明るい笑顔で、天は答えてくれた。
「えへへー、内緒だよー」
◇
「サンタさんってね、マスタぁーとお顔がとっても似てるんだよ。去年見ちゃった」
「ほう、そうなのか。だがサンタ殿は夜更かしする子供にはプレゼントを与えてはくれないぞ?」
「うんっ。それでねー、今年は天河石、サンタさんにお礼するのっ。プレゼントだよー」
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