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お薬すたんぴーどっ!

どうもどうも、皆のアイドルフラノですよ~♪
え、今何をしているのかって? やですよ、レディにそんな質問なんて♪
ただただフラノは耳を済ませていただけですよ? 一緒にどうですか~?
「ケ、イ、タああああああ!? 誰よこの茜ちゃんって~!?」
「よ、よせ! 違うんだ! 誤解だってば!」
「こんの……」
あららららら、お屋敷が地震ですね?
ようこちゃんの怒りはすぐにわかっちゃいますね~、今日はまた一段と大きいです!
「浮気者おおおおおおおおっ!」
「いいいいやああああああああっ!?」
あははは、どかーんですってどかーん。
あそこまでされてるのに啓太様も懲りないですね~。
あんまりふらふらしてるのはオトコの人として流石のフラノでもめっ、です♪
お二人は仮にも恋人同士! もしかしたら将来を誓い合った仲なんですから!
ふふ、ここはやっぱり元祖十八禁きゃらの出番ですかね?
「そう思いませんか、ともはねちゃん!」
「いきなり何、フラノ?」
いきなり訳のわからないことを言いながら、天井から上半身だけを部屋に透過させたフラノをじとーっとした半目で見つめるともはね。
けらけらと軽い笑いをたてながらフラノはよっと反転、軽やかに地面に降り立った。
「ですからともはねちゃん? 啓太様とようこちゃんには幸せになって欲しいでしょう?」
脈絡の無い会話にともはねの目は相変わらず胡乱だったが、とりあえず気になる話題だった。
「うん。あたしもそう思ってるけど」
その返事に満足げに頷くフラノ。
「ですよね~? 未だに啓太様が浮気性なのは問題ですよね~?」
「確かに……ようことせっかく恋人同士なんですから、もう他のオンナの人と遊ぶのは慎むべきです!」
とりあえず話題の論旨がわかってきたので、ともはねは全力で同意した。
少女二人、向かい合ってこくこく頷きあう。
「ですよね? ですよね!」
そこで、とフラノは拳を握り締め天に掲げた。
「フラノは考えたのです! ぜひともこの機会に二人をもっとラブラブにして差し上げようと!」
おー、とともはねが歓声をあげた。
フラノは心なしか満足したような笑顔を浮かべると、もう片腕を水平に広げくるくる回る。
「そしてそれが出来るのは、フラノたちだけなんです! これは聖戦です! 使命なのです!」
ともはねは再び電波の入り始めた言動に少し困惑したが、テンションがつられて上がってきた。
彼女も本心としてはもっと二人、特に啓太にはそれらしい清廉な付き合いをして欲しかった。
とうとうつられて彼女も拳を掲げる。
「いきますよ、ともはねちゃん、我が同士! おぺれーしょんフラノの恋愛クリニック始動なのですっ!」
「おーっ!」
二人の拳が交差する。めずらしーく気持ちが一つになった瞬間だった。



「ようこー? まだかぁ?」
「もうちょっとまってー」
危なっかしく靴下を片足上げで履こうとするようこ。
啓太は相変わらずな彼女に苦笑しながら、部屋の戸に背を預けていた。
すっかり定例となった二人だけの買い物。
最初の内は除霊のついでだったのだが、今は何も無くても一緒に出かけるようになっていた。
「きゃっ!?」
どたどたと片足でステップを踏んでいたようこだったが、突然バランスを崩した。
啓太はそれを視認した瞬間、既に地面を蹴っていた。
持ち前の身軽さで間合いをつめると、二の腕でそっと彼女を抱きかかえる。
「大丈夫か?」
「あ、うん」
頬を染め、ようこは彼の肩を借りたままようやく靴下に足を通した。
「まったく……別に家の中なんだし、座って履けばいいじゃねえか」
「ふふ、ケーイタ」
ようこは意地の悪い瞳で、腕をそっと彼の首に回した。
キスするほどの距離で、耳元にそっと囁く。
「ケイタってば優しいね?」
「ま、当たり前だな」
くすくすと笑い合いながら、すっとようこは上半身を離した。
今度は腕に腕を絡め、額をぐりぐりと肩に擦り付ける。
「えへへ、ケイタだ~いすき」
啓太は困ったように、だが嬉しそうにふっと息を吐き出すと、そんな彼女の頭をくしゃくしゃ撫でてやる。
相好を崩し、ふにゃ~と気持ちよさそうな声を漏らすようこ。
じとーっとその光景をドアの向こうから見つめているカオル。
「……あの、ようこ? 啓太お兄ちゃん?」
「おわっ!?」
「きゃっ!?」
飛びずさって離れる二人。
そんな二人を見てはぁと溜息をつくと、彼女は取り繕うように淡く笑んだ。
「お買い物ですか? いってらっしゃい」
「お、おお。すぐ戻るよ」
気まずい場面を見られ、表情の強張る啓太。
あははと乾いた笑いを浮かべるようこ。
突然くるっと向き合って、うんと一回頷きあい、もう一度カオルに向き直った。
「「いってきます!」」
不自然なほど声をハモらせると、そそくさと二人並んでドアの外へ消えていった。
くす、とカオルは笑いを漏らす。
「やっぱり、お似合いなのかな……」
だが少しだけ、表情は寂しげだった。
そして開けっ放しのドアを閉め、気が重くなる前に去ろうとしたその瞬間。
「あ、カオル様! いってきます!」
「誰かと思えばカオルちゃん! しばらくフラノたちも外出するので留守をお願いしますね~!」
どたばたとともはねとフラノの二人が声を掛ける間もなく通過していった。 
カオルは嵐のような二人の背中を見つめながら、首を捻る。
「なんなんだろ」
よくはわからなかったが、特別興味も沸かなかったので、ゆっくりとその場を後にした。



ようこと啓太が並んで歩く。
啓太はまっすぐ淡々と。ようこはそんな彼に腕を絡め、肩に肩を寄せていた。
「今日は何を買うんだったっけ?」
「えっとね、今日は久しぶりにお肉にしようかなって」
「お、そりゃ楽しみだ」
子供のように破顔した啓太を、くすくすとようこが笑う。
「腕によりをかけてあげるから、楽しみにしててね、ケイタ♪」
ぎゅっと強く腕を抱きしめるようこ。
豊満な胸が当たって、むにょんと大きく形を変える。
相変わらずのミニスカートに薄手のシャツ、半袖ジーンズジャケットといった服装なため、自然と柔らかさが強調される。
啓太は少し顔を染めると、つっとそっぽを向いた。
その反応が楽しいらしく、ようこはさらにぎゅ~と腕を抱きしめる。
そんな彼女らの後方百メートルほどで、双眼鏡を持ったフラノとともはねが電信柱の影に隠れていた。
周囲の人々の奇異な視線にも構わず、ひそひそと二人囁きあう。
「う~ん、見てる限りはホント理想的な恋人同士だとフラノは思うんですけどね~」
「啓太様も最近随分丸くなったよね、たまに静かな日もあるし」
本当に、啓太は最近変わった。
暇があれば自室で勉強しているようだし、前ほど目立ったえっちな行動をしなくなった。
さらに言えば、なんだかようこと過ごす時間を特別大切にしているようだった。
姿が見失いそうなほど小さくなったら次の電信柱へ。
しばらくそうして移動していると、間もなく啓太たちはお目当てのデパートにたどり着いていた。
完全に自動ドアの中へ消えたのを確かめてから、小走りにデパートへ駆け寄っていく。
ふと、ともはねが首を傾げた。
「というか、これってただ覗いてるだけなんじゃ?」
ちっちっ、と顔の前でフラノが指を振った。
少し腰を曲げてともはねに視線を合わせると、不敵な笑みを浮かべる。
「違いますよ~、これはチャンスをうかがっているのです」
「チャンス?」
えっへん、とフラノは豊かな胸を張った。
「ですです。ま~まともはねちゃんは黙って見てなさい、フラノのアダルトトラップにおまかせです!」
よくはわからないが、なんとなく嫌な予感はした。



食品を先に買っても痛むだけなので、二人はまず四階に上がった。
「そろそろ、自分でもお料理のれぱーとりーを増やさないとね?」
とようこは料理の本を。啓太は参考書を買って書店を出る。
ふと、がやがやと周囲が騒がしくなってきた。
「な、なんだぁ?」
「ケイタ、あれっ!」
ようこが人垣の向こうを指差した。
かろうじて空いている人の隙間を注視する二人。そして目を丸くした。
「違う! 俺は何も悪くない!」
大声で喚いているのは、ごま塩頭のいなせな職人風の男。ただ、股間には女性用下着が着用されている。
いつかもこんな場面を見たことのある変態、『親方』だった。
彼は両腕を抱えた警備員らに吼えるように訴える。
「なあ! おかしいと思わないか! 確かにこれは女性用の下着かもしれない!
だが男が、更衣室を借りて装着しても法律上なんら問題はないだろう!? しかも地肌ならともかく着衣の上から!
商品を傷つけたわけでもないし、万が一なら俺は金だって払うぞ! 一体何が悪いんだ!?」
警備員らは困ったような顔ではいはいと投げやりに返事しながら連行していく。
ふと、親方がこちらに気づいた。
「お! そこにいるのは『裸王』! 今度こそ俺の潔白を証明してくれ!」
皆の視線が啓太に集中した。近くに居た警備員が足早に近づいてきて、彼に尋ねる。
「……前回もいらっしゃいましたね。本当にご関係はないのですか?」
啓太は溜息をつくと、
「ええ、全く。きっと彼は病気なんでしょう。然るべき場所で治療してあげるのが彼のためだと思います」
とさらりと笑顔で吐いた。警備員は一礼すると、手で「連れて行け」と指示する。
「わ~~~~~! ちくしょおおおおおおおっ!」
親方はまだじたばた暴れていた。店内は未だざわついている。
警備員が申し訳なさそうに一礼していって、ようやく場は落ち着いていった。
ふう、と啓太が重たい息を吐き出した。
「ほんと懲りないのな、あいつらは」
「……うん」
ようこはそのいつかを思い出しているのか、笑いは引きつり冷や汗をかいていた。
エスカレーターに二人が乗ったのを見届けてから、ふわりと不可視の姿をとった二人が追いかけてゆく。
「ねね、フラノ。最初から姿隠しておけば人目を気にしなくてもよかったんじゃ……」
「サルも木から筆の誤りですよ~♪」
相変わらずよくわからないフラノに、ともはねはやれやれと首を振った。



その後も日用品をぶらぶらと買い漁ると、二人は二階のカフェで一息ついた。
啓太はコーヒー、ようこは紅茶とチョコレートケーキを注文する。
「いやはや、割と買うものあったんだなー」
「ま、うちは大所帯だからね~。ストックは割りとあったけどお子様のモノが少なかったからさ」
もぐもぐと楽しそうにケーキを頬張るようこ。
啓太はそばのナプキンを一枚掴むと、
「こりゃ、そんな慌てるんじゃない」
顎をそっと掴み、口の周りを拭ってやった。
何が嬉しいのか、えへへと笑うようこ。
今さっき口に運んだスプーンにケーキを掬うと、啓太の目の前に差し出す。
「ケイタも。あ~ん」
「……いや、流石にそれは」
「あ~ん」
「人が見てるしさ」
「あ~ん」
「……あ~ん」
妙な重圧に負け、一瞬で啄ばむとさっと身を引いた。
それでも満足したか、ようこはにこにこと今度は自分の口へ運ぶ。
啓太はぼんやりとそれを見つめていたが、ふと急に立ち上がった。
「どしたの?」
「ん……ちょいとお手洗い行ってくるわ」
「うん、わかった」
いそいそとトイレへ急ぐ啓太を見送り、ようこは再びん~とスプーンで幸せを堪能する。
それを影から見つめるフラノとともはね。
「ともはねちゃん、チャンスです!」
「え、ど、どうすればいいの?」
「ともはねちゃんはわざと目の前を通るように向こうへ行ってください。フラノがその間にお仕事いたしますから!」
「う、うん」
フラノに力強く背を押され、おっかなびっくり観葉樹の影から飛び出した。
そしてそろそろとようこの前を迂回すると、足早に向こうへ駆け抜けてゆく。
ようこがびっくりしたように顔を上げた。
「あれ、ともはね?」
なんで彼女がこんな場所にいるんだろうか。
そうやって意識が完全にともはねに向いた瞬間、フラノは電光石火で飛び出していた。
高速で滑空し、テーブルに接近。側で一気に失速すると、懐から二種類の薬を取り出した。
ピンクの容器に入った方を二人の飲み物へ。青い容器の方をようこだけに。
そしてようこがこちらに振り返る前に、全速力でその場を離脱した。
完全に視界からともはね(ついでにフラノ)が消えてから、首を傾げながらケーキに振り返るようこ。
「んー……まあ、いっか」
ようこは再び目の輝きを取り戻すと、最後の一掬いを本当にゆっくり時間を掛けて咀嚼し始めた。
合流し、反対側の茂みから覗くフラノとともはね。
「うふふふ……ここまでうまくいくとはフラノも思いませんでした~。ともはねちゃん、お手柄です!」
「あのお薬って一体何なの?」
「それは企業秘密なのです! ま、もっと仲良くなれるお薬みたいなものですよ」
「じゃあ、ようこの方に入れたもう片方は?」
「あれはフラノからのちょっとしたお楽しみなのです☆ あ、ちゃんとごきょうやちゃんお墨付きなのでもーまんたいですよ?」
まったく要領を得ずともはねが首を捻る。
「ありゃ、フラノにともはね。なにやってるんだ?」
「きゃっ!?」
「わわっ!?」
突然後ろから声を掛けられ、変な声をあげる二人。
そんな二人を訝しげに見つめる啓太。
「なんでお前らがここにいるんだ?」
「あ、あのですね啓太様」
「二人でぶらり空の旅ですよ~、あんまりレディを詮索するなんてめっ、です♪」
そうやって悪戯っぽく指を振ると、ともはねの小柄な身体を掴んで軽く宙に浮かんだ。
「行き先は風だけが知っています、お夕食までには帰るのでちゃんとチンしておいてくださいね~!」
よくわからないことを言いながら、全速力で向こうへ消えていく。
そんな二人を呆然と見送ってから、こめかみをこりこりと指で掻いた。
「ホント、なんなんだろ……」
首を捻って見たが、フラノの思考は相変わらず予想不能だった。
まあいいかと気を取り直して、ケーキを食べ終わって紅茶を啜っているようこの元へ戻る。
「悪い、待たせた」
「ううん、いいからいいから♪」
ふにゃ~と相好を崩すようこ。久々のチョコレートケーキにテンションが若干高まっているらしい。
啓太は微笑んで少し温くなったコーヒーを一気に煽ると、伝票を手に取った。
「じゃ、会計してくるわ。外で待っててくれ」
「うん」
残った紅茶を一気にあおり、ぴょんとジャンプするように立ち上がるようこ。
ケモノの感覚で最後らへんの味が微妙におかしい気もしたが、とりあえずあまり気にしてはいなかった。



ちょっとだけいい肉を買って、デパートの外へ出る。
最近めっきり冷え込んできた風が吹きぬけ、ぶるっと身を震わせた。
「ケーイタ♪」
そんな彼を、ようこはぎゅっと抱きしめる。
挑発するような目で見つめながら、ぎゅっと。
「最近冷えてきたよね~、あっためてあげよっか?」
「ば、ばか」
気恥ずかしくなって振り払おうとするが、がっしりと回った腕は外れそうもない。
一旦大きな溜息をつくと、困ったような笑顔になった。
「ま、行くか」
「えへへ~」
くしゃくしゃと髪を撫でてやると、さらに額を肩にこすりつける。
最近はちょっと大胆に迫っても優しくしてくれるので、幸せな気分になってくる。
べったりとくっついたまま人通り多い大通りを歩く二人。
そんな最中、一際強い風がそこを吹き抜けた。
「きゃっ!」
ばさっとスカートが舞い上がる。
幸い風向きのせいか僅かに浮き上がっただけだったが、ちょっと頬を染めて裾を直すようこ。
そんな彼女を見つめていた啓太だったが、
「!?」
突然襲い掛かってきた妙な感覚に心臓がどくんと高鳴った。
おかしい。なんだか急に、身体が火照ってきたような……
ようこの方を見やる。健康的に、だが扇情的に惜しげもなく露出された腕と脚。
押し付けられた柔らかな胸。朱に染まった頬。
どくん、ともう一度心臓が高鳴る。
同時に、血液が股間に集まっていくのを感じていた。
明らかな自分の異常に、そして徐々にもたげてきた男根にぎょっと身をすくめる。
「ケイタ? どうしたの?」
ようこも異常に気づき、下から顔を覗きこんできた。
胸元が押し上げられ、豊かな谷間が強調される。
どくん、どくん。
ちょっとの興奮に勃起が止まらない。布に当たって膨らんできたのを感じて、彼は慌てて前屈みになった。
「あ、いや、なんでもないぞ」
「でも、なんかすごい真剣な顔してるよ?」
「だ、大丈夫だって。……お前は優しいな、ようこ」
「やだぁ、そんなことないって♪」
身をくねらせ、どうにか身を一旦離してくれた。
買い物袋を脇から正面へ移動させ、体勢が不自然にならないよう隠そうとする。
だが、中身が股間を擦った瞬間、とてつもない快楽の波が襲い掛かってきた。
「うっ」
「ケイタ、本当に大丈夫? 急ごうか?」
「あ、いや……そうだな。ちょっと体調を崩したかもしれない」
「そっか。気をつけてね?」
気遣うようにそっと身を寄せ、いやらしくない程度にようこが密着した。
いつもなら気にならないような香りが鼻をつく。
イヤな感じではない。どちらかというと、興奮を煽るメスの独特の匂い。
原因がまったくわからず、とりあえず前屈みのままそろそろと歩き始めた。
「?」
ふと。
ようこが立ち止まって首を傾げた。
「ん……どうした?」
「あ、ううん、なんでもない」
下腹部を押さえ、ようこもまた違和感を覚えていた。
心臓のどきどきが止まらない、身体も少し火照ってきた。
妙に啓太が意識から離れてくれない。その一挙動に胸が高鳴る。
そして何より、ケモノの鋭い嗅覚をくすぐる甘いオスの匂い……
「きゃ」
「……おいおい、お前までなんだよ」
「あ、えと、大丈夫だからっ!」
「そーかぁ?」
まだ訝しげな啓太に作り笑顔で返しながら、脚の付け根をぎゅっと押さえつける。
自分でもわかった。愛液が少し、だが確実に漏れ出している。
頬が染まる。身体の熱さが連鎖的に増してゆく。
ちょっと内股になり腿を擦り合わせながら、ようこもまた啓太のそろそろ歩きに歩調を合わせていた。
お互いが自分のことにいっぱいいっぱいで、終始無言で屋敷の方へ帰っていった。



かなりゆっくりした足取りのため、片道一時間半ほど掛かってようやく到着した。
玄関を開けて「ただいま」と叫んでみたが誰も返事しない。昼寝でもしているのだろうか。
二人が首を傾げ、啓太は前屈み、ようこはもじもじしたままゆっくりとようこの自室へ向かっていった。
「ふふ、薬がバッチリ効いてますね~、お楽しみはこれからですよ?」
「わくわく」
「……なんで私まで?」
「いいからいいからカオル様! お二人に邪魔は野暮ってものですよ~!」
カオルもなんだかんだと言いながら、少しは興味があった。
兄のように慕っている彼とその伴侶。幸せになってくれるならそれはそれでいいことかもしれない。
だが、この微妙な胸の痛みは……
焦燥や切なさや安堵が入り混じった奇妙な感覚が、ずっと胸の奥に燻っていた。
足音を立てぬよう、そろそろと彼らの後をついてゆく。
「ケイタ、本当に大丈夫? 急ごうか?」
「あ、いや……そうだな。ちょっと体調を崩したかもしれない」
「そっか。気をつけてね?」
気遣うようにそっと身を寄せ、いやらしくない程度にようこが密着した。
いつもなら気にならないような香りが鼻をつく。
イヤな感じではない。どちらかというと、興奮を煽るメスの独特の匂い。
原因がまったくわからず、とりあえず前屈みのままそろそろと歩き始めた。
「?」
ふと。
ようこが立ち止まって首を傾げた。
「ん……どうした?」
「あ、ううん、なんでもない」
下腹部を押さえ、ようこもまた違和感を覚えていた。
心臓のどきどきが止まらない、身体も少し火照ってきた。
妙に啓太が意識から離れてくれない。その一挙動に胸が高鳴る。
そして何より、ケモノの鋭い嗅覚をくすぐる甘いオスの匂い……
「きゃ」
「……おいおい、お前までなんだよ」
「あ、えと、大丈夫だからっ!」
「そーかぁ?」
まだ訝しげな啓太に作り笑顔で返しながら、脚の付け根をぎゅっと押さえつける。
自分でもわかった。愛液が少し、だが確実に漏れ出している。
頬が染まる。身体の熱さが連鎖的に増してゆく。
ちょっと内股になり腿を擦り合わせながら、ようこもまた啓太のそろそろ歩きに歩調を合わせていた。
お互いが自分のことにいっぱいいっぱいで、終始無言で屋敷の方へ帰っていった。



かなりゆっくりした足取りのため、片道一時間半ほど掛かってようやく到着した。
玄関を開けて「ただいま」と叫んでみたが誰も返事しない。昼寝でもしているのだろうか。
二人が首を傾げ、啓太は前屈み、ようこはもじもじしたままゆっくりとようこの自室へ向かっていった。
「ふふ、薬がバッチリ効いてますね~、お楽しみはこれからですよ?」
「わくわく」
「……なんで私まで?」
「いいからいいからカオル様! お二人に邪魔は野暮ってものですよ~!」
カオルもなんだかんだと言いながら、少しは興味があった。
兄のように慕っている彼とその伴侶。幸せになってくれるならそれはそれでいいことかもしれない。
だが、この微妙な胸の痛みは……
焦燥や切なさや安堵が入り混じった奇妙な感覚が、ずっと胸の奥に燻っていた。
足音を立てぬよう、そろそろと彼らの後をついてゆく。
ようこの部屋のドアに三人ぴったりと張り付くと、フラノは鍵穴に目を、他は板に耳を当ててそばだてる。
「ふう、疲れた疲れた」
「うふふ、ケイタお疲れ様~」
首をごきごきと鳴らしながら、啓太は軟らかそうなベッドに腰を下ろした。
ようこもいそいそとそのすぐ隣に腰掛ける。ベッドがたわむ様に沈んだ。
「まったく、最近は何かと忙しくて参っちゃうよ。お前にもあんまり構ってやれないしさ~」
「いいのいいの。わたしは頑張ってるケイタが好きなの、ね?」
「そーかそーか」
えへへ~と甘えてくるようこの首に手を回すと、自然に胸元へ抱え込んだ。
ベッドがさらに深く沈み、ぎしっと軋みをあげる。
ふと。
ようこはあることに気がついた。
視線としては真正面、ずっと下。啓太のズボンの辺り。
明らかに皺でない不自然な膨らみが、呼吸するように上下しながら自己主張していた。
「……ねえ、ケイタ」
「ん? どした?」
恐る恐る指でその部分を指し示す。
「あの。ズボンのほら、そこが」
「おわっ!?」
頬を染めて告げたようこに、啓太が慌てて仰け反った。
長らく歩いていた疲労のせいか、すっかりそのことを失念していた。
最早そこは、意識に反して最高潮ほどに隆起している。
そして同時に戻ってくる異常なまでの嗅覚、視覚、感覚。
ようこの部屋、そして彼女自身の仄かな甘い香りが鼻腔をくすぐって止まない。
蛍光灯に照らされた素肌が眩しいほど目に付く。
ようこはしばし、呆けたように啓太を見つめていた。
「……どうした?」
「あ、なんでもないよ?」
逆に啓太に気遣うような声を掛けられ、取り繕うように慌てて笑顔を浮かべるようこ。
彼女もまた、奇妙な感覚が再来していたのだ。
啓太の匂い。普段なら気にならないようなところまで煽るように匂う。
細身ながらがっしりした腕。先ほどまで抱きかかえられていたたくましい胸元……
じゅん、と新たな蜜が奥から湧いてくる。
そういえばずっと別のことを意識していて忘れていたが、とうにショーツは水分で飽和していた。
とうとう堪えきれず、雫が一滴つつっと腿を伝って降りてきた。
ようこの頬が羞恥と焦りに染まる。とりあえずよくわからないが、啓太に見られるわけにはいかない!
彼女は一刻を争う事態に、緊急回避とばかりに指を高く掲げた。
だが精神集中しようとして、一瞬だが確実に股間の意識がよそを向いてしまった。
ぽたっと大きな音を立てて、大粒の雫が股から垂れる。
「……あ」
「ようこ?」
ぽた、ぽた。とさらに続けて二滴。
「あああああ……」
見られてしまった。
かーっと燃えるように顔が熱くなる。何をするも忘れて、呆然と腰を落とすようこ。
啓太は啓太で、目の前で起こった事態に絶句していた。
そういえば、と彼は僅かな冷静さで違和感をまさぐる。
異変はデパートを出てから起こった。そしてその直前にカフェで会ったフラノとともはね。
「な、なあようこ」
「あ、違うの! ケイタ、あの、その!」
「……いや、まあとりあえず落ち着け。なんとなくだが心当たりがある」
「え?」
毒気を抜かれたようにようこがきょとんとした。混乱を招かないよう、啓太は諭すように話しかける。
「いやほら、今日俺さ、カフェでフラノとともはねを見たんだよ。お前は見かけなかったか?」
それで思い出したように、ようこは手のひらを打った。
「あ、そういえば、ケイタがおトイレに行った後、ともはねが全速力で走ってた!」
啓太は顎に手を当てると、推理をする探偵のように深く目を閉じる。
「んで、フラノは確かごきょうやと仲よかったよな?」
「うん。なんかトリオで仲いいみたいだね」
「おそらく一服盛られたな。二人ともだから媚薬か何かだろうけど」
ドアの向こうでは、びくっとフラノが身をすくめていた。
啓太は何かと鋭いと思っていたが、まさかここまでとは!
とりあえず、と啓太は続ける。
「なんにせよ、かなり効果が回ってきてるなあ」
「えと、じゃあ、どうしよっか?」
「自然に待つ、ってもなんか妙に強烈だなこれ……各自で、まあ、なんだ」
ごほんと赤くなりながらわざと啓太が咳をする。くすっとようこが笑った。
「そ~だね。そういう約束だし」
啓太がベッドから立ち上がり、未だへたり込んでいるようこに手を貸した。
嬉しそうにその手を取るようこ。少し腰は抜けていたが、どうにか立ち上がれそうだった。
「むむむ……このままで引き下がっちゃうとフラノの打算がそもそも無駄になっちゃいますね~」
くす、と彼女にしては珍しく黒めの笑顔を浮かべた。
「じゃ、最後のアダルトトラップといっちゃいますか!」
鍵穴から見ればベッドはちょうど真正面。
それに、そろそろと立ち上がり始めたようこの背中もあった。
鍵穴に指先を当て、小声でフラノが呟く。くすくすと未だに笑いを漏らしながら。
「破邪走行・発露×一、『紅』!」
ぼっと真紅の小さな衝撃波が指先から放たれた。
鍵穴サイズな上相手はあのようこ。間違っても傷をつけることは無い。
だがその威力は、大の大人一人を転倒させるほどのものはあった。
衝撃波は真っ直ぐ赤い軌跡を描きながら、ようこの背中に着弾。
「きゃっ!?」
爆発、衝撃。足腰に力が入らない彼女は、その煽りに抵抗できなかった。
そのままベッドのほう、啓太のほうへ。
「おわっ!?」
そしてまた彼も、意識が若干自らの股間に向いていた。
突然崩れてきたようこを慌てて抱きかかえたが、体勢が立て直せずそのままゆっくりと後ろに倒れてゆく。
とさっと軽い音を立て、二人は折り重なるようにベッドに崩れた。
お互いの身体が隙間なく密着し、ばくばくと心臓が脈打つのが感じられる。
顔を見合わせ、そして二人とも赤くなった。
「い、今のはなんだ? 大丈夫か?」
「多分、『紅』か何かじゃない? いきなりでびっくりしちゃったけど大丈夫」
「だとしたらフラノか……まったく」
頭を掻きながら啓太がゆっくりと身を起こそうとする。
だが、ようこの重心は彼に預けられたままだった。少し身を浮かせると、全身が彼に押し付けられるかたちになる。
どくん、と一際高く心臓が高鳴った。
そういえば。
心の奥底どこかで、己の中のケモノが呻いている。それは飼いならせないほどの強烈な劣情。
キスだってした。好きだと言った。お互いの気持ちはとうに伝え合ってわかっている。
とうとう彼は、理性と言う名のリードを手放していた。
彼女の背中に腕を回し、ぎゅうっと固く抱きしめる。
「ケイタ?」
赤い顔の上目遣いでこちらを見上げるようこ。それがたまらなく可愛く、愛おしい。
「やばい……限界が」
「え、ダメ、ダメだってばケイタ! だいがくせいになってからって!」
じたばたと暴れるようこ。だが、啓太の絡みついた腕はまったく緩まらず、むしろさらに固く締め付ける。
ようこの瞳をじっと見つめ返す。その向こうに映る、ケモノのようなぎらぎらした自分の瞳。
彼女ははっと声を漏らしてその視線に身をすくませた。
徐々にその距離は狭まっている。ようこは拒否しようとしたが、火照ってきた身体が言うことをきかない。
……彼女もまた、自分の内奥で暴れるケモノを飼っていたのだ。
啓太を受け入れてあげたいという、真摯な想いが。
そっと目をつむった。もう身体が快楽に負けかけていた。ああ、と嘆じる。
こんなにも自分は、やっぱり啓太が好きなのだ……と。
彼女もまた、リードを手放す。
唇と唇が、そっと重ねられた。



舌が絡み、くちゃくちゃと粘性のある音が口内で響く。
お互いの唾液を全て吸い尽くそうとばかりに。交換しようとするかのごとくに。
たっぷり数十秒をかけた、情熱的で淫猥なキスだった。
あらかたの唾液が入り混じったところで、ぷはっとどちらともなく唇を離す。
「ふふ、ケーイタ。約束破るなんていけないよ?」
「う……お前だって」
「わたしだって?」
小首を可愛らしく傾げるようこ。再びうっと啓太が言葉に詰まった。
くすくすと笑いながら、ようこはその首筋をぺろっと舐める。
「ふふ、そうよ。わたしだってそのつもりだもんね」
「ようこ……」
「ま、薬のせいだと思って、ね? 今回は事故だから。のーかうんとのーかうんと」
ちゅ、と今度はライトなキス。唇は数秒触れただけですっと離れてゆく。
ふ、と啓太も笑みを漏らした。
ようこはジャケットを脱ぎ捨て、ベッドの脇に放った。薄手のシャツの向こうに、うっすらとブラの影が映る。
さらに彼女は器用にぱちんとホックを外すと、ブラもそちらへ放った。
啓太はぶるんと弾けたそこに手を当てると、いささか乱暴にぐにぐにと力を入れ始めた。
「んん……」
弱い刺激だが、薬の効いている身体には結構響くものだった。
切なげな声が閉じた口から漏れ出す。
その反応がなんともいじらしく、啓太はさらに粘土で遊ぶように変形させはじめた。
最初は持ち上げるように。少し手で押しつぶすようにして、今度はずるずると下に下ろしてゆく。
「ん……ぁあ」
微妙に乳首が布で擦れ、微妙にもどかしい刺激が彼女を責める。
揉むようにして上へ。さっきよりさらに強く押し付けて、手前へ。
手のひらの堅い部分が布を噛み、さらに乳首を強く擦り下げる。
「ひゃんっ!」
たまらず口が開き、大きな声が漏れた。恥じるように口に手を当て、つつっと視線を横に外す。
啓太はにやにやしながらその手を無理やりどかした。
「ほれ、声聞かせろって」
「やだ……恥ずかしいもん……ぃひゃっ!?」
手のひらの動きが急に変わって、ようこは再び声をあげる。
今度は全体を嬲るのでなく、手のひらを使って布で小刻みに先端を擦ってやる。
徐々に、徐々にその部分が硬く尖ってきた。
「あ……んんっ、いや……ケイ、タ……ぁ」
それに応じて、ようこの声もだんだん艶を帯びたものになってきた。
ぎゅっとシーツを握り締め、何かを堪えるようにぎゅっと目をつむっている。
啓太はそっと両手を胸から外した。
「あ……」
残念そうな声をあげ、薄目を開いたようこ。
啓太は微笑んだまま、シャツを一気に上へ捲り上げた。
「きゃっ」
最近とみに張りを増してきた乳房がこぼれ出るように震えた。
彼はようこにばんざいさせ、すっとシャツを引き抜く。上半身があらわになり、蛍光灯がその肢体を照らし上げる。
「やっぱ綺麗だよなぁ」
「ちょ、ちょっと、何褒めてるの……ひゃっ!」
しみじみと変なことを呟く啓太に反論しようとして、その声が途中で途切れた。
彼が両の手でその乳房を撫で回し始めたからだ。
雪のように白く、もちのように滑らかなその肌は、手のひらに吸い付くようにその弾力を返している。
「んふ、あ……んぁっ」
動き自体は先ほどと同じだが、やはり直に擦られると力加減がぜんぜん違う。
手のひらの凹凸が程よく先端を刺激して、ぞわぞわと快感がせりあがってきた。
ゆっくりと動きを乳首付近に収束させ、そして指先へすすっとずらしていく。
「ふゃっ!」
そっと指でつまみ上げると嬌声が漏れた。
そのまま硬さを持ったそこをこりこりとしごく。
顔がこれ以上ないほど赤くなり、恥ずかしさからかようこは顔を両手で覆ってしまった。
それでも声は止まらない。
「んんっ! ぁ、あっ! ふぅ……んっ」
乳首の周りの肌はすっかり朱に染まって、白い肌と相まって妙にぞくぞくさせた。
一通りそこを弄んだあと、今度は手を下に下げてゆく。
腹を撫で、へそに指をそっと引っ掛け、さらにさらに下へ。
ようこが小さく息を呑んだ。
ミニスカートのホックを外し、するっと一気に脚から引き抜く。
すると水分をたっぷり吸ったショーツが外気に晒され、突然の寒さにぶるっと身を震わせた。
「あー……こりゃすごいわ」
「うう、そんなに見ちゃ恥ずかしいよ」
もはやぬらぬらと糸を引き、生地の透けたそれに下着としての能力は残っていなかった。
脚の付け根から関節にそってすすっと指をなぞってゆく。
「ん……」
力を込めるとじわっと蜜が湧き出してくる。
敏感な部分をあえて避けながら、弧を描くようにゆっくりと滑らせる。
「ケイタぁ……」
物足りなさにようこは身をくねらせる。
圧倒的な妖艶さに、酔ったように指先が中心へ近寄ってゆく。
掬い上げるようにして亀裂へ。
「ぁ、んんんっ」
力を込めると、ずぶずぶと指が沈んでいく。
第一関節がすっかり埋まった辺りで、今度は上下へ擦り始めた。
「あ……んぁ、やっ……ひん」
その度に新たな蜜が古いのと混ざって染み出してくる。
ぽたぽたと飽和した分があふれ出てベッドに逐次零れ落ちる。
親指を添えて下着越しに亀裂をぐいっと広げると、布の向こうにその様子がうっすら映っていた。
「あ」
ようこの焦ったような声。それに構わず今度は二本を突き立てる。
「んんんっ!」
ある程度埋まってからぐにぐにと中で指を曲げ伸ばし。
荒い息とともに上気してゆくのがよくわかる。
「はぁ……ぁ、ん、んぁっ……ひぁっ!」
びくびくと小刻みに震えて快楽を受け止めるようこ。
だが、調子に乗って責めている最中、急にようこが焦ったような声を上げた。
「あ、ちょっとケイタ!」
ぎゅっと太ももを締めて、何かを堪えるようにもじもじしだす。
啓太は怪訝に思い、指の動きを一旦止めた。
「どうした?」
「あの、あのね……もよおしてきちゃった」
慌てたように啓太の身体をどかそうとする。
だが、啓太は何かを考えているようによそを向いたまま、動こうとしない。
「お願い、結構きちゃってるから」
「……」
啓太は動かない。
仕方なく力を込めてどかそうとするようこ。だが意識が全部そこに向いているためまったく力が入らない。
にやりと。
啓太が黒めの笑顔を浮かべた。
逆にのしかかるようにしてようこをベッドに押さえつける。突然のことにじたばた暴れるようこ。
「ほんとダメだってば! もう……あ」
「まあいいじゃねえか」
「わたしが困るの、恥ずかしいから! あ、ちょっとほんとにダメ」
今の状態では何の抵抗もできない。少しずつ顔が蒼白になり、冷や汗が一筋垂れる。
啓太はそんな彼女の様子を認め、あてがっていた指の動きを再開させた。
突然再来した刺激にびくびくとその辺りが震えはじめる。
「ほ、ほんと、もう……ん……んんっ! ダメ! もう」
ずぶ、と一際深く指を突き刺した。
尿道に直に刺激が来て、筋肉に入っていた力が一瞬だが抜ける。
ちょろ、と少しだけ液が漏れた。
「あ」
一度切れた堰は止まらない。
徐々に尿道が開き、ちょろちょろと尿が漏れ始める。
「や、やだ」
最早恥ずかしさに顔を覆うことしかできなかった。
ショーツが水分を吸わないため、実質直に漏れているに等しい。
ほんの数秒、だが彼女にとって長い時間が流れた。
すっかり出し切ったが、異様な生暖かさが自分のしたことの羞恥を煽る。
それはとうとう飽和して、大粒の涙が目からこぼれ始めた。
「ぐす、ぐすん。ケイタの、ばかぁ……ぐす」
「わ~! 泣くんじゃない泣くんじゃない! 悪い! 悪かった! ごめんって!」
まさか本気で泣き出すとは思わず慌てる啓太。
珍しく自分が主導権を握っていたせいで、少々鬼畜になってしまったかもしれない。
しゃくり上げるようこをよしよしとあやすように背中を撫でる。
「いや、マジで悪かった。……なんつーか、お前が妙に可愛らしいからさ」
「ん……ぐす。嫌いに、ならない?」
「いや、お前が悪くないっての……ならねえよ、まったく」
見上げるようこの目から、雫を指で掬い取ってやる。
ぽんぽんと頭を軽く叩き、さらにくしゃくしゃと乱すように撫でる。
ぎゅっと服の裾を握り締め、ようこはその胸に頭を預けた。
「ほんとのほんと?」
「ほんとのほんとさ」
じっと見つめる瞳を、じっと見返してやる。
すると頬を染め、にこっと微笑んだ。
「……ならいいよ。続き、しよっか?」
「そうだな。とりあえず、汚れたシーツとかは退けておこうぜ」
二人手分けして、汚れた寝具を端へ寄せておく。
ようこはようこでティッシュを何枚か掴んで、ショーツを脱いで自分の性器を拭っていた。
すっかり裸と化したベッドの上で、二人もつれるように抱き合う。
指でそっと亀裂を撫でてやると、すっかり蜜があふれ出しているのがわかった。
「薬が効いてるから準備はこれくらいで大丈夫かなっと」
かちゃかちゃとベルトを外し、ズボンとパンツを下げた。
外気に晒された、すっかりがちがちになったそこを認めて、にんまりとようこが笑う。
「薬ってすごいね~」
「こりゃ、女の子がそんなにじっと見つめるものじゃありません」
「でもーでもー」
そう言いながらそこへ手を伸ばし、包み込むように握り締めた。
とたんに先走りがじわっとあふれ出してくる。
「あー……結構限界かもしれない」
「なら、さっさとしちゃおっか?」
「んだな」
ようこが手を離したのを確認してから、彼女の背中に腕を回した。
腰をずらして微調整しながらそっとペニスを秘唇にあてがう。
ふと、とあることに懸念して啓太は尋ねた。
「一気の方がいいか? お前一応、ほら、初めてだしさ」
「んー……」
顎に指をあて、ようこはしばし考え込む。
「くすりが効いてるんだから、そこまでひどくはないと思うけど」
「じゃ、一気に行くわ。……痛かったら言えよ」
「うん、ありがと」
照れくさそうにそっぽを向く啓太。
こんな時でも気遣ってくれる彼が何よりも愛おしい。
だから、受け入れたい。
「きて、ケイタ」
「……いくぞ、ようこ」
互いの名前を呼び合い、こくんと一度頷きあう。
そして、一気に腰を進めた。
「んんんんっ!」
最初こそ滑らかに行ったが、それでも途中でつかえてしまった。
素早く体を入れ替えると、体重を掛けてずぶずぶと奥へ奥へと沈めていく。
「い、痛っ……ケイタぁ……」
最後の抵抗を無理やり破った瞬間、ようこの瞳から雫がこぼれた。
破瓜ほどではないが、未開の地に立ち入られた痛みは尋常ではない。
彼女の身を案じて啓太は一旦腰の動きを止めた。
「おい、大丈夫か!? やっぱいきなりはまずかったんじゃ」
「ううん、違うの」
ふるふると弱弱しい笑みでようこは首を振った。
己の腕を背中に回し、ぎゅっと、慈しむように抱きしめる。
「嬉しいから。ケイタと一緒になれて嬉しいだけだから」
「ようこ……」
痛いだろうに。
とても痛いだろうに、心配をかけまいと笑顔を浮かべるその強さ。
啓太は、どうしてこの少女にここまで心惹かれるのかが、ようやくわかった気がした。
少しだけ引き抜き、そして再び奥へ打ち付ける。
「あぁっ!」
まだ痛みの残る声。びくっとして動きを止めた啓太に、ようこは無言で首を振る。
啓太も諦めたように頷き、もう一突き。
「ふぅんっ!」
さらに何度もピストン運動。
するとだんだんと、滑りがよくなってきた。
「あ、ふあ、んっ! んぁっ!」
声も痛みのものから、艶っぽいものへ変化してゆく。
その変化を認めて、啓太はさらに激しさを増した。
「んっ! ふんっ! んんっ! ぁあっ! あっ!」
ぎゅっと絞るように絡みつく膣内。
薬で感覚が鋭くなった今、最早果てるのは時間の問題だった。
「そろそろ……いくぞ」
「うん。一緒に、ね?」
ようこもまた、限界が近かった。
不思議なほど呼応する鼓動、快楽、限界。
二度三度打ち付けると、急に締め付けが強くなった。
もう次で決まる。
啓太は一気に抜けそうなほど引き抜くと、力を込めて背を抱いた。
ようこも答えるようにぎゅっと強く、皺ができるほど握り締める。
そして、全力で奥へ突きたてた。
「あ、ああ……ああああああああああっ!」
「んんんっ!」
ぎゅうっと一気に空間が窮屈になった。
同時に堪えていたものが堰を切ってあふれ出す。
迸る白濁が奥深くを打ち付けるのが、見えないがよくわかった。
さらに幾度かびくびく震えながら吐き出した後、一気に張り詰めていたものが抜けた。
ずるっと引き抜くと、愛液と精液の混じったものがどろっと溢れて零れ落ちる。
ようこはだらしなく尻尾を出して、力の抜けた、だがどこか満足げな笑顔で啓太を見上げる。
「やっちゃったね」
「おう。……何か知らんがもう本調子だしな」
啓太はそんな彼女の頭を抱き寄せ、くしゃくしゃと髪を撫でてやった。
「えへへ~」
そっと寄り添う二人は、どこまでも幸せそうだった。
そしてそれを覗く、三つの人影もまた。
「け、啓太様って結構激しい方なんですね!? フラノも年甲斐もなく興奮しちゃいましたよ~」
「お、おとなだ」
「……はふ」
まだ冷静さの残るフラノと対照的に、真っ赤になって大人大人と呟くともはねとへたり込むカオル。
とても立ち上がれそうになかったので、フラノはそんな二人を襟首掴んで撤収した。



「あれあれ? ファックスですか?」
二人をとりあえず各自の部屋に返してからぶらぶらしていたら、電算室から音が聞こえてきた。
彼女は送り方はわからないが、何をするものでどういう挙動をするかは知っていた。
そっと覗き込むと、ちょうど受信中。
誰宛かもわからないので、そっとナナメ読みして見た。
「ん~と……あらら、ごきょうやちゃんからですか!」
しかもご丁寧に文頭には「フラノへ」とあった。遠慮を捨てて本文に目を進める。
「ふむふむ。『この前渡した薬のことだが、まあなんとなくお前の用途はわかっている。くれぐれも軽率な行動で、
啓太様たちにご迷惑を掛ける事がないように。特に青い方は遊び半分では使うんじゃないぞ』」
ゆっくりと時間を掛けて読み進めるフラノ。ほとんどが他愛のない近況報告だったが、最後の一文で目がとまった。
目を丸くする。
「『なお、間違っても媚薬と利尿薬を併用しないように。お前のことだからそういうおかしな使い方をしそうだからな。
なんでも、受精率が著しく向上するとかなんとか……ゴム無しだとほぼ一発だから、気をつけてくれ』……え?」
確かようこの紅茶に両方入れて。
で、ゴムをつけずに本番して。
急に悪寒が背中を這い上がってきて、ぶるっと身震いした。
しばらく呆然と紙を見つめていたが、ふうと息を抜くと、
「ま、まあ、これで啓太様も浮気しなくなりますよ、ねっ!?」
取り繕ってみた。我ながら無理があると思った。

なお、これより三ヵ月後、啓太が悲鳴を上げたのは別のお話。

[06/10/05-ようこ好き-2-563~583]