硫黄 sulfur
イオウ sulfur 


 6族の非金属元素。原子記号S,原子番号16、原子量32.064。 結晶
または無定形で存在。4個の安定な同位元素がある。 化学中間体、殺
真菌剤、ゴム加硫に用いられる。
 資源としての硫黄は、元素硫黄、金属硫化鉱物、含硫(硫化水素)
天然ガス、石油、石炭、金属硫酸塩などである。
 これらを原料とする硫黄化合物は、基礎化学品としての硫酸を経由
して産業系を移動し、その最終形態は安定な石膏、硫安、ボウ硝(硫
酸ナトリウム)などの硫酸塩としてリサイクルされ、あるいは水に溶
ける理由酸マグネシウムなどとして廃棄される。
 硫酸は、二酸化硫黄を酸化して生成する三酸化硫黄を希硫酸に吸収
させてつくられる。二酸化硫黄は、元素硫黄を燃やすとき、銅、亜鉛、
鉛などの非鉄金属鉱からそれらの金属を製錬するとき、またまれであ
るが硫化水素を燃やしてつくることもある。
 元素硫黄は米国、メキシコ、ポーランドなど天然にも産出する。わ
が国でも火山活動による硫黄があるが、現在は、大量に輸入される含
石油をガソリン、灯油、軽油、重油などの石油製品にするとき、水素
添加脱硫して生成する硫化水素からクラウス法によりつくられるもの
だけが利用されている。
 医療用の硫酸バリウムは、天然に産出するバライト(BaSO4として
98%程度)をピッチなどと混ぜて高温で還元して硫化バリウムとし、
それを水に溶かして硫酸を加えると硫化水素が発生し、硫酸バリウム
が沈殿する。
 石炭に含まれる硫黄は、有機硫黄と黄鉄鉱(パライト、FeS2)など
の無機硫黄である。後者は、水による洗炭などの簡便な事前処理である
程度は減らせる。しかし、石油中の硫黄分のように分離することは経済
的にむずかしい。これらの硫黄分は、石炭火力発電所などのような大工
場では、燃焼排ガスから排煙脱硫により石膏などの硫酸塩に変えられて
リサイクルされる。
 (脱硫)      (焙焼)
  ↓       ↓
 H2S → S → SO2 → H2SO4 → (電解酸化) → H2S2O8
  ↓   ↓   ↓     ↓
硫化物 硫黄化合物 亜硫酸・  硫酸塩
          チオ硫酸塩


最終更新:2006年09月18日 20:09