ストラングルホールド

発売元 製作 ジャンル ハード 発売日
サクセス ミッドウェイゲームス TPS XBOX360 2008/5/22

グラフィック シナリオ サウンド ゲーム性 独創性 熱中度 総合
9 4 5 5 6 7 7


動画

CM



木曜洋画劇場風。プレイ動画は少なめだが良いシーンが詰め合わせられている。

プレイ動画


海外サイトIGNの紹介ムービー。慣れればこのくらいのプレイは簡単にできる。

感想

いやあ久々にすごいゲームを買ってしまいましたよ。これはズバリ歴史に残るバカゲーです。何が馬鹿かって30憶かけて「男たちの挽歌」再現って心意気!

しかもゲーム好きであるジョン・ウー(映画監督「男たちの挽歌」というよりもMI:2の監督と言った方が通りがよい)が自ら監修、そして主人公であるテキーラのモデル&吹き替えは「亜州影帝」(アジア映画界の帝王)の異名をもつチョウ・ユンファと、「男たちの挽歌」以来の黄金タッグですよ!

もうこの時点で何割か引き気味だと思いますが、まあようするに「男たちの挽歌」という映画がありまして。これがもうなんというか以後のガンアクションのお手本ともいえるようなバカカッコいいシーンが連続するわけですよ。

余談ですが、厳密に言うと「狼 男たちの挽歌最終章」を見ていただければこの辺はわかりやすいかと思います。むしろ「男たちの挽歌」(無印)は別にガンアクション的にはそれほどでもない。

たとえば、銃を撃った時にカメラが弾丸の視点になってスローで相手に飛んでいくシーン、敵に囲まれて絶対絶命のピンチにスローになりながら大回転して二兆拳銃で周りの雑魚を皆殺しにするシーン、そして無駄に飛び立つハト!

とまあこういうシーンがこのゲームでも完全再現されているわけです。特にスローになるという演出はこのゲームにおいて命ともいえるほど重要なファクターです。

このゲームはまともにやるとめちゃくちゃ敵が多いです。しかも容赦なく無限リロードでバカスカ撃ってくる上、遮蔽物の8割は破壊されるものですから、メタルギアばりの超ステルスで進もうとしてもまったくの徒労というものです。

ではそんなときはどうするか。LTボタンを押してみましょう、そうするとあら不思議、画面が真赤になってみんながスローで動き出したぞ! つまりこのゲームは任意のタイミングでスロー演出がかけられるわけです。弾丸の速度は鈍亀がごとき超低速ですし、こっちは照準がゆっくり狙えるのですからいいことづくめ。もちろん永遠にスローにできるわけではなく、そこはゲージがなくなるとスローは終了です。勝手に回復しますのでスロー→キル→逃げる→スロー…… というように立ち回りましょう。

さて、このスロー演出には実は先行作品があります。マックスペインというゲームのバレットタイムというシステムがそれです。が、個人的には似て非なるものだと考えます。

ストラングルホールドにとってスローとはただのスローではないのです。いわば横っ飛びスローというべきものです。

このゲーム、デフォルトの設定ではLBボタンとスティックの方向の組み合わせでユンファが指定の方向にダイブします。前方であれば二丁拳銃を突き出したまま、ダイブ! そして腹から着地! 横方向であれば前方に二丁拳銃を突き出したまま横っ飛び! そして慣性のまま横滑り! そして後方! バックジャンプしながら射撃! そして尻もち!

すいません、意味もなく興奮してしまいました。ええとなにかというと、横っ飛びで空中にいるときだけスローモーになるのがかっこいいんです。スローを解除して瞬間、血風をまき散らして倒れ伏す敵! これがロマンなんです。アニメとかでよくある居合切りのあと「チン!」と納刀した瞬間、ブシューってのと近いかもしれません。

ロマンといえば破片フェチにもおすすめです。マトリックスの大量の薬莢をまき散らすシーンとか、ヘリからのガドリングでコンクリートが鉄骨むき出しになるまでバカスカ撃たれるアレです。

ストラングルホールドには非常に高性能な物理エンジンを搭載されているため、ステージ中のほぼ全てのオブジェクトに何らかの反応があります。背景としか思えないものでも銃で撃ってみると弾痕が付いたり、破壊されて地面に落ちたり、破片が舞い上がったりします。

そしてさらに、これを利用して敵を倒すことが可能であり、ステージごとに様々な敵の倒し方が用意されています。しかもこの倒し方だとスタイリッシュポイントが多くたまるため、ゲームを進める上でも有利になるという仕組みです。

ここまで書いといてなんですが、こういうロマンが解せない人にとって、このゲームはおっさんがスローでぴょんぴょんダイブしながら敵を撃つゲーム以上にはなりえないと思いました。良くも悪くも、というか悪くも悪くもと言った方がいいくらい人を選ぶゲームです。極言してしまえばユンファ好きでない人はやらない方がいいかもしれないです。

冷静に評価すると、カメラ視点が劣悪で3D酔い必須だとか、操作方法がまともなTPSではありえない奇天烈さだとか、難易度設定が極端すぎてハードが別ゲーだとか色々荒けずりなところは見つかりますが、それを凌駕する濃密なロマンをぜひ感じてほしいなと思います。

個人的には拳銃の音が軽いのと、若いころのユンファをモデルにしてほしかったことの二点のみどうしても気になったことでした。

できるならば先に映画を見てやってみてほしいですね。
最終更新:2008年10月11日 01:51