1月の課題は、ガラパゴスへの船旅についての記事の冒頭でした。パナマ運河の構造など、きちんと調べればより適切に訳せたと思う個所がいくつかありましした。やはり調べること(それも、しつこく!)は大事ですね。問題になったところをまとめ、皆さんの訳を参考に手直しした訳文を添付します。ご意見などありましたら、お寄せください。
 
・the red tropical sun hangs over low over the jungle-coverd hills. 
~太陽がジャングルに覆われた丘に「落ちかかっている」(眞鍋さん)、「沈もうとしている」が自然な表現だと思います。
 
・the 65,000-ton ship is lowered in its final stage from Lake Gatun.
 
正確な意味がわからなかったので、パナマ運河について改めて調べてみました。運河の通路は以下のようになっています(Wikipedia)。
 
カリブ海 ⇔ ガドゥン閘門 ⇔ カドゥン湖 ⇔ ゲイラード・カット ⇔ ペデロ・ミゲル閘門 ⇔ ミラ・フローレス湖 ⇔ ミラ・フローレス閘門 ⇔ 太平洋
 
ガトゥン湖が海抜が一番高く、26メートル。そこから太平洋に向かって段々と下がっていきます。なので、原文の意味は、このミラ・フローレス閘門は、ガトゥン湖から水位が下げられる最後の閘門だということではないかと思います。わかりやすくすっきりと訳すのはむずかしいですが。いかがでしょうか。(例会時は、3つのどの閘門でも船の水位が降ろされるものと思い込んでいましたが、カリブ海と太平洋は同じ海抜0メートルなのでした(笑))
 
・the enormous vessel is pulled forward by tow lines.
tow lines は、引き綱か曳航車かが問題になりました。調べたところ、以下の説明がありました。訳語は「曳航ワイヤ」「牽引ワイヤ」「牽引ロープ」などでよいと思います。
 
パナマ運河には一部幅の狭い区間があり、船舶が自力で航行できないため専用の電気機関車を用いて船を牽引する。この機関車には、日本の東洋電機製造製の車両が使用されている。運河の両側にラック式の線路が敷設され、両側の機関車からそれぞれワイヤーで引っ張って船を水路の中央になるように保ちながら牽引する。
 
・keep a watchful eye on the dozens of freighters
周囲に船がたくさんいるので、ぶつからないよう絶えず気をつけなければならなかったということですね。
 
・carrying enough Dramamin to tranquilize a humpback.
humpbackに「猫背」の意味があり、船酔い(吐き気)で背中を丸めて苦しむようすを指していて、「吐き気を抑えるために」(金田さん)が適切だと思います。ただ、そういう使い方の例は見つかりませんでした。「ザトウクジラ」と掛けたのではないかと思われます。
 
・Andrew puts us on a starboard tack
"on a starboard tack" は「スターボードタック(右舷開き)の状態で」で、"us"はボートを指していて、「船をスターボードタックにする」という意味で間違いないと思います。ヨットをやる人に聞いたら、普通に使う言い方で、船の方向を変えるためにクルーが片側に寄ることには別の用語があるそうです。
 
・Our Down East Maine crew mate
Down East Maine と大文字なので、船の名前と思いましたが、船の名前にしては"いかさない"とのごもっともな意見をいただきました。down EastでMaine州の意味があり、「メーン州のクルー仲間」が正解のようです。
 
・pods of pilot whales breechs beside us
breechは、辞書の訳語に適当なものがなく、スペルの間違いでは?と思って調べてみたら、正しくはbreachのようです。「(クジラが)水面上に飛び出る」「水面におどり出る」の意味です。こういうミススペルもたまにありますね。
 
・I steer with one eye to the long axis of the Southern Cross
「なぜ片目なのか」という疑問が出ました。たとえば腕を伸ばしてある方向を指すと、右目で見るときと左目で見るときでは"ずれ"が出ます(意味がわかるでしょうか? やってみてください)。両目で見ているときも、どちらかの目(利き目?)で見ています。なので、やはり片目でないと正確な針路を取れないのでは、と思います。それから、この場合、「進路」は間違いで、「針路」が正解でしたね。
 
以上です。
最終更新:2008年01月27日 18:58