序章~刹那との戦い


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世界は人の選択によって成り立っている、選択が世界を作る。
しかし時代は変わり、選択はすべての人間に平等に与えられる物から、一部の人間にのみ許される行為となった。
大多数の人間はごく少数の彼等が決める選択の中で生まれ、生き、戦争に駆り出され彼等ごく一部ための捨て駒となり盾となる。
もはや人間の大多数に選択の余地は無く、政府という名のカルマが提示した、極めてごく小さな環境でのみ生きる事が許される。
人間の根本的人権は剥奪され彼等の駒となり道具となる。
彼等はそれを赤ん坊の玩具の様に扱い、壊れ行く様を笑顔で見つめる。
世界は壊れ始めている、いやもう壊れきっているのかも知れない。
選択とは自由に行われる事であり、これは人間の基本的な本能にして全てを司る絶対的な物。
しかし選択は時に世界を混沌へと導き、破滅をもたらす悪魔へと姿を変える。
人の選択は未来を創る行為、しかしそれは戦争と言う破滅への階段を上る事をも司り、全てを壊す事も意味している。
選択は人を破滅に導くのか?だがそれでも人は選択をせねば生きて行けない存在でもある。
選択は全てを救う可能性と核兵器をも凌駕する破壊を与える可能性を秘めた諸刃の剣であると共に誰にでも認められた自由な物でもある。
時に選択は何の変哲も無い人間によって決められ世界を変える…例えそれが破滅であろうと選択してからではもう遅いのだ。
しかし世界は選択よってしか創る事が出来ない、破滅と分かっていても人は選択するしかないのだ。
それこそが人間の本質であり真実である。
誰も覆す事のできない真実である。



ここは以前麻帆良市と呼ばれていた場所である。
今の呼び名は戦場の2文字、これが今の麻帆良市の名前である。
兵士達は瓦礫の中を突撃銃を構えながら歩み進んでゆく。
時たま人間とは形容し難い異形の者達が彼に襲い掛かりその血肉を食らう。
それが現在の麻帆良市、日常の風景である。

「ブラボーαチーム作戦開始ポイントに到着した!指示をくれ」
「αリーダー目標は確認できるのか?」
「確認できる白い巨大な翼の少女……間違いない」
「αリーダー健闘を祈る」
「……よし作戦開始撃て!!」

瓦礫の山によって形成された遮蔽物から、突撃銃を構えた男が十数人、一人の少女を包囲している。
突撃銃は一斉に火を噴き少女の身体目掛け鉛の弾丸を放つ。
少女は両手に下げた剣を抜き一瞬にして姿を消す。
その瞬間一人の兵士に首が飛ぶ、そしてその首が宙に浮いた瞬間また一つ首が宙を舞う。
一人の兵士が声を上げようとするが少女が彼の首を刎ねる、その声が発せられる事はもう二度と無い。
それから数秒で十数人の兵士は皆首を失い花びらのように血を噴出し戦場を彩った。
少女は自らの剣に付いた血を眺め、微笑みを浮かべ飛び去って行った。

「αリーダー応答せよ!αリーダー!」
無線機からの通信はむなしく虚空に響いた。

暗い部屋の中から男達の話し声が聞こえてくる。
部屋の中には拳銃を持った数人の男が少女二人を囲む形で立っている。
二人の少女はパイプ椅子に手足を縛り付けられ口にはタオルを捻って作った猿ぐつわを噛まされている。
男達に囲まれた二人の少女は全裸でそのうち眼鏡を掛けた少女は涙を流して必死に何かを叫ぼうとしている。
もう一人の中国系の少女はいたって冷静であり、ただ下を俯き黙っている。

二人の少女を囲む男達は何か相談をしているような様子であった。
男達は全員を黒いスーツで身を包み、黒いネクタイを締め、黒い皮手袋をつけていた。
顔からして東洋系と白人、二つの人種が丁度半分程度の割合でそこには居た。
少女達を囲んでいる内、白人の男が中国系の少女の猿ぐつわを外す。
男が猿ぐつわを外したその刹那、少女は男に唾を吐き掛け微笑した。

「生意気なお嬢さんだ。あと5年…いや3年も待てば結構なもんになりそうなのに惜しいな」
男は顔に付いたつばをスーツの袖で拭き取ると拳銃を眼鏡を掛けた少女に向けた。
「やめるネ!ハカセには何も罪も無いネ!殺すなら私一人にするネ!」
中国系の少女がそう言った瞬間、眼鏡を掛けた少女の頭は撃ち抜かれていた。
「最低ネ……お前達は人間の屑ネ!糞!!放すネ!お前達を殺してやる!!」
「うるせぇな」中国系の少女の猿ぐつわを取った白人はそう言って彼女の頭も撃ち抜いた。
「超鈴音と葉加瀬聡美の死亡を確認、遺体は麻帆良市に廃棄せよとの事だ」
数人の男達は無言で超と葉加瀬の遺体を担ぎ上げ、暗い部屋を後にした。

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル、魔法の射手!光の49矢!」
炎と血の匂いそして異形の者達に支配された戦場で一人の少年が叫ぶ。
すると少年の周りに光が大量の現われそれが少年の眼前に居る妖魔達の身体を次々と貫いてゆく。
光の矢で貫かれた妖魔達はその身体を花びらに変え虚空に消えていった。

血と火薬、人の肉の焼ける匂いが絶えず充満している戦場に甘ったるい花の匂いが立ち込める。
宙を舞う花びら、そしてその香しい匂いはまるで夢の中に居るかのような錯覚を与える。
そんな戦場に居る一人の少年は赤味がかった髪と眼鏡を掛けていた、服装はスーツの上にローブの様なコートを羽織っている。

「ネギ数が多い!一旦退こう」一人の男が赤味がかった髪の少年に呼びかける。
「はいジョンさん、一旦引いて体勢を立て直しましょう……それにしても何て数だ」
ネギは黒いスーツに黒いコートを羽織った男、ジョン・コンスタンティンの方を向き頷いた。
ネギとジョンは自らの眼前に居る数百…いや数千の妖怪達から逃れる様に走り出した。
妖怪達も黙って見過ごす訳も無くジョンとネギを追い一斉に走り出す。
時たまジョンがその腕に持つ黄金の散弾銃で妖怪達の群れを撃つがせいぜい一、二体の妖怪を倒すのが限界である。
妖怪達は仲間が転じた花びらを蹴散らしながら迫ってくる。

「しつこいですね……もうすぐ…もうすぐだ」
ネギとジョンは必死に走るが妖怪達も諦めない…だが突如妖怪達がまばらではあるが花びらになり始めた。
「援護か!助かった…ネギ行くぞ!!」ジョンとネギの視線の先にはアサルトライフルを妖怪達の群れに向けて撃っているたくさんの兵士の姿が見えた。
兵士達は瓦礫の影に隠れながら妖怪達を狙い撃ちしており次々と妖怪達は花びらになっていく。
「ここは任せて早く行ってください!もう少しで他の魔法使いの方がみえますから安心してください!」
一人の兵士がネギとジョンにそう言った、ネギとジョンは兵士の言葉に頷き、その場を後にした。

戦場から少し離れた場所にある負傷兵収容所には絶えず人が行ったり来たりしている。
ここでは火薬の匂いこそあまりしないものの、血の匂いは一段と濃く普通の人間であれば鼻を塞いでいる所だろう。
収容所には重傷者から軽傷者まで数え切れないほどの兵が絶えず運ばれてくる。
ここで命を落とす者も居れば簡単な治療を受け再び戦場に赴く者も居る。
そんな負傷兵収容所に一人の少女が姿を現した。

髪は黒く長髪、その長髪を頭の左側で縛っている、服装は袖が無く背中の大きく開いた巫女の衣装に似た物であった。
両手に刀、右手には複雑な文様が刻まれた剣、左手には自身の身の丈ほどもある白木造りの刀を持っていた。
かなり奇抜な格好で負傷兵収容所を歩く彼女を一人の兵士が呼び止めた。

「すいません…魔法使いの方ですか?あの所属を言って頂けますか?」
「私の所属ですか?……貴方方の敵…妖怪の一味ですよ」
少女はそう言うと背中から美しい白い羽を広げ羽ばたいた。
白い羽毛が宙に舞い鮮やかに空を彩る。
思わず兵士もその天使が舞い降りたかの様な光景に釘付けとなった。

「美しい……まるで天使だ…」兵士の言葉に刹那は眉間にしわを寄せた。
「私が天使か……皮肉を言うな!!」刹那はそう言い放つとそのまま自分に見惚れている兵士の首を刎ねた。
兵士の首は白い羽が舞う宙へ飛び、程無くして冷たい地面にぼとりと落ちた。

刹那はゆっくりと負傷兵が収容されているテントを目指した。
一歩一歩をかみ締めるように刹那は歩を進める。
彼女がテントまで後10歩と言う所で彼女の背中に冷たい感触が走った。
ゆっくりと振り向く刹那、そこには見覚えの有る顔が存在した。

「よう刹那1週間ぶりか?」
ジョン・コンスタンティンが彼女に背中にショットガンを突き付けていたのである。
「お前が二人も人を殺すとは驚きだぜ、ネギには悪いがお前にはここで死んでもらう」
「そう……でも私にそんな物は効きませんよ?」
「こいつは祝福された金の聖具を溶かして作られた弾だぞ?妖怪のお前がただで済むと思うな」
「そう言うなら、貴方の強さ見せてくださいよジョン」

刹那はそう言ってジョンに回し蹴りを見舞った。
だが刹那の足は空を切り、すかさずジョンは刹那の顔に銃を向ける。
だが刹那は冷静に空を切った足を振り上げジョンの持つ銃に振り下ろした。
ジョンの銃はガチャリと音を立て地面に落ちる。
急いで拾おうとしたジョンだが、既に刹那の剣が彼の首筋を捉えていた。

「気も使えない貴方が私に勝とうと言う、それこそが傲慢ですよ?」
「いやどうかな?案外危険は身近に有るんだ、そうだよなネギ」
思わず刹那はジョンの視線の先を見る。
刹那が見たのは杖に乗り掌に魔力を溜めたネギの姿であった。

「驚きましたネギ先生……貴方まで人間の味方をするのですか?」
刹那の言葉を受けネギは苦虫を噛み潰したような表情を一瞬浮かべた。
だがすぐにその顔は刹那への敵意をあらわにした物になった。

「もうやめてください刹那さん!これ以上罪を犯すのならば僕は…貴方を」
「どうしますかネギ先生?」
ネギはゆっくりと空から降りる、そして自らが乗っていた杖を刹那に向けた。

「僕は貴方を……倒します……それが僕の教師としての義務です」
「貴方が忠を尽くすべき相手は誰ですか?」
「忠を尽くす相手?」
「私は自分に忠を尽くしました……貴方はどうですかネギ先生!自分に忠を尽くすのか?政府に忠を尽くすのか?」
「……僕が今、忠を尽くすべき相手は貴方です…桜咲刹那さん」
「私に忠を尽くしても何も帰ってはきませんよ?……」

二人の間に沈黙が流れる、しかしこの沈黙は刹那の手によって瞬く間に破られた。
刹那は音も無くそして人間の動体視力が捉え切れぬ程のスピードでネギの懐に入り込む。
ネギは冷静に無詠唱魔法の射手、光の一矢を刹那の胸に放った。
光の矢は至近距離から放たれたにも拘らず刹那はこれを宝剣で叩き切った。
宝剣の斬撃によって光の矢は僅かな光を残して消えていく。
だがそれと同時に刹那の前からネギの姿も消えていた。

「どこに行った!?」
刹那は辺りを見回すもネギの姿はどこにも無い。
自分の周囲には居ない……はっとして刹那は自らの頭上に目をやる。
刹那が頭上を見上げた瞬間、空から光が雨の様に降り注いできた。
光の雨は瞬く間に刹那の体を包み込み次々に弾けていく。
地面からは土ぼこりが上がり、刹那の姿は見えなくなっていった。

「さすがだな……あれだけの魔法を短時間で」
ジョンは自らの足元に落ちた銃を拾い上げる。
「ジョンさん!大丈夫ですか!?」

そう声が聞こえた瞬間、ネギがジョンの隣に立っていた。。
ネギは先程と比べると若干息が上がっており、額には脂汗が滲んでいる。
「大丈夫か?」
「はい大丈夫です!これぐらいは何ともありません」

ネギとジョンは互いに示し合わせ、土ぼこりの立ち上る場所に歩み寄って行った。
ジョンはショットガンを構え、ネギも杖を向けながら歩いている。
じりじりと土ぼこりに近付いて行く二人……だが突如二人は首筋に冷たい物を感じた。
思わず足を止める二人そして振り向くと。
「お二人ともまだまだ甘いですね、こんな単純な手に乗るなんて」
冷たい感触の正体は刹那の剣、クシネトリカと夕凪であった。

「とりあえず、お二人とも武器を捨てて蹴ってください」
首筋に剣が当たるこの状況で、二人は逆らえるはずもなくそれぞれ杖と銃を足元に落とした。
ネギはそっと杖を蹴るもののジョンは苛立ちからか盛大にショットガンを蹴り飛ばした。

「いいでしょう、さてどうして欲しいですか?」
どうして欲しい?もちろん解放して欲しいに決まっていると二人は思ったが……
「ああ解放しろとかは聞けませんよ」
やっぱりなとジョンは呆れ顔になり、誰か助けてと願うネギ。

「やっぱり死んでもらいましょう」
刹那は二人の首から剣を離す、無論二人の首を切り落とすためにである。
さすがのネギも、この至近距離で刹那の剣をかわすのは難しい。
さらに自分は逃げる事ができても瞬歩や縮地といった技の使えないジョンは見殺しにする事となる。
もう駄目だとネギが思ったその時『ピスピス』という奇妙な音がネギの耳に入ってきた。
そしてその直後、女性の悲鳴、そしてまた『ピスピス』と言う音が聞こえてくる。
ネギが思わず振り向くとそこには血塗れになった刹那が踊り狂っている姿があった。

刹那の腕、足、羽、腹、背中、肩に次々と穴が開いていく。
その度に身体は赤く染まり血が噴き出してくる。
どうなっているのか?と不思議に思うネギだが血塗れで踊る刹那から目が離せない。
やがて奇妙な音はやみ、その場で刹那が倒れこんだ。
それから程無くして、やっとネギは奇妙な音のした方向へと目をやる。
そこでネギが見たのはアメリカ人の男が銃を持って近付いてくる光景であった。

「刹那さん!!」
ネギは地面に倒れこみ呻っている刹那を抱き起こす。
刹那の体から流れる血がネギの衣服に染み込むがそんな事はお構い無しに抱きしめる。

「今すぐそいつを離せ!!」
そう言って近付いてくるのは30代後半の欧米人。
髪は金髪、顔立ちは割りと端正な方であるが鋭い眼光をしている。
服装は黒い開襟のシャツにジーンズ、シャツの上には防弾チョッキを着込み、その手にはサイレンサー付きのUSPコンパクトが握られている。

「貴方は何者ですか!?何でこんな事を……」
「俺はCTUのジャック・バウアー捜査官だ!!お前は!?」
「僕は魔法戦術部隊、第8小隊隊長ネギ・スプリングフィールドです!」
「俺は同部隊所属のジョン・コンスタンティンだ!」
ジョンは若干自分が忘れられている事に腹を立て少し大きめな声で言う。

「聞いた事がある、ジョンにネギだな?よしとりあえずその女から離れるんだ!!」
「嫌です!!刹那さんに何をする気ですか!?」
「殺しはしない!尋問するだけだ!!」
「今すぐに手当てをしないと死んでしまいます!!」
「いや!!尋問が先だその女から離れろ!!……早く離れろ!!」
「嫌です!!『ネギ……先生……』!?刹那さん!?」

刹那はネギの顔を見つめる物悲しげな目でじっと……
「退け!!!!」刹那は一言そう言ってネギの腕の中から飛び去っていた。
ネギの腕に残ったのは血の生暖かい感触と真っ赤に染まった羽毛だけであった。

「くそぉぉぉぉぉぉ!!何で逃がした!!」
バウアーは顔を真っ赤にしてネギに詰め寄った。
「僕は自分の生徒を殺させはしません!!元に戻って欲しいだけです!!」
ネギの言葉に間髪入れずにバウアーは、ネギの胸倉を掴み、締め上げた。

「この糞ガキが!!お前個人の問題なんてのはどうでもいい!!これは戦争だ、甘ったれるな!!」
激しい剣幕で怒鳴りつけるバウアーに対して負けじとネギも反論する。
「僕の生徒を殺させはしません!!例え誰であれ」
ネギの狂気にも似た表情に思わず怯むバウアーであるが、よりいっそうネギの胸倉を締め上げる。

「だから甘ったれるなこのガキが。お前個人の考えはどうでもいい、これは国の存亡を駆けた戦いだ」
「何であれ僕は自分の生徒を殺すことは出来ません!絶対に誰も死なせない!!誰一人として死なせない!!!!」
「あの化物女は敵だ!!お前の知っている奴じゃない!!」
「刹那さんは刹那さんです!!」

ネギの言葉を聞いたバウアーは小さく声を上げて笑い出す。
バウアーはゆっくりとネギの胸倉を離し軽く整えた。
そして子どもをあやす様に視線を低くしてネギの顔を覗き込む。

「裏切られて可哀想だな」
バウアーは茶化すような口調でネギの顔を覗き込んで笑っている。
「……ネギ補給基地に帰ろう」
ジョンは複雑そうな顔をしてネギを手招きする。
ネギは俯いたまま自分の杖を拾い上げトボトボと歩き出した。
ツールボックス

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