第四話

知床がいなくなって集中が切れたのか全身の力が一気に抜けその場に膝をつく。
それを見て先程の黒人アフロが急いで駆け寄って来た。
「大丈夫でござるか!?さあ、これを・・・!」
「・・・ひよこ・・・まんじゅう?」
「さあ、早く食べるでござる!」
何故今この状況でひよこまんじゅうを食べなくてはいけないのか?と思ったが彼の気迫に負けて仕方なくそれを頬張る。

「・・・あむ、もぐもぐ。・・・!!?」
その時刹那の体に異変が起きた。先程の戦闘の疲労、背中の痛みが無くなったのだ。よく見れば傷が塞がっている。
「ありがとうございました!私は桜咲刹那という者です。」
「拙者は『ドナルド・ドナテロウズ』。みんな“ドナドナ”と呼ぶでござるよ。」

ではドナドナさん。さっきのひよこまんじゅうはいったい?」
「食べると元気になあるでござるよ。拙者も怪我したりすると大根やそこら辺のキノコを食べるでござる。」
「へ、へぇ・・・そ、そうなんですか・・・。」
「それとたまに毒キノコがあるから注意するでござるよ。」
「はぁ・・・。気を付けます。(ゲームみたいだな・・・。)」
超が何故こんなゲームみたいな設定を作ったのか(本当にゲームの中にいるとは知らない)考えてると店の中から声がした。

「あ、あのぉ・・・本当にありがとうございます。」
「いえ、そんな事ないです。それよりお怪我はありませんか?」
「はい。おかげ様で。」
すずは眩しい程の笑顔で答えた。その笑顔につい見とれてしまう刹那だった。
(って何を見とれてるんだ私は!わ、私にはお嬢様という人が・・・ってそういう問題では・・・!)
やはり刹那にはそっちの気があるのだろうか、とにかくテンパっていた。
そこに外国人特有のオーバーリアクションでドナドナが話し掛けてきた。

「それにしても強いでござるな!あの知床に勝つなんて!是非今後もすずさんを助けてやってほしいでござる!」
「ちょっとドナドナさん!」
「別にいいですよ。困った事があったら相談してください。」
「そうですか・・・。あ!じゃあお礼に何か食べてってください。今片付けますからちょっと待っててください。」
「あ、手伝いますよ。」
「拙者も手伝うでござる!」

三人が協力して片付けたので数十分で終わった。ご飯を食べながら刹那はこの六骨峠や宿場の状態、
そして地図を見せてもらい周辺の地形などを把握した。そしてしばしの雑談の後ドナドナは家に帰っていった。
「そういえばドナドナさんてどこに住んでるんですか?」
「確か橋の下に住んでると聞きましたけど・・・。」
それってホームレスでは?と思う刹那だった。
空が暁に染まってゆく。この先刹那に待ち受けているものは?それは誰にもわからない。

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最終更新:2006年09月13日 22:10
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