第二話


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坪八が去って行くのを見送った後刹那は重大な事に気付いた。
「あ!場所聞くの忘れてた!どうしよう・・・。」
既に坪八の姿は見当たらず困り果ててたが刹那はある事を思い出した。
「そういえばさっき助けた人!大丈夫ですか・・・ってあれ?」
すずが心配になり振り向いたが既に居らず辺りには倒れたチンピラ達だけであった。仕方なく刹那は坪八が去って行った方角に向か
って歩く事にした。歩いて行くと神社があり、その石段に二人の男がいたので刹那は屋敷の場所を教えて貰った。

~黒生屋敷~

「やっと着いた。お、あれは坪八さん。」
屋敷に着くと門の前に坪八が待っていた。
「よお刹那か。早く鉄心様に挨拶して来い。」
「鉄心様?」
「おう。この一家の大親分だ!」
刹那は中に入り屋敷に向かった。屋敷の縁側では二人の男女が話しをしていた。
男はいかにも大将といった感じでその圧倒的な威圧感が遠くからでも伝わってくる。
女の方は美人なのだがどこか腹黒そうな感じである。やがて二人は刹那の存在に気付き話を中断させた。

「ん?あんたかい?坪八が言ってた奴は?」
「あなたは?」
「あたしかい?あたしは邑咲(むらさき)。立場は・・・見りゃわかるだろう?」
そう言って妖艶な、しかしどこか悪そうな笑みを向けた。
「うむ。良い目をしておる。しかし真に剛の者か・・・。」
「ならここで試合してもらえば?」
「ふむ、そうだな。」
「相手はあたしが決めてもいいかい?」
「・・・任せる。」
(勝手に話進められてる・・・。)
「知床!!」

「お呼びで?」
呼ばれて出てきたのは綺麗な七三分けの思慮深い感じの中年男性。
「こいつの相手をしてあげな。」
「承知。」
知床がこっちに向かって歩き刹那の正面に立つと刀を抜いて構える。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「問答無用。武士ならば刀を抜け。」
「話しても無駄みたいですね・・・。仕方ありません。」
刹那も夕凪を抜き構え、お互い睨み合う。刹那は動かない。いや正確には動けないのだ。

(脇構えか・・・。やり辛いですね・・・。)
脇構えとは刀を後ろに回し右脇に構える。この構えは相手から見ると刀が隠れて間合いがわからなくなる。
つまり迂闊に近寄れないのである。
「来ないならこちらから行くぞ。」
じりじりと間合いを詰めてくる知床に対し刹那は腰を落として迎え撃つ気だ。
(間合いがわからないなら相手が動いた瞬間を狙う!)
ゆっくりと近づいてくると突然止まった。しかし明らかに遠い。刀は愚か槍ですら届かない距離だ。
(何をするつもりだ・・・?)

知床の左手が動き刹那の体が一瞬ピクリと反応する。その左手を額の前に持ってくるといきなり上半身を回し始めた。
(な、なんだあれ!?大丈夫なのかあの人?)
呆気に取られてると突然の気合と同時に左手が前に突き出された。同時に何かの衝撃で刹那は吹っ飛ばされた。
「ぐはっ!(何だ今のは!?飛び道具か!?)」
起き上がると既に上半身を回していた。
(神鳴流には飛び道具は効かない。次は見切る!)
「ハッ!!」
(来た!・・・・何も飛んで来ない!?ぐっ!)
またも飛ばされる。困惑の色を隠せない。

(何だかわからないが念力か何か?ならば撃たせる前に切る!)
覚悟を決め一気に距離を詰め刀を振り下ろす。知床は刀を前に出し防御の体勢をとるが刹那にとっては好都合だった。
いくら仮想空間だからといっても人を殺すのは抵抗があった。この攻撃で相手の刀を折れればいい、そう思っていた。

――キィィン

刀と刀が当たる瞬間、知床は刀を曲げ刹那の攻撃を受け流した。刀を折ろうと力強く攻撃したのが仇となり完全に体勢が崩れた。
(しまった!!)
後ろ向きで膝をつく形となった刹那に容赦なく刀が振り下ろされる。

――ガキィィッ!!

「!」
刹那は刀を上に揚げ間一髪防いだ。そのまま全身のバネを使って一気に刀を弾くと素早く体勢を戻す。
(坪八さんとは違いかなり冷静。やっかいだな・・・。)
そう考えている内に一気に間合いを詰めて来てすれ違い様に一発。刹那は咄嗟に防御するが知床はそのまま後ろに回りこみ回転斬り。
それをしゃがんで避けるとそのまま足に向かって切り払う。それを知床はジャンプでかわしそのまま刀を打ち下ろす。

刹那は防御をするとそのまま鍔迫り合いになった。
「やりますね。しかしまだまだ。」
知床は刹那の腹に蹴りを入れた。
「がはっ!」
後ろに蹴り飛ばされ噎せる刹那。尚も悠々と近づいてくる知床。状況はかなり不利だが刹那の顔は自信満々だった。
(見つけた!知床さんに勝つ方法。さっきの坪八さん例もあるし大丈夫!)
「む!?」
立ち上がりまた距離を詰める刹那。初太刀と同じように切りかかる。

「無駄な事を・・・。」
又も防御の構えをとる。そして刀がぶつかる瞬間知床は受け流そうと体を捻った。しかし!
「今だ!」
刹那も刀が当たる瞬間に動き止めた。おかげで体勢は崩れず、逆に知床は受け流そうとしたため無防備になってしまう。
「なっ!くっ・・・。」
急いで体勢を立て直そうとするが刹那の蹴りが腕に命中し刀が遠くへ飛ばされた。

「それまで!!」
それを見た邑咲が止めをかける。そして近づいてくるといきなり50円を渡してきた。
「あんたなかなかやるわね。これはほんのお駄賃だよ。」
(5円札!?て事は今は明治くらいか?あれ、この時代の円ってとんでもない大金じゃぁ・・・。)
今の状況を理解して困惑している刹那に知床が話しかけてきた。
「見事だった。桜咲殿。何故私が受け流すと気付いた?」
「えーとですね。まず一つ。受け流しが非常に上手い。無駄なく動き尚且つ相手を大きく崩す事ができました。つまり慣れてい
 るということです。次に鍔迫り合いの時です。押し合いになりやすい鍔迫りは自然と足を下げ踏ん張るものですが知床さんは
 足が開いてました。これは押してきたの素早く左右に避けて受け流すためだと思ったからです。」

「なる程。素晴らしい洞察力だ。」
「あ、ありがとうございます。(後は所詮プログラム。必ずパターンはあるからです。) 」
知床と話していると邑咲が何かを思い出したように話した。
「そうだ知床。アンタこれから宿場に行くんだろ?だったらこいつも連れてっておやり。」
「そうですね。桜咲殿、後で神社まで来て下さい。」
そう言い残し立ち去る知床。そして神社と聞いて知ってる場所で安心した刹那だった。


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