第1話「遺物達の目覚め」


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

モニタールームでローブを着た二人の少女が話をしている。
一人は中国人風の少女で名を超鈴音(チャオ・リンシェン)という。
もう一人は葉加瀬聡美、眼鏡と広めの額が印象的な少女である。
多数のモニター、コンピューターが並ぶ、部屋はどこか異質で閉鎖的であった。
それは日の光も差さずにモニターの明かりだけが二人の少女の影を映しているからか。
はたまた騒々しい学園祭の様子を無音で映すモニターなのか、それとも年端もいかない少女の話している内容なのか……

「工学のロボットは所詮戦闘用ではないですし、正確なシミュレーションにはならないのでは?」
「いやいや60年も前に作られたロボットが戦闘用でないとは言え、最新式のロボットを倒したのは収穫ネ」
「にしても当時の技術力であれほどのロボットを作るとは……悔しいですが金田博士は我々よりも」
若干の渋い表情を見せるハカセを微笑んで見ると超は言った。
「うむ、現代に生きていたらどれほどの兵器を作った事か、少し興味があるネ」
「私は鉄人28号の内部構造に興味があります、研究すれば茶々丸も強化出来るでしょうし」
ハカセは、先程とは打って変わって、今度は好奇心がにじみ出る表情を見せた。

「どのみち鉄人28号はこちらが貰うね、目的さえ果たせば好きにしてよいヨ」
「では私は、早速鉄人の確保に向かいます、超さんは」
「分かてるね、私は廃墟弾の確保に向かうね」
「モンスターは借りますよ、あれで鉄人を押さえます」
「了解ネ、じゃあこっちは『酒の神』で一暴れしてくるヨ」
そう言い残して超鈴音は、ほの暗いモニターを後にした。

一方、学園祭の会場は狂喜にも似た盛り上がりを見せていた。
その原因は正太郎と突然現れた鉄人28号であった。
武道大会の選手を追っていたマスコミは突如現れた謎の巨大ロボットに目標を切り替えていた。
何せ、暴走していた恐竜ロボットを一撃で倒した謎の人型巨大ロボット、話題性は十分だ。
しかも学園祭主催側からも、このようなパフォーマンスが行われるとは知らされておらず、余計に人々の好奇心を駆り立てたのだった。
マスコミに、囲まれた正太郎は困ってはいたが激しいマスコミの包囲網から逃げ出す事は出来なかった。
さらに、自分達のロボットを破壊された工学部は、用途の分からない機材で鉄人を調べ始めている。

しかしその騒ぎはひとつの巨影によって、恐怖の叫びへと変わる。
そう空から巨大な怪ロボット、モンスターが舞い降りてきたのだった。
不気味な笑顔を浮かべるとモンスターは真っ直ぐ鉄人28号を目指して、その巨体を揺らす。
その異様さにさしものマスコミも恐怖を感じたのか、正太郎と鉄人から一斉に離れていった。

「モンスター!?また動き出したんだな、鉄人!」
正太郎の呼びかけに答えるように鉄人は激しい咆哮を上げる。
「正太郎君!!」そう大声で正太郎に近付いてくるのは敷島博士と大塚署長。

大塚署長は目の前の状況がイマイチ整理出来ずに混乱の声を上げていた。
「まったく何がどうなっているんだぁ!とにかく鉄人、あいつをボッコボコにしてやれぇ!」
鉄人は大塚署長の呼びかけに咆哮すると一歩ずつモンスターに近付いていった。
そしてお互いの拳が届く距離にまで近付いた時、戦いは始まった。

まずはモンスターが巨大な拳を振り上げる。
しかし鉄人はこれを避け、カウンターのようにして体重を乗せた一撃をモンスターの胴体に打ち込んだ。
この一撃でモンスターの胴体部は大きく陥没し、さらには殴られた衝撃で後ずさりをした。

「すごい!このパワーは反則級ですね!!」
モニタールームでモンスターを操るハカセは嬉々とした声でモニター越しに鉄人を見つめていた。
「ヤバイです!ヤバイです!モンスター、一時離脱!!」
ハカセは焦りではなく、むしろ喜びの声を上げてモンスターに命令する。

モンスターは体の底から炎を噴き出し、空中へと逃げ去っていく。
「追うんだ!鉄人!!」
正太郎の命令で、鉄人もまた背中のロケットから火を噴き空へと向かっていく。
「かかりましたね!!」
モニタールームでハカセが叫ぶとモンスターは自身を追い飛んでいる鉄人に向き直り、口を開いた。
モンスターの開いた口は閃光で輝き、次の瞬間、鉄人目掛けて直線状の光線を吐き出した。
しかし鉄人はそれを避ける事もなく、左の掌で受けると、そのままモンスターに向かって直進していった。
「行けぇぇぇぇぇぇ!!てつじーん!!」
正太郎がそう叫ぶと、鉄人は右腕を突き出してモンスターに突っ込んでいく。
そして次の瞬間、モンスターの身体には巨大な穴が穿たれ、その数秒後、彼が爆発した頃には、鉄人は青い空へと飛び去っていた。

モンスターを撃破した鉄人は一回り空を旋回すると地上にゆっくり降りてくる。
鉄人が着地すると、衝撃で道路には大きな亀裂が入り、陥没していた。
もはや周囲の人々は騒ぐ事をやめていた。鉄人28号の鬼神の如き強さは、人々を沈黙させるには十分であった。
「派手はデモンストレーションだね」
そう言って、近付いてくるのは白いスーツを着こなし、煙草を吸っている中年の男。
その隣にはおしゃれな服装をした赤毛の少女が居た。
「貴方は……」
突然の問いかけに、警戒した表情を見せる正太郎に白いスーツの男は笑顔で答えた。
「ああ、自己紹介が遅れたね、僕は高畑・T・タカミチ。悪いんだが職員室に来てもらえるかな?」

図書館島の地下、流れる滝の行き着く所、その場所に廃墟弾は存在した。
水面にその体を突き出して存在するそれは、人の言い知れぬ不安と恐怖を駆り立てる。
そんな遺物を見張る一組の男女、刀子とガンドルは廃墟弾を眺めていた。
「はぁ……」
「どうかしたんですか、刀子先生」
「こんな物が見つからなければ、彼氏とデートできたのになぁ~って」
「そんな事考えていたんですか……」
「いいじゃないですか!私が何を考えようと……まったくこんな物造った人を恨むわ」
『そうカ、なら廃墟弾は貰っていくネ』
突如図書館島に響く少女の声、ガンドルと刀子は警戒して武器を構える。

「誰だ!!この声は……まさか」
ガンドルが声の主が誰であるかを直感した直後、図書館島の地下に爆音が響き渡る。
目の前に現れた『物』に刀子は絶句し、ガンドルは叫んだ。
「なんだこの化物は!!」
『廃墟弾は私が有効活用するネ、ではお二人さん、廃墟弾は頂くヨ!!』

正太郎が連れられてきた職員室には正太郎、敷島博士、大塚署長。
タカミチ、学園長、ネギ、明日菜、刹那、木乃香が居た。
正太郎が自分達に何が起きたのかを話すと学園長は現在の状態を説明した。
今は2003年である事、現在は学園祭の期間中である事、そして魔法の事。
全てを聞かされ正太郎たちは困惑した、しかしそれが受け入れるべき現実である事だけは理解していた。

「魔法ですか……信じられません」
「そりゃそうじゃろう、敷島さん貴方は科学者じゃから信じられんのも無理はない」
学園長が髭を擦りながら答えると敷島は、苦笑いをして言った。
「ええ、でも信じるしかない。それしかないのでしょうね」
「何でワシらが未来になぞ……何故50年も先の世界に!?分からん!!何故だ!!どうしてなんじゃ!!」
大塚は混乱と不安がピークに達し、思考能力を失いかけていた。

「考えられるのは、そうバギュームだ。廃墟弾の中にあるバギュームが世界樹の出す魔力と反応してタイムスリップを引き起こした」
「博士……でもそんな事がありえるんでしょうか?」
「魔法だからね、何が起きても不思議はないさ」
正太郎の疑問に複雑そうに敷島は答えた、それを見た正太郎も困惑の色を浮かべる。
そんな正太郎を見ると木乃香が突然ある提案をした。
「なぁ正太郎君、うちとデートせえへん?」
「ええー!?」
その時、職員室にいる者は時間が一瞬止まったように感じていた。

「……って何であんたは、この流れでそういう話になるのよ!」
最初に覚醒した明日菜は木乃香の発言に突っ込まずに入られなかった。
「だって正太郎君元気ないし、それに可愛ええし♪」
「あんたねぇ……後半のほうが本音でしょ」
木乃香の回答に今度は呆れて、明日菜はタメ息を付いてしまう。

正太郎も苦笑いをしていたが、すぐに笑みを浮かべて言う。
「お気持ちは嬉しいです、でも僕にはやらなければならない事があって」
「何なのやらなきゃいけない事って?」正太郎の言葉の意味をネギは尋ねた。
ネギの疑問に正太郎は俯き加減に答える。
「まだ廃墟弾が何所かにあるような気がするんです。あのひとつだけではない気がするんです」
「……そうあるんじゃよ、今ここにのう」
学園長の突然の発言は正太郎たちを凍り付かせた。
特に正太郎は、この世の終わりとでも言わんばかりの顔で学園長に詰め寄った。
「どういう事ですか!廃墟弾がこの時代にもあるんですか!?」
「ついさっきじゃよ。図書館島という場所の地下で発見された。下手に手は出せんし困っておるのじゃ」

「学園長さん現在の状況は?」敷島博士は真剣な眼差しで尋ねる。
「湖に突き刺さっとる状態ですじゃ。今は見張りの者をおりますわい」
「湖ですか。よかったそれは好都合だ、廃墟弾は水中では効果を失うんです」
「博士殿それは本当ですかな!?」学園長は期待の眼差しで敷島を見つめている。
「ただそれなりの威力はありますから人間が解体するのは危険かと……」
敷島の言葉で、今度は落胆の表情を学園長は浮かべた。

落ち込んでいる学園長を見て、正太郎は安心してくれと声をかけた。
「大丈夫ですよ学園長さん。そのための鉄人です」
「鉄人28号で解体してもらえるのかのう!それはありがたい!」
「あの……」学園長が話し終えると遠慮気味に刹那は手を上げた。
「なんじゃね刹那君?」
「あの学園長……鉄人28号ってあのロボットの事ですか?」
「おやおや知らんのかね?歴史の教科書に出とるはずじゃが?」
「学園長、今は鉄人28号については教えていないんですよ」
そっと耳打ちをするようにタカミチは学園長に言った。
それを聞くと学園長は、敷島に目配せをし、敷島はそれに頷く。

「正太郎君……話してもいいかな?鉄人の事」
「ええ皆さんがこうやって親切にしてくださっているんだし、話さないのは悪いと思います」
「そうだね、これから話す事は戦争から60年も経っているこの時代の人には、信じられないかもしれない。
 でもこれは真実の話なんだ、全て戦争という不幸がもたらした事なんだ……」
敷島がその先を話そうとすると職員室のドアをノックする音が聞こえた。
失礼します、と大人しい声で断りを入れて二人の少女が入ってきた。
「あの……あっネギ先生!」
職員室に入ってきたのは宮崎のどかと綾瀬夕映の二人であった。

「す、すいません!お取り込み中だったんですか?」
「いやのどか君何でもないよ。用があるのかい?よかったらこっちに座らないか」
タカミチはのどかと夕映に手招きをしながら言った。
その直後……。
「入るぞ……なんだお前等、こんな所で何してる」
チャチャゼロを頭に乗っけたエヴァンジェリンが職員室に堂々と入ってくる。
またその直後に今度は背の高い少女と背の低い色黒の少女が尋ねてきた。
「皆こんなとこで何やってるアルか?」
「何か賑やかそうでござるなぁ~ではちょっと混ぜもらうでござる」
さらに「あっネギ……」「小太郎君…」
少々落ち込んだ様子の小太郎も職員室の集団に混じった。

結果的に職員室はネギ、正太郎、小太郎、明日菜、刹那、木乃香、のどか、夕映、エヴァ。
古菲、楓、タカミチ、学園長、敷島、大塚の計15人がたむろする空間になっていた。
何故こうなったのか?全員職員室にちょっとした用事ができたそうである。
「学園長、彼女達は……」
敷島が困惑の声を上げると学園長は「彼女等もその道の者じゃよ」と言った。

「で?敷島博士何か話すんじゃなかったのか?」
エヴァは椅子に座り、肩肘を突き、偉ぶった様子でそう言った。
「私の名前を知っているとは驚きだね」
「あんたはその道ではかなりの有名人だったからな」
「そうなのかい?じゃあ話そうか、鉄人28号について」
そう言って敷島は鉄人28号が何故生まれたのか?全ての始まりを語り始めた。

「太平洋戦争末期、その時日本は敗色が濃厚でね、形勢逆転を狙って鉄人計画をスタートさせたんだ。
 だけど鉄人の開発は一進一退でね、27号機まで満足な成果を得る事が出来なかったんだ。
 しかしある日、鉄人の開発者である金田先生の元に奥様とその息子さんが空襲で亡くなったと言う知らせが届いた。
 それを聞いた金田先生の心中は狂わんばかりだった……それから先生は以前にも増して鉄人の開発にのめり込んだ。
 男の子が生まれた時にと用意していた、正太郎の名前を28番目の鉄人に付けて、我が子を育てるように大切に作り上げたんだ。
 そして完成したのがもう一人の正太郎君、鉄人28号。
 だけどね金田先生は、敵国に鉄人の開発場所の情報を与え、空爆させたんだ。
 その理由は今でも分からない、だけどこれだけは分かる、金田先生が鉄人をどれほど愛していたか……。
 でもね、鉄人は空爆を生き延びて、10年の月日が経った後、巨大砲弾に載って東京に飛来したんだ。
 どんな攻撃にも耐えうる鉄の鎧に身を固め、計り知れぬ力で居並ぶ敵を叩いて砕く。
 決して倒れる事もなく死ぬ事もない、ただひたすら操縦者の意のままに戦う不死身の兵士。
 海であろうが、空であろうが、戦う場所を選ばない、ただ勝利する事のみを目的とした完全なる兵器鉄人……鉄人28号。
 だけど正太郎君は鉄人を兵器でもなく道具でもない、おなじ名前を持つもう一人の自分として大切に接しているんだ。
 そして今の正太郎君と鉄人が居るんだよ」

敷島が話し終わった時にはその場に居るほぼ全員が悲痛な顔をしていた。
そんな経緯で鉄人が作られたのかと、金田博士がどんな想いで鉄人を作ったのかと痛感させられていた。
その後を引き継ぐように正太郎が話し始める。
「廃墟弾も父さんの造った兵器なんです、生物を殺さずに廃墟だけを造り出す。
 その父さんは鉄人を開発していた南方の島で亡くなりました、母さんも僕を生んですぐに……
 僕は父さんと母さんに会った事はありません、でもやっと兄さんを見つけたんです。
 でもその兄も廃墟弾を搭載した大鉄人から日本を守るために……」

やがて正太郎は涙を流し、歯を食いしばり、そして強い眼差しで自分の思いをぶちまける
「もう…もう…もう僕は父さんの造る廃墟を!造った兵器を見たくないんです!!」
正太郎はその言葉を言い終えると涙を拭い笑顔を見せた。
しかしその笑顔とは対照的に正太郎以外の全員が涙を流し、中には号泣している者もいた。
事情を知っている敷島と大塚も沈痛な面持ちで正太郎を見つめていた。

「なんかすいません……変な事を話してしまって」
そう申しわけなさそうに正太郎は言った。
「ううん…正太郎君も苦労したのね」
明日菜は涙を拭いて正太郎に笑いかける。
その他のメンバーも涙を拭い、正太郎に微笑みかける、ただ一人を除いては。
「ネギどうしたのよ?」
明日菜が心配して声をかけるとネギは首を横に振って笑ってみせた。
「何でもありません、大丈夫です」
「そう……」

……ピリリリリ

「おや電話かのう」
学園長はそう呟くと懐から携帯電話を取り出して通話ボタンを押した。
「もしもし、さようワシじゃ……何じゃと!?廃墟弾が盗まれた!!」
「何ですって!」正太郎は叫び、そして鉄人のリモコンを持って職員室から飛び出した。



次回予告

正太郎「こいつはギルバート、サターン、VL2号!?」
ネギ「すいません、じゃあ僕達は亜子さんの所に行ってきます」
タカミチ「その方向には…まずい!ライブ会場がある!」
大塚「なにぃ!ライブ会場は満員だと!?」
ガンドル「あんな物、人間の勝てる相手じゃない……」

でこぴんロケットのライブ会場に迫る怪ロボット3体、廃墟弾を手に入れた超鈴音。
復活する怪ロボット軍団、そして鉄人28号を奪うために葉加瀬がある作戦を仕掛けてくる。

正太郎「飛べー!!鉄人!!」
鉄人28号「ガオ――!」

次回
第2話『ライブ会場の危機』

超鈴音「行くネ!オックス!!」
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。