ロード

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バンッッ!!!!!! 突然の轟音と共にドアが吹き飛ぶ。 同時に、室内を駆ける二つの影。 一方はネギの方へ、もう一方はアーカードの方へ向かう。 「ネギ大丈夫!?」 「無事ですかネギ先生!?」 影の正体はネギを守る様にして立つ少女━神楽坂明日菜━と、アーカードの首に刃を突き付ける少女━桜咲刹那━の二人だった。 自分の身を案じる言葉に対しネギは 「………………………………え?」 ………沈黙。 「プッ……ククク………つまり整理、するとだ、お前らはこのアーカードにネギがなにかされる、と思ったのか?プフフフッ」 「うう…………」 「失礼しました……」 「確かに、こんな、プッ、暑い季節にロングコートは、ククッ、変態だな……は、腹が痛い」 結局、ただの勘違いだったわけである。 「気にしないでくれお嬢さん。」 アーカードが返す。 「は~……やっとおさまった。そういえば坊や、何でここに来たんだ?」 「あ、はい。実は………」 「成程。六体の吸血鬼か。だがおそらく下級種のみか、いいとこ中級種だろう」 「?何故ですか?」 ネギの疑問にエヴァが答える 「学園に入った時には感付かれている、だがそれからは見つかっていない。つまり、逃亡時には力が感じられる程だったのが、隠れている今は力が感じられない。この程度なら坊やで充分だろう」 「本当ですか!?」 「ネギ先生、私逹も手伝います」 「あんただけじゃ心配だしね」 「いいんですか?………ありがとうございます、刹那さん、明日菜さん。じゃあ早速………」 「待て」 早速出発しようとした三人をアーカードが止める。 「『闇の福音』、お前は一つ勘違いをしている。もう一つ、その条件に合致する場合がある」 アーカードの纏う雰囲気が変わる。心なしか、サングラスで隠れているはずの眼も鋭くなっている気がする。 「……………!?ま、まさか!?」 エヴァが気付いた。いや、気付いてしまった。最悪の事態に。 「六体の内訳は、中級種三体、上級種二体。そしてロードクラスが一体」 「馬鹿な!?何故よりにもよってロードクラスを逃がした!?答えろ!!英国国教騎士団HELLSING『ゴミ処理係』不死者(ノスフェラトゥ)アーカード!!!」 エヴァは今までにないくらい取り乱していた。 逃がした吸血鬼の中によりにもよって、自分と同格、能力等の相性次第では敗北すらあり得るヴァンパイアロード━真祖、またはその直系━がいるというのだ。 常人はおろか魔法使いでも、生半可な腕では餌にしかならないだろう。 平たく言えば、輸血パックとあまり変わらない。 また刹那も、不死者という単語に反応してアーカードを再び敵として認識しようとしている。 そんな中でアーカードが言う。 「当初、こちらが追っていた吸血鬼は全部で十六。 奴はその内自分の腹心を除く十体全てを囮に使って逃亡を図った。動きは掴んでいたのだが、戦力を読み誤った。私は十体を殲滅後、もう一方に向かった。こちらに居ると思われていたロードが居なかったからだ。 そちらの処理に向かった者は駆逐され、現在傷の回復に専念している。学園に今潜伏していられるのはロードの魔力によるものだ」 「……そのロードって、どれくらい、強いの?」 明日菜がつまりながら問う。 「………全開の私と正面からやって互角だ。能力等の相性もあるから、やってみなければわからない。 基本的な能力としては、強大な魔力、驚異的な再生能力による不死性、圧倒的な膂力、身体を霧や蝙蝠に変え、吸血鬼の天敵であるはずの日光や銀を克服した化け物だ! こうなれば僅かな時間も惜しい!行くぞアーカード!坊や逹も来るんだ!今のままでは上級種にすら勝てはしない!」 「半鳥の剣士よ。私は敵ではない。これから敵………化け物との戦い方を教える」 この言葉を聞いて剣を下げる刹那。心なしか、その顔は青ざめていた。

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