「アーカード」

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ある晴れた夏の日の麻帆良学園、学園長室。 いつもと全く同じに見えるこの場所に、しかし明らかに異質な"それ"は居た。 「よく来てくれたのう。」 学園長が机の前に立つ"それ"に言う。 「元はと言えばこちらの不始末だ…………… それに、以前標的の足止めをしてくれた時の借りもある。まとめて返すのには丁度良い。」 "それ"は長髪の青年の姿をしていた。 しかし、この真夏の晴れた日に血のような真紅のロングコート、同色の帽子にサングラスという異様な服装。 極めつけはこの傍若無人な態度。 ここに他の人間が居ればこの態度を先ずたしなめたであろう。 「あれは偶然じゃったんじゃがのう。 まぁともかく、依頼を請けてくれた事に礼を言わせて貰おうかの。」 「状況を確認しよう。依頼内容はこの学園内に侵入した"標的"の殲滅、及び"標的"からの生徒防衛。」 「うむ。」 「"標的"の数は6、侵入してから約二日経過、今の所学園内での被害はなし。」 「そうじゃ。」 「しかし学園周辺では行方不明者が続出、また、付近の病院は輸血用血液パックの盗難にあっている。これで全てだな。」 「いかにも。貴方についての最低限の事は教師たちに教えてあります。 では、お願いしますぞ伯爵。それと、学園内での案内をする者を呼んで置いたので、その者と行動を共にしてもらいたい。」 「アーカードでいい。案内?」 『コンコン』 学園長室のドアをノックする音が響く。 「来たのう。入りなさい。」 「失礼します。」 『ガチャ』 そこに居たのは………少年。 赤みがかった髪に、メガネを掛け、スーツを着ている。 「はじめまして、ネギ・スプリングフィールドと申します。」 「このネギ先生に、学園内の案内及び任務の補佐を任せてある。先程も言ったが、基本的にはこのネギ先生と行動を共にして欲しい。」 「アーカードさん、よろしくお願いします!」 ペコッ、と頭を下げるネギを見てアーカードは 「成程。かのサウザンドマスターの息子か。確かにいい物を持っている。」 「父さんを知っているんですか!?」 ネギが驚いた様子で問う。 「風の噂で、な。面識は無いが。」 「そうですか………」 アーカードの返答を聞くや、先程とは一転してしゅんとしてしまった。 「…………では、ネギ先生。アーカード殿の補佐をお願いしますぞ。」 「! は、はい!」 学園長室を出て数分。アーカードがネギに問いかける。 「ここには『闇の福音』が居るそうだなネギ先生?」 「?……あぁ、師匠のことですね。」 「彼女に師事しているのか?」 「はい、魔法について教えて貰っています。 「それは運が良いな。彼女は私を何度か殺せる程の使い手だ。さぞかし上達も早いだろう。」 「はい!それはもう…………え゙!?こ、殺……!?」 「手始めに彼女の所に行こうか。情報が手にはいるかも知れん。」 「は、はい………」

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