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尖閣沖漁船衝突事件、河内謙策さん論拠の「夕刊フジのスクープ」に関して‏ ni0615 2010/09/30

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pipopipo555jp

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尖閣沖漁船衝突事件、河内謙策さん論拠の「夕刊フジのスクープ」に関して‏ ni0615 2010/09/30


河内謙策さま
昨夜一晩お待ちしましたが、お答えがないのは残念です。

(河内さま)
2010年9月28日付『夕刊フジ』は、9月8日に北京で「対日工作会議」が開催され、この中では軍事衝突は避けられないという発言も出た、とスクープしています。これは十分に有りうる話だと思います。
中国がこのように強硬な態度にでる背景には、・・・・・
ここで仰る記事と、私が貼り付けたZAKZAK記事
■中国増長、対日制裁に兵派遣 船長逮捕の翌日に決定 2010.09.27
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100927/plt1009271558002-n1.htm
これとが同じであるかどうか?
河内さんが「このような中国の強硬な態度」の例証として挙げた記事、それとあなじかどうかをお尋ねしたに過ぎません。


で今日は、河内様のお答えはないものの、両者は同一だと僭越ながら断定いたします。根拠はあります。

(1)ZAKZAKのサイトHP:http://www.zakzak.co.jp/のソースのヘッダーの宣言行にはこう書いてあるからです。
「"産経新聞社が発行する「夕刊フジ」の公式サイト、ZAKZAKのトップページです。" 」

(2)傍証としては、このZAKZAK(すなわち夕刊フジ)記事は、河内様記述
  • 「9月8日に北京で「対日工作会議」が開催され」
  • 「この中では軍事衝突は避けられないという発言も出た」
とも符合しているからです。

記事がidentifyできたのですから、当該記事についての疑問点を述べ、河内様のご見解を問いたいと存じます。





【1、記事の態様】


1-1. この記事は3重の入れ子構造になっています。一番外側は「ZAKZAK(=夕刊フジ)記者」の文章です。その内側に、ZAKZAK(=夕刊フジ)記者が受取った「加藤昭」氏の情報があります。さらにその内側に「旧知の中国政府関係者」の情報があります。

1-2. 3重の入れ子になって居るこの心象記事は、どこからどこまでが誰の言辞か、境界線が分かり難くなっています。

1-3. この記事は、「加藤昭」氏が「旧知の中国政府関係者」に電話で聞いたことを、さらに「ZAKZAK(=夕刊フジ)記者」が電話で聞いて文章にした可能性が高いものです。

1-4. ですから、誰がどこの責任を持っている情報なのか分からない記事の態様・構造を持っているといえます。

1-5. 記事内容のトレーサビリティーをわざと曖昧模糊とする、週刊誌や夕刊紙特有の「トバシ」記事かも知れない、という少なからぬ疑問が残ります。

以上を踏まえて、記事の内容に入ります。


【2、タイトルとリード】


中国増長、対日制裁に兵派遣 船長逮捕の翌日に決定
2010.09.27

 沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件は、中国の執拗かつ理不尽な恫喝を受け、日本が完全屈服するという屈辱的結果となった。しかし、中国は「謝罪と賠償」を要求するなど強硬姿勢を崩していない。「屈辱外交」を主導した菅直人首相(63)は27日、「謝罪や賠償」には応じない考えを強調したが、仙谷由人官房長官(64)が仕切る官邸には手詰まり感だけが漂っている。こうした中、中国の恫喝外交が、事件翌日の9月8日、北京で緊急招集された「対日工作会議」で決まっていたことが分かった。別名「対日制裁会議」と呼ばれた会議の全貌に、大宅賞ジャーナリストの加藤昭氏が迫った。

2-1. まずタイトルの 「対日制裁に兵派遣 船長逮捕の翌日に決定」は、リードに引き続く加藤昭氏提供の情報にもないことで、ZAKZAK(夕刊フジ)記者のトバシです。言ってないことを記事タイトルにしたということは、『捏造』に近いといえましょう。
加藤昭氏提供の情報として扱われている表現は、次のとおりです。
  • 「すでに政権内では『武力行使も排除すべきではない』との声も出ている」
  • 「・・・さながら『対日制裁会議』の雰囲気だった・・・国防部の将軍が・・・今後、軍事衝突は避けられないだろう』と発言したことがきっかけになった」
「翌日に決定」というタイトルの表現は、根拠のない「煽り」でしかないのです。

2-2. リードの部分のZAKZAK(夕刊フジ)記者の主観的な部分はここではスルーします。それは、ZAKZAK(夕刊フジ)の信条に過ぎませんから、事実の真偽評価の埒外です。

2-3. 「事件翌日の9月8日、北京で緊急招集された」は、この記事では「旧知の中国政府関係者」の言として記述されています。しかし、これは、中国の政治事情に精通している河内さんならば当然首を傾げることかと存じます。後述します。

2-4. 「別名「対日制裁会議」と呼ばれた会議」・・・一体誰がそう呼んだのですか? 別名そう呼んだのはZAKZAK(夕刊フジ)記者です。「旧知の中国政府関係者」の言としては次のように記述されています。
  • 「さながら『対日制裁会議』の雰囲気だった」

2-5. 「対日工作会議」という言葉については、中国語に精通していらしゃる河内さんや多くの方には、とっくにご承知でしょう。この言葉にはオドロオドロしさなんか何処にもないことを、後述します。


【3、加藤昭氏提供情報部分について】


ここでは記事の、
<日本政府は25日未明、中国人船長を事実上の「超法規的措置」で釈放したが・・・>から、<「だからこそ、軍事や経済、外交面から観光政策にいたるまで、次々に報復措置が取られた」>までを、
逐条的に疑問点を述べます。

3-1.  
日本政府は25日未明、中国人船長を事実上の「超法規的措置」で釈放したが、中国外務省は直後に「日本側は船長らを違法に拘束し、中国の領土と主権を侵害した。強烈に抗議する」と非難し、「正式謝罪と賠償」まで要求してきた。

《私-311》 とくに指摘することはありません。

3-2. 
それ以前も、深夜に丹羽宇一郎駐中国大使を呼び出したり、ハイテク製品に不可欠な「レアアース」(希土類)の輸出停止、日本のゼネコン「フジタ」の社員4人を「スパイ容疑」で身柄拘束するなど、中国側の傍若無人ぶりは尋常ではない。一体、胡錦濤政権内で何が起きているのか、私(加藤昭)は旧知の中国政府関係者を緊急直撃した。

《私-321》 「旧知の中国政府関係者」って一体誰なんでしょう? その後を読み解くための前提として疑問を申しあげておきます。中国政府のありように疑問をもつ反政府的「政府関係者」なのでしょうか? それとも素朴に政府側の「政府関係者」なんでしょうか? 

《私-322》 緊急直撃とはどういうことでしょうか?
イ)加藤昭氏も北京に居て緊急に密かに会いに行った
ロ)加藤昭氏も北京に居て緊急に電話した
ハ)加藤昭氏は日本に居て緊急に北京に電話した
ニ)「旧知の中国政府関係者」も日本に居て、加藤昭氏は会いに行った
ホ)「旧知の中国政府関係者」も日本に居て、加藤昭氏は電話した

他にも場合分けはあるかもしれません。
イ)は情報として確度が最も担保されますが、北京の公安当局監視の中で危険かもしれませんね。
ロ) は、記事内容がホンモノなら、北京と東京で電話が容易にできるとはおもえません。盗聴されてるかもしれない電話で、記事のようなやり取りができたということは、逆に、「旧知の中国政府関係者」が加藤昭氏に情報をワザと流した、という可能性が残ります。・・・・ということは、あまり現実味のない「緊急直撃」だったのかもしれません。

3-3.
--対日報復を次々と仕掛ける理由は何か。日中の戦略的互恵関係はどうなったのか

「わが国指導部は最初から、日本との戦略的互恵関係など期待していないし、必要とも考えていない。単なる外交上のリップサービスに過ぎない」

《私-331》 この部分の私の観想は、こういう会話ができる「週刊新潮花形ライター」と「中国政府関係者」との関係とは一体どのようなものか? という疑問です。
(加藤昭さんをGoogle検索してみてください)

3-4.
--今後も報復を続けるのか

「温家宝首相は『領土問題で一切譲歩しない』『船長の釈放ですべてが終わったわけではない』と警告している。当然のことだ。すでに政権内では『武力行使も排除すべきではない』との声も出ている」

中国政府内で「武力行使」が検討されているとすれば、驚くべきことだ。私はさらに聞いた。

《私-341》 「政府関係者」の発言は、その中味はともかくとして、彼の政権内での立場がさっぱり理解できません。

《私-342》 加藤昭「中国政府内で「武力行使」が検討されているとすれば、驚くべきことだ。」・・・この感想が先にあって、「政府関係者」の発言はそれに合わせた作文ではないか? 疑問は消えません。

3-5.
--武力行使の話はいつ、誰がどんな場でしたのか

「船長が逮捕された翌日、9月8日午前8時に緊急招集された『対日工作会議』の席だ。会議には、外交部や国防部をはじめ、公安部、中国科学技術院、社会科学院など、政府機関の代表約30人が出席した。長時間にわたり日本への報復手段が検討された。さながら『対日制裁会議』の雰囲気だった」
「武力行使は出席した国防部の将軍が『日本は新たに釣魚島(尖閣諸島の中国名)海域に1万5000人規模の兵士を増派すると聞く。釣魚島を防衛するため、わが国もそれを上回る兵力を派遣する必要がある。今後、軍事衝突は避けられないだろう』と発言したことがきっかけになった」

以前から、定期的に「対日工作会議」が開かれていたことは知っていたが、事件発生から24時間もたたないうちに開催されていたとは驚きだ。

《私-351》 ここでのキーワードは「対日工作会議」ですが、この言葉にそんなに驚くべきことなのでしょうか? 

中国語の「対日工作会議」を日本語に置き換えれば、「対日問題対策会議」「対日問題担当者会議」でしょう。河内さん、そうですよねえ。それならば我が国だって、翌日いや当日に、外務省や官邸で「対中問題対策会議(=対中工作会議)」が緊急招集されてるはずだし、むしろ招集されてなかったらソチラのほうがよっぽど大問題となるでしょう。なんで「対日xxxx工作会議」と、もっと具体的な会議名がないのでしょうか? これほど周知している「旧知の政府関係者」さんがなんで具体的な会議名を言わないのでしょうか? 「対日工作会議」なんていう一般抽象名詞を使ったこの記事に首を傾げます。

《私-352》 「会議には、外交部や国防部をはじめ、公安部、中国科学技術院、社会科学院など、政府機関の代表約30人が出席した。」・・・・・これって、日本なら首相官邸で行なわれる「関係省庁課長級連絡会議」に似たイメージですね。

《私 -353》 加藤昭氏「以前から、定期的に「対日工作会議」が開かれていたことは知っていたが、事件発生から24時間もたたないうちに開催されていたとは驚きだ。」・・・・・そんなに驚くことなんですか? これは酷すぎる印象操作ですね。たまたま定期的開催日が8日だったのかもしれないし、課長級会議を 24時間以内で開くことは、日本政府でもやるでしょう。全国から役人を集めるわけではないんですから。

《私-354》この記事を断定的に評価することはまだ禁物ですが、評価の<最高>から<最低>までを考えれば、
「関係省庁課長級連絡会議」ほどの「対日工作会議」というものが8日に開かれたという事実1つのなかに、中国政府の陰謀的要素の全てを押し込んだ推定記事だ<、
という最悪評価も残ります。

《私-355》 「釣魚島(尖閣諸島の中国名)海域に1万5000人規模の兵士を増派すると聞く。」・・・・・この情報って凄い! 何か根拠とか、それらしい気配情報はあるんでしょうか? ソースを明らかにしない覆面記事によくあるガセではありませんか?

3-6.
--レアアースの禁輸や、フジタ社員の身柄拘束も、工作会議で決定されたのか

「その通りだ。レアアースの件は中国科学技術院から、スパイ容疑での日本人逮捕は国防部と公安部からの提案で、実行に移された。これ以外に、社会科学院の研究員は『日本への最も有効な報復措置は、わが国が大量の円買いを行い、さらに円高に誘導することだ』と発言した。これも近く、実行されるだろう」

全体主義国家の恐ろしさを、まざまざと感じさせる。しかし、国務院(政府)傘下の工作会議で、対日報復のすべてが決定されるのか疑問が残る。そこで、こう聞いた。<<

《私-361》 この記事の核心的な部分です。 「全体主義国家の恐ろしさを、まざまざと感じさせる。」・・・この言葉は言っちゃったもの勝ちですが、全体主義国家が嫌いだからといって事実を見誤ってはなりません。見誤れば全体主義にカンタンに負けるでしょう。

《私-362》 「レアアースの件は中国科学技術院から」・・・・如何にもなアレですね。レアアースの所轄官庁は中国科学技術院なんですか? なにかそれを証明するものがありますか? 

《私 -363》 また、「社会科学院の研究員は『日本への最も有効な報復措置は、わが国が大量の円買いを行い、さらに円高に誘導することだ』と発言した。これも近く、実行されるだろう」・・・・社会科学院の研究員がこのような、日本の反中国街宣者が喜びそうな単純なリップサービスを言うでしょうか? こちらも、中国の為替管理が社会科学院の管轄である証拠があったら教えてください。

《私-364》加藤昭「全体主義国家の恐ろしさを、まざまざと感じさせる。しかし、国務院(政府)傘下の工作会議で、対日報復のすべてが決定されるのか疑問が残る。」・・・・事実を曇らせない為に、加藤昭さんには、扇動的な文言よりもコチラを優先させて欲しかった。

3-7.
--胡国家主席はこれを是認しているのか

「当然だ。これまでもそうだが、対日工作会議での提案は討議後、ほぼすべて中国の最高意思決定機関である中国共産党政治局常務委員会に上げられている。今回も胡国家主席をはじめ、党指導部は報復案を支持し、政策として容認している。だからこそ、軍事や経済、外交面から観光政策にいたるまで、次々に報復措置が取られた」

つまり、中国は、党と政府、軍、民間などが一体となって、民主党政権になって弱体化が顕著となった日本に襲いかかっているのだ。

《私 -371》 「これまでもそうだが、対日工作会議での提案は討議後、ほぼすべて中国の最高意思決定機関である中国共産党政治局常務委員会に上げられている。」・・・・順序は逆じゃあないんですか? 政府省庁連絡会議みたいな「対日工作会議」は、共産党の最高意思を受けてその指示で、対策を検討するのではないですか? 中国政治に造詣の深い河内さんはどうお考えになりますか? 中国共産党政治局常務委員会に上げるような秘密検討をする「対日工作会議」はその会合自体が秘密であって、政治局常務委員会内の実権者の会合ではないでしょうか?

《私-372》 この一節は宝井馬琴の講談といってもよい、よく出来たお話として聴こえます。


【3、加藤昭氏総括部分について】


最後に残る部分は、加藤昭氏による総括なのか、ZAKZAK(夕刊フジ)記者の総括なのか、その折衷をZAKZAK(夕刊フジ)記者が書いたのか、なんとも解釈し様がない部分です。

 一方、中国側の強硬姿勢の背景に、「胡錦濤政権内の複雑な権力闘争の存在」(米国務省筋)を指摘する向きもある。来年、胡主席が退任することもあり、「領土問題で日本に譲歩する姿勢を見せれば、党や政府内だけでなく、国民からも『弱腰』とののしられ、国家運営に支障が出かねない」(同)という。

 いずれにせよ、菅政権は中国首脳とまともなパイプもなく、核心的情報すら入手できず、恫喝に脅えて中国人船長を屈辱的に釈放した。菅首相や仙谷官房長官は「釈放は那覇地検の総合的判断」などと、自分に火の粉がかからないよう必死に弁明しているが、世界のメディアは、「屈辱的退却」(ニューヨーク・タイムズ)、「弱腰」(英BBC)、「白旗投降」(韓国YTNテレビ)などと、あざ笑った。

 民主党政権が口先ばかりで、自国の領土や国民の生命財産すら守れず、日本人の威信をズタズタにするだけなら、一刻も早く、政権の座から下りるべきである。

《私-3》 この部分は政治的主張ですから、事実検証の埒外ですのでここでは論評をいたしません。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

河内謙策さま

以上、愚直に記事を読み解いてみました。
こうやって分析してみると、この記事に書かれた記事の確度を担保するものは、加藤昭氏の著名度が最大のものではないかと思います。あるいはまた、河内様のような著名な方の「記事に書かれていることは充分ありうる」というお墨つきが、記事を担保してしまうかもしれません。日常に忙しい多くの人はそうやって信じていくでしょう。

しかしそこに大きな陥穽を感じます。

私は、領土紛争は「火遊び」だと思っています。そして、それを煽るものは「放火魔」だと考えます。中国にも日本にも「火遊び」をする連中がいて、中国にも日本にも「放火魔」がいます。少なくとも「平和」を口にする People(人民、あえて国民とはいわない)は、「火遊び」から「放火魔」まで、理性を忘れた自国の政府、政治家、マスコミに、厳しい目を向けるべきだと信じています。

夕刊フジ=ZAKZAKの記事は、「放火魔」のひとりだと私は感じました。
精細なる事実の構造によって、厳しい反論をくだされば幸です。

ni0615拝


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