経済指標用語


PPI(生産者物価指数)

物価を表す指数の一つ。
生産者の出荷時点での価格の変動を示します。つまり、生産者による商品やサービスの売値の変化です。

実際のPPIは業種別(Industry-based)、商品別(Commodity-based)、製造過程別(Stage-of-processing based)の指数が発表されます。中でも注目されているのが、製造過程別のPPIです。製造過程別PPIはその過程により、完成品(finished goods)、中間財(intermediate goods)、原材料(crude goods)に別れています。

この中でも特に完成品のPPIがマーケット参加者などから注目されています。通常ニュースなどで、PPIという場合には、完成品PPIを指していることが多いようです。マーケット参加者は、この数字を他のインフレ指数を併せてみることで金融政策の行方を見極めようとします。

PPIは商品の価格の変化を売り手の側から測るものです。一方、消費者物価指数(CPI)は、消費する側、つまり商品やサービスの買い手の側から見た価格の変化です。売り手と買い手の価格は政府による補助金、税金、物流コストなどにより差が生じます。

日本の経済統計の中でこの指標に最も近いものは日本銀行が毎月発表しているWPI(卸売物価指数)ですが、日本のWPIは卸売段階での価格であり、流通コスト等が含まれています。一方、米国のPPIは物流コストなどを含まない生産者の出荷時点の価格です。


CPI(消費者物価指数)

物価を表す指数の一つ。消費者物価指数は消費者によって購入された商品やサービスの価格の変化を示すものです。

対象となる商品は200のカテゴリーに及んでおり、これらが8つの主要グループに分けられています。この8つのグループというのは①食品と飲料、②住宅、③アパレル、④交通関係、⑤医療、⑥リクレーション、⑦教育とコミュニケーション、⑧その他です。水道などの公共料金は含まれていますが、投資商品の価格(株式、債券、保険など)は含まれていません。

毎月発表されます。


(米雇用統計の)非農業部門の新規雇用


米国の非農業部門雇用者数は 「nonfarm payrolls」と呼ばれるもので、非農業部門の事業所の給与の支払い帳簿(これが nonfarm payrolls)をもとにして集計されます。
金融市場で米国の景気状況を知る上で、最も注目されている指標の一つです。
米労働省の雇用統計のページはこちらです。

小売売上高(Retail Sales)

米国の消費動向をみるうえで重要な指標です。数字は、 約13,300の小売業者を対象に、郵送でアンケート調査を行い、その結果をまとめたもので、前月比、前年同月比の増減が注目されます。


ECI (Employment Cost Index) 「労働コスト指数」

物価を表す指数の一つ。

労働コスト指数は、賃金、給料および企業が従業員に支払う給付金を含む報酬コストの変化を測定するものです。

労働省(the U.S. Department of Labor)が毎月発表しています。基準値は1989年6月であり、この月の労働コストを100として計算されています。

消費者物価指数や卸売物価指数、あるいは石油価格など他のインフレ指標等と合わせて経済へのインフレ圧力の動向を見るのに使われます。


PMI(米サプライ管理協会)指数

PMI指数

ISM(Institute of Supply Management)米サプライ管理協会が発表する指数で、景気先行指数として金融市場で注目されています。
英語ではISM BUSINESS SURVEY と言います。
400社以上の企業の購買部に対して、新規受注状況、受注残、輸出受注、輸入、生産、供給者の配送状況、在庫、雇用、価格についての状況が前月と比較して変化したか、どう変化したかをアンケートした結果です。
市場はこの中で製造業業況指数、新規受注、生産を特に重視しています。
この指数には製造業部門の指数と非製造業の指数があります。


消費支出

北米の消費者の支出動向を測るデータです。

データはアンケートにより収集されます。このアンケートは①日誌サーベイと②インタビューサーベイの2種類があります。

日誌サーベイでは、回答者は2週間にわたり毎日支出を日誌のように記入します。家計簿をつけるようなイメージです。この日誌サーベイは、食品や日用品のように購入頻度が高く、時間が経過してしまうと何をいつ買ったか覚えているのが難しいものについてのデータを入手するために実施されます。

インタビューサーベイにおいては、回答者はインタビューを受けて、質問に応えます。インタビューは18カ月間に3カ月ごとに5回のインタビューを受けます。このサーべイは、不動産、自動車のように3カ月以上経過しても、消費者が購入を覚えているような主要品目についてのデータを収集するために実施されます。

労働省が毎月発表します。

GDP

GDPとは、英語のGross Domestic Productの略である(ちなみに、GNPは、Gross National Productの略)。

「GDP」と言われて即座に分からない人でも、「GNP」と言われると、「ああ、高校で習ったあれのことか。三面等価とかあったな」と合点がいくに違いない。勿論、DomesticとNationalの違いに見られるように、両者は厳密には異なる概念であるが、あまり本質的な差異ではないので、本稿ではその違いの詳細に立ち入ることはしない。ただ、近年では企業などの国際展開に伴い、国内の経済活動をより正確に反映するとされるGDPを用いるのが殆どであることは銘記しておきたいところである。

昔、私に金融指標の成り立ちを教えてくれた先輩が「あらゆる指標はGDPに通じる」と言われたが、まさしく、あらゆる景気指標の王様と言えるのがGDPである。例えば、「景気の動き」と俗にいうとき、GDPの動向が念頭にあることが多い。「経済成長率」というときも、このGDPの前年比の伸び率や前四半期からの伸びの年率換算を指している。一般に政府はGDPをなるべく高く持っていくように政策を発動する。中央銀行も、インフレを起こさない範囲内でGDPの望ましい水準を確保しようとする(ここでは、このような人為的・裁量的な方法で本当に景気がコントロールできるかという経済学上の大問題があるが、これも深入りは避けよう)。

さて、GDPの正体は、「一国の付加価値の総体」である。ここにいう「付加価値」とは、企業などが生産した金額から投入に要した「中間投入」を差し引いたものをいう。例えば、ある企業が資本や労働、原材料を使って、80のものを100で売ったとした場合、その差額がGDPのもととなる。それがその企業が新たに創造した「価値」になるわけである。景気指標としてのGDPについては、概ね以上の理解で差し支えない。

ところで、「景気指標の王様」という割には、あるいはマスコミが騒ぐほどには、金融市場関係者においてGDPの占める位置はそれほど高くないのが実状である。その最大の理由は、GDP統計の発表される時期が遅いからである。GDPが発表される頃には、当該四半期の主要な経済指標は殆ど発表されており、景気の状況は概ね分かっている(例えば、アメリカでは、GDPは当該四半期の終わった一ヶ月後の月末近くに発表されるが、その直後には次の四半期の最初の月の雇用統計が発表されるので、材料視されないことも多い)からである。とはいえ、政府が経済政策をいじるのは、GDPやその関連指標(デフレーター)が発表された後であることもあるので、意味のある指標として、投資家は常にその監視をおこたってはならない、といえよう。


短観

日銀が発表している資料のうち、最も注目度が高い経済指標であるが、その成り立ちは案外知られていない。数字が「一人歩き」しやすい指標の一つとも言えよう。

「短観」の数字はいわゆるDiffusion Indexと呼ばれるもので、基本的には前の期と当期とを比べて「良くなった」か「悪くなった」か「横這い」かをアンケート形式で答えてもらい、その結果として「良くなった」と回答した人から「悪くなった」と回答した人を差し引いた数字を指数としたものである。このように算出されるということは、プラスの数字が大きければ大きいほど(あるいは、現在の景気にあてはめると、マイナスの数字がゼロに近づけば近づくほど)、企業が経営状況が好転していると認識していることを意味し、直感的にわかりやすい景気のバロメーターとして重宝がられている。市場では、多くのエコノミストや経済調査機関がこの数字の「当てっこ」に相当の精力を割いており、この数字の発表がせまると(特にほかに要因がない限り)市場は総じて動きにくくなる。発表後は、この数字が予想の範囲内かどうか、市場のコンセンサスの数字との乖離等で相場は様々に動くこととなる。

短観には、主要企業やそうでない企業、製造業や非製造業等の区分があり、それぞれが市場で注目されているが、主要企業の製造業の数字がまだ一番注目度が高い。新聞の夕刊のトップを飾るのは大抵この数字である。しかし、プロのエコノミストにとっては、設備投資計画等の改定状況がどうなっているかも注目材料であり、情報の宝庫である。

この短観の数字は今でこそ日銀が作っているが、その昔、日本興業銀行(IBJ)が作っていたという。そのIBJ自身も、ドイツの著名経済調査機関であるIFOのインデックスを参考にしたということである(但し、IFOの数字はマンスリーに発表される)。経済指標の国際交流を考える上で興味深い。

また、これも余談に近いが、この指数の動きは概ね非常にスムーズに景気の山谷や景気の拡大局面、後退局面を当てている。だからこそ注目度も高いわけであるが、その動きがスムーズに過ぎるため、とりまとめにあたっている日銀が数字を操作しているのではないかとの憶測もある(もちろん、日銀は否定している。


鉱工業生産

経済産業省が発表している経済指標の中で最も注目されているものの一つである。

この数字は毎月発表されているが、翌月段階では「速報」、翌々月に「確報」が出るので、厳密に経済を分析したい場合、その間の数字の改定にも注目する必要がある。ただ、注目度が高いのは、「速報」のほうである。

経済がこれほどサービス経済化しているのに、今更「鉱工業」の数字に注目する必要があるのかと疑問に思われる向きもあるかも知れないが、鉱工業生産の数字は生産・出荷・在庫という景気循環の基本を体現しており、限界的にも、景況感に大きな影響をもたらすので、やはりはずせない基本指標である。

本稿の執筆時点では、企業のストック(設備を含む)調整が話題になることも多いので、在庫の動向、生産と在庫の相対関係が注目されている。後者に関して言えば、生産活動が上向き、前向きの在庫を企業が積み増す局面、景気がピークをうち、徐々に意図せざる在庫が積み上がる局面、在庫調整を進める中、生産活動も停滞する局面、と景気の上昇・下降を判断する上で重要である(これがいわゆる3~4年のサイクルを持つといわれる「在庫循環」である)。

利用するにあたっては、非常にふれが大きい指標であることに注意すべきである(そのふれをならすため、移動平均をとることも多い)。また、統計の作成上、基準時の品目の生産をある専門的な方式(ラスパイレス方式)で計測しているため、時間が経つにつれて新製品の登場により、生産活動が実態より低く出てしまうことがある。そのためもあり、5年ごとに基準時が変更されるようになっている。


マネーサプライ

マネー・サプライ(M2+CD)=通貨供給量

お金の流通量を表わすものさしで、経済活動がいかに活発に行われているか、またこれから行われようとしているのかに密接な関係があり、この指標を景気の先行指数ととらえるエコノミストも少なくありません。

マネー・サプライ指標はいくつかのカテゴリーに分類されていますが、その代表的なものが「M2+CD」と言われるもので、主に金融機関以外の民間企業・個人が保有する「現金」と「預金(定期性預金を含む)」の合計と、銀行の発行する「譲渡性預金(CD)」の合計で表わされます。この指標は毎月日本銀行から発表され、前年比の伸び率で判断されます。

1997年11月の山一証券破綻後、金融システム不安が高まり、民間企業が手元資金を増加させ、個人もいわゆる「タンス預金」を増やしたために、お金の流通量が急減しました。また、銀行の不良債権問題が深刻化し、不良債権を減らすために、民間企業向けの貸し出しを厳しくしたことも、流通量を減らす要因となりました。

しかし、長引く不況を反映し、未だ民間企業からの資金需要は弱いものの、主要銀行への公的資金投入を受け金融システム不安が後退、個人資金は預金などへ戻りつつあると見られています。また、今年2月以来日銀が、景気浮揚策として超金融緩和策(いわゆる「ゼロ金利政策」)をとっており、民間への資金供給をかなり大きくしていることから、マネー・サプライ(M2+CD)はその水準を回復してきています。

また、日銀のさらなる金融緩和の手段として、マネー・サプライの前年比伸び率に目標値を設定し、それに向けて通貨の発行量を増やすべき(いわゆる「量的金融緩和」)との議論もあります。


家計調査

総務省から発表される家計の支出の統計で、個人消費の動向を表わす代表的な指標です。調査方法は、サンプルとなる家計に家計簿をつけてもらい、その支出を月ごとに集計したものです。勤労者世帯(サラリーマン世帯)と非勤労者世帯(年金生活者・自営業者など)の支出とに大別されています。サラリーマン世帯の支出は翌月の最終週、非勤労者世帯及び全世帯の支出は翌々月の前半に発表されています。

また、家計支出は、経済企画庁が発表するGDP(国民総生産)の約60%をしめる個人消費の元となっており、この動向が各四半期のGDPの動向を予想する上で重要なウェイトをしめています。

さらにこの統計のなかには、「消費性向」(各月の消費額を可処分所得で割ったもの)という指標が含まれており、消費者の消費意欲の強さを表わすものさしとされています。金融不安が高まった1997年末から1998年前半にかけて、消費性向は過去最低水準に落ち込み、消費者の不安感の強さを投影しました。

最近は、金融システム不安の後退、緩やかながらも景気が改善していることから、消費性向は1997年11月の山一証券破綻以前の水準に戻ってきています。ただし、雇用環境の悪化は今後も続くと考えられており、個人消費が急速に改善していくことは難しいと言われています。


雇用統計

雇用を示す代表的な指標はなんといっても、近頃注目を集めている完全失業率でしょう。この数値だけは上がってもよろこべません。これは働く意志があるにもかかわらず、職についていない人の割合で、景気にとっては遅効指数とされています。

平成11年に入り、失業率は毎月のように過去最高値を更新し、今後もまだ上がることが予想されています。企業がリストラを進めており、過剰人員を整理することが予想されるからです。特に最近は、ホワイト・カラーの失業者の増加が深刻化しつつあります。日本の伝統的な雇用形態である、年功序列賃金・終身雇用制度が崩れつつあることを象徴していると言えるでしょう。また、失業率の上昇と背中合わせに、就業者数・雇用者数の減少が目立っています。

政府も最近の雇用情勢の悪化を深刻にとらえており、すでに数々のセーフティ・ネットを構築してはいるものの、一時的な救済策にすぎず、根本的には、新規産業の活性化とそれに伴う人的ニーズが期待されるところです。また、米国とは失業率の定義に若干違いがあるものの、今年に入って日米の失業率は逆転しています(日本が米国を上回っている)。


有効求人倍率

失業率と並び雇用状況を示す指標が有効求人倍率です。求職者数を求人数で割ったもので、求職者1人に対し、どのくらいの職のニーズがあるかという割合です。倍率が1を上回っていれば、少なくとも求職者1人に1つ以上の求人ニーズがあることとなり、下回っている場合には、求人が不足していることを意味します。

失業率の悪化にも現れているように、昨今の雇用環境は厳しく、有効求人倍率は1を大きく下回った状態が続いています。

平成11年に入り、過去最低値を更新しつつあります。また、失業率が景気の遅効指数であるのに対し、この統計の中に含まれている新規求人数は、景気の一致指数と捉えられ、注目されています。


機械受注

文字通り機械メーカーの受注額で、翌々月の10日前後に内閣府から発表され、設備投資の先行指数とされています。企画庁では、機械受注統計が2ないし3四半期、設備投資の動きに対して先行していると言っています。

統計の中で主に注目されているのは、振れ・額ともに大きい電力・船舶のための受注を除いた民間需要で、季節調整後の前月比で比較します。ただし、受注統計であるため各月の振れが大きく、単月では判断しにくいところもあります。そこで、毎月の数字とともに、四半期ごとの前期比の推移でトレンドを見るエコノミストも多いようです。また、企画庁では四半期の結果が出る月には、翌四半期に関する聞き取り調査を行っており、その予測値が発表され、これも注目されています。

数年前までは、半導体関連投資が設備投資の牽引役とみられていましたが、最近では情報化時代を反映し、情報通信業などからの受注がウェイトを伸ばしつつあります。しかし全体では、企業が過剰設備をかかえていることもあり、設備投資は低迷が続いています。


第3次産業活動指数

第3次産業、つまりサービス産業の活動を指数化したもので、経済産業省から毎月下旬に発表されます。経済産業省によると、鉱工業生産が全産業の活動の20%強をしめているのに対し、第3次産業の活動は約60%をしめており、全産業の活動の中で最も大きなウェイトとなっています。 産業別の内訳は、電気・ガス・熱供給・水道業(3次産業全体の約5%)、運輸・通信業(同13%)、 卸売・小売業および飲食店(同33%)、金融・保険業(同10%)、不動産業(同7%)、サービス業(同32%)となっています。

全産業活動指数

経済産業省が、第3次産業活動指数とともに毎月発表しているもので、「供給サイドからみたGDP」(通産省)といわれています。

特に四半期ベースの変化は、GDP(経済企画庁が発表)と関連が深く、通常GDPよりも早く発表されるため注目を集めます。主な編成は、鉱工業生産指数が20%強、第3次産業活動指数が約60%と、こおの二つの指数で約80%を締めます。

ただし、「X-12-ARIMA」(休日・曜日要因を除く手法)で季節調整されるため、ここで示される鉱工業生産指数は、通常発表されているものとは数値が異なります。(鉱工業生産指数の統計資料の中には「X-12-ARIMA」を用いた数値も載っています。)

他に、農林水産業(1.8%)、建設業(8.1%)、公務等(8.2%)といった項目があります。


卸売物価指数

消費者物価指数とならび、物価動向を見るための代表的な統計です。日本銀行が公表しています。

国内物価指数・輸入物価指数・輸出物価指数、およびこれらを過重平均した総合的卸売物価指数からなり、上旬(1-10日)・中旬(11-20日)・下旬(21日以降)、および月全体の指数が発表されます。特に、国内物価指数は、景気インフレ状態にあるのか、デフレ状態にあるのかの判断に大きな影響を与えます。

現在日銀は、「ゼロ金利政策」を「デフレ懸念が払拭されるまで継続する」と言っており、今後の日銀の金融政策を見る上で、重要な統計を言えるでしょう。

技術革新や規制緩和が長期的な物価押し下げ要因である一方、為替レートが輸出入物価に大きな影響を及ぼします。1995年の100円を超える円高によって、輸入物価が大きく低下し、その安価な輸入品との競合を余儀なくされた国内商品の物価も下がったのは記憶に新しいところです。

また、長引く景気の低迷による需給ギャップ(需要に対し生産能力が過剰である状態)の存在が物価の上昇を妨げていると見られています。


住宅着工

該当月に着工された建築物のうち、住宅の着工状況(戸数、床面積の合計)を構造、建て方、利用関係、資金等に分類して把握するための統計です。住宅を建設する(あるいは購入する)多くの人が住宅ローンを利用しますから、住宅着工は金利動向の影響を大きく受けます。

工事別の分類では、新設かその他かに区別されます。新設は新築住宅、その他は増改築ということで、増改築の場合、住宅の戸数は増加しないため、新設と区別されます。

資金別の分類では、これらの住宅がどの資金で建てられたかによる区別です。民間、公営、公庫、公団、その他に分類されます。

建設工法別分類では、在来工法、プレハブ工法、枠組壁工法(=ツーバイフォー)で分類されます。

利用関係による分類は、その建築主が自分で居住する目的で建てる「持家」、賃貸目的の「貸家」、会社などが社員を居住させる目的で建てる「給与住宅」、建売や分譲目的の「分譲住宅」に分類されます。



建設工事受注総額

建設工事受注総額・・・建設会社が受注した建設工事の総額

国土交通省が毎月発表する統計で、建設会社が受注した建設工事の金額が発表されます。統計は、大手企業50社の受注を示す「建設工事受注A調査」と地方の建設会社470社の受注状況を示す「建設工事受注B調査」 があります。前年同月と比べて増加したか、減少したかを見ます。増減は前年同月比で見ます。

A調査もB調査も、民間からの受注と官公庁からの受注に分類されています。民間受注は更に業種別に分類され、官公庁受注は国、地方に分類されます。建設工事受注総額が減少した要因がどこにあるのかを見るためには、これらの小分類の数字を見ることも大切です。

官公庁からの受注については、国の予算に大きく左右されます。景気低迷時でも、景気刺激策として大型の補正予算などが組まれると、受注が増加してきます。不況時には企業の設備投資が削減され、民間の受注が減少する傾向があります。この数字は、公共事業と民間設備投資に大きく左右される建設業界全体の動向をつかむことができ、大手50社の前年比だけでも建設株を検討する上で指標となります。


大型小売店販売額

経済産業省が毎月公表する統計で、平成9年4月分より、「商業動態統計速報」と「大型小売店販売統計速報」の公表が同時・一元化され、「商業販売統計速報」として公表されています。

大型小売店の業態は百貨店とスーパー(セルフ店)に大別され、それぞれ衣類品、飲食料品、その他という3品目別の前年同月比増減率が示されます。百貨店は衣類、スーパーは飲食料品を主力商品としていることも参考にしてください。

衣料品は更に、婦人・子供服・洋品、紳士服・洋品、身の回り品、その他の衣料品に分けられ、百貨店、スーパー別にそれぞれの動向が挙げられます。 その他の品目としては、家具、家庭用電気機械器具、家庭用品、その他の商品、食堂・喫茶に細別され、百貨店、スーパー別に前年同月比増減率が調査されます。

大型小売店販売額は、その他の商業販売統計と共に、景気予測に用いることのできる個人消費の動向を表わします。大型小売店販売額はまた、景気とほぼ一致して動くので、景気の現況を表わしているといえるでしょう。、 百貨店の売上としては、日本百貨店協会が発表する「全国百貨店売上高」「東京地区百貨店売上」も参考にすることができます。



新車登録台数

日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表する統計で、「新車月別登録台数」は軽自動車を除く新車の毎月の合計登録台数を、「新車登録・検査(販売)台数」 は登録された乗用車(普通/小型)、トラック(普通/小型)、バス(普通/小型)、軽自動車(乗用/トラック)の台数と合計を年度別に示しています。

雇用・所得環境などに大きく左右される消費マインドは、自動車の需要にも大きな影響を与えます。例えば、個人消費の落ち込みや消費マインドの萎縮にはいろいろな原因がありますが、これらは新車の生産台数や販売台数に反映されます。

更に、車種別の統計からは、景気を反映した需要シフト(例えば、「小型・軽」への需要シフトや低価格帯の車種へのシフト)を窺うことができます

。トラック等の自家車以外の車の需要は、輸送・生産活動の状態も表わします。普通のトラックと軽トラックでは主力ユーザーが異なることも考慮に入れて参照してください。

自動車販売協会連合会のホームページでは、自動車統計データとして、月別度新車販売台数、RV系販売台数、オートマチック付乗用車販売台数、車種別新車登録台数、新車月別統計表、新車登録・検査台数、中古車車種別登録台数を公表しています。それぞれの統計から、異なる面からの景気の動向をみることができるでしょう。



景気動向指数

景気動向指数は、「景況感」を客観的に表わす指標です。DI(ディフュージョン・インデックス)とも呼ばれており、生産、雇用、売上など様々な景気指標の中で、上昇を示している指標の割合を示しています。また、景気動向指数は、経企庁の発表する景気の山・谷の判定に用いられています。

DIには、「先行指数」、「一致指数」、「遅行指数」3つがあります。「先行指数」は景気に先行して動く指数、「一致指数」は景気とほぼ一致して動く指数、「遅行指数」は景気に遅れて動く指数です。

各々、50を超えるかどうかが判断の基準になります。例えば、先行指数が50を超えていれば、景気は将来上向くことを示唆しているととらえられます。一致指数が50を超えていれば、現在の景気が上向いていることを意味します。



商業販売統計

商業販売統計は、商業を営む事業所(百貨店、チェーンストア、スーパーマーケットなどの大型小売店、コンビニエンス・ストアなどを含む)の事業活動の動向を明らかにすることを目的とした統計で、経済産業省が毎月発表しています。

統計は、商業販売額(合計)だけでなく、業態別に小売、卸売り、大型小売、コンビニエンスストア毎の販売額も発表されます。

消費動向をつかむ上で注目される数字です。

同様の統計としては、百貨店協会が発表している全国百貨店売上高があります。



景気ウォッチャー調査

地域ごとに景気ウォッチャーを決め、景気動向を迅速に把握することが目的の聞き取り調査で、内閣府が毎月発表しています。経済統計は集計に時間がかかるため、数字が明らかになるには1-2ヶ月かかるため、足元の景気動向の把握を補うものとして2000年1月から開始されました。調査は毎月25日から翌1日にかけて行われ、20日前後に発表されます。

北海道・東北・関東・東海・近畿・九州の6地域を対象とし、各地域100人、合計600人のウォッチャーを選定。メンバーは、飲食店経営者やタクシードライバーなど、家計動向・企業動向・雇用などを反映する多岐にわたる職種から選定されている。

調査の内容は、「家計動向」・「企業動向」・「雇用」について、

1)景気の現状、及びその理由
2)景気の先行き、及びその理由

を聞いている。

また、「良い」「やや良い」「どちらともいえない」「やや悪い」「悪い」の5段階で評価してもらい、「良い」-「悪い」で指数(DI )を算出している。



毎月勤労統計

賃金・労働時間・雇用状況に関する統計。厚生労働省が、従業員5人以上の約33,000事業所を対象に調査している。毎月月末近辺に、前月の調査結果(速報値)が発表され、その後翌月中旬に確報値が発表される。

賃金:毎月の現金給与総額(額、前年比)と、その内訳が調査されている。内訳は、きまって支給する給与(基本給中心の所定内給与+残業代などの所定外給与)と特別に支払われた給与(ボーナスなど)にわけられる。また、夏・冬のボーナス支給額もそれぞれ、9月分・2月分と一緒に公表される。

労働時間:毎月の総労働時間(時間数・前年比)と、所定内労働時間・所定外労働時間の内訳が発表される。特に、所定外労働時間(残業・休日出勤など)は景気の一致指数ともいわれ、景気の転換時期を探るうえで注目が高い。また、毎月の出勤日数も発表される(調査にはパートタイマーも含まれるため、日数も増減がある)。

雇用状況:常用労働者数(常用労働者とは、1ヶ月を超える期間を定めて雇われている者で、調査期間の前2ヶ月にそれぞれ18日以上雇い入れられた者)。また、常用雇用者は、一般労働者とパートタイム労働者にわけられる。さらに、入職率・離職率も算出され、労働移動の状況がわかる。



最終更新:2006年10月24日 23:06