きっかけ by 243さん



上田は奈緒子の秘部に触れた。
少しずつ指が入っていく。
「ああ、っはぁ…う」
奈緒子は上田の指をすんなりと受け入れた。
熱く、きつく締め付けられ、上田も息を荒くする。
「…痛いか?」
「っ…少し…でも、気持ちいい…」
奈緒子は恍惚の表情で上田を見上げて微笑む。
上田は指を奥まで進め、くちゅくちゅと音をたててかき乱した。
「はっん、そんなっ、するな…音がっ…」



恥ずかしさで感じたのか、また奈緒子の秘部から愛液が滴り落ちる。
上田は指を二本に増やす。
処女であろう奈緒子に自分の巨根。
苦しむのはわかっているが、少しでも苦痛を減らしてやりたい。
「んん…!イタッ…」
「…我慢してくれ、頼む」
指二本でこんなに苦しませて…。
どうしたらいいのだろうか。
空いている左手で胸を撫でてみた。
時折乳首にキス。
少しでも緊張が和らげばと、丹念に指先を這わす。
「…あっ、あ…はぁ」
表情が少し穏やかになった。
奈緒子にはまだ早いかもしれないが、上田の巨根はもう限界が近い。




早く奈緒子の中に入りたい…!
「もう…いいか?」
奈緒子は一瞬戸惑いの表情を見せた。
入れるのはまだ怖いのかもしれない。
上田は少し後悔し目を閉じた。
「あの…私、初めてだから、上手くできないかもしれないけど…」

???
…そうか。

奈緒子は、フェラチオをしてくれと言っているように解釈したらしい。
いや、それもしてほしいといえばしてほしいのだが…。
躊躇していると、奈緒子が起き上がって正座した。
「…下、脱いでくれますか…?」
「そう、だな…」
奈緒子の服はさっさと脱がせたというのに、いざ自分となると
なぜこんなにも気恥ずかしいのだろうか。
上田はベッドを降り、奈緒子に背を向けてベルトに手をかけた。
下だけ脱ぐのも間抜けなので、シャツも脱ぎ去る。
ベルトを外し、ジッパーをゆっくり下ろした。
ズボンとトランクスに手をかけ、そっと後を振り返る。
先程まで着たままだったスカートを脱いだ奈緒子と目が合った。
奈緒子は気まずそうに目を逸らして髪をいじっている。
「…よし…!」
小声で気合いを入れ、ズボンとトランクスを一気に下ろした。



振り返り、奈緒子と目が合わないようにベッドに座る。
奈緒子は驚いているだろう。
こんなに大きくて、それにいつにも増して反り立っている。
怯えているかもしれない。
「い…いいですか?」
「あ…あぁ」
奈緒子が屈みこんだ。
指先が触れた。
長い髪が足を撫でる。
吐息がかかる。
唇が触れる。
そして。
「…おおうっ!うっ…」
「…あむ…んっ…んん」
先の方を銜え込み、舌を這わす。
奈緒子は精一杯口を開け、全部を口に入れようとした。
「!!うげほっ、ごほ…うぇ、はあ…」
奈緒子はベッドに倒れこむ。
涎を拭ってやり、上田は奈緒子を座らせて背中を擦った。
「悪かったな…無理はするな」
「…でも、私も…上田さんのために、してあげたくて…」
奈緒子は涙目で上田を見上げた。
…こんなにも愛されているなんて。
上田は奈緒子の頬に触れ、顔を近付けた。



お互い目を閉じ、そっと、唇が触れる。
上田は唇を離し、奈緒子を見据えた。
「…本当に君が好きだ。今日まで気付かなかったことを申し訳ないと思う…
君がいるだけで、俺は幸せなんだ。愛しているよ」
我ながらなんだかクサイ台詞だ。
奈緒子は俯いている。
引いたのだろうか?

「…だから、あれだ…そうだ。たとえば…フェラが、できなかったとしても!
君の愛で補えばいいじゃないかー!はっははは…」
変なことを言ってしまったと後悔して引きつった笑いを浮かべる。
…なんなんだ、俺は。
「…ふふふっ」
奈緒子は俯いたまま肩を震わせた。
「上田さん、焦りすぎですよ。せっかく感動してたのに…」
奈緒子は目尻に滲んだ涙を拭いて顔を上げた。
「私も、上田さんとずっと一緒にいたい。
フェラも…できるようになるまで、愛で補いますっ」
奈緒子は上田の肩をポンと叩いた。
笑顔で見つめあい、二人はもう一度唇を重ねる。
先程とは違い、長く、深いキス。
上田が奈緒子の口を開かせ、舌をねじ込む。
奈緒子はそれに応えるように懸命に上田の舌に絡み付いた。



口を離すと、二人の唇の間に糸が引く。
奈緒子は上田の唇を舐め、にっこり微笑んだ。
「…入れていいか?」
「…はい」
奈緒子は再び仰向けに寝転ぶ。
上田は特注のコンドームをしっかり装着した。
「…よし。いいか!」
「どんとこい!」
言い放ってみたが、やはり怖くて足が震える。
目をぎゅっと閉じている奈緒子を見て、上田は額に口付けた。
「力を抜くんだ、…奈緒子」
「う…。よし…」
名前を呼ばれ、奈緒子は少し気恥ずかしそうに息を吐いた。
上田は自分のモノを奈緒子にあてがった。
心配になり少し指で触れてみると、十分に濡れている。
もう一度指を二本入れ、かき回した。
「あっ!…あっああ、はぁんっ!気持ち、い…ああん」
指を抜き、大きく息を吸う。
「入るぞ!」
先端をゆっくり、ゆっくり入れていく。
「あぁっ!いたァッ…やあぁっ」
奈緒子は痛みに顔を歪ませ、シーツにしがみつく。
なんとか半分ほどが入った。
まだ半分。
奈緒子の苦痛はまだ終わらない。



「…少し、動くからな」
とりあえず半分だけでも出し入れしてみることにした。
少し腰を引き、ぐっと押し込む。
「っあ!痛い…馬鹿ぁっ」
「馬鹿とはなんだ…おおうっ」
上田は腰を力強く前後させた。
奈緒子が苦しんでいるのはわかっているが、もう何度も限界に近づいている。
これ以上理性を保つのは難しい。
「あっあっ、んやぁっ…!
なんか、変…っ」
奈緒子も最初は痛がっていたが、段々と苦痛の中に快楽を感じ始めていた。
上田のモノは更に深く挿入されていく。
「…っ、奈緒子、少しだけ我慢してくれ…!」
上田は腰を引き、思い切り打ち付けた。
「やぁぁっ!はぁっ、あ…痛ぁ…っ」
奈緒子の秘部から、愛液に交じって紅い液体が流れる。
上田は満足そうに微笑み、奈緒子の頭を撫でた。
「…全部、入った…痛かったか?」
「痛いに決まってんだろ!…まさか、こんなに大きいとは…」
…可愛い奴だ。
上田は奈緒子にキスしようと体を傾けた。
同時に奈緒子の体が跳ね、顔を押し退けられる。
「馬鹿!動くなっ…」
少し動いただけで、奥のほうが刺激されるらしい。



奈緒子はもう痛みを感じなくなっていた。
「奈緒子…好きだ…!」
上田は再び腰を動かし始めた。
愛しいという気持ちをすべてぶつける。
「はんっ、ああ…私も、私も好きっ…!大好きっ!」
奈緒子は上田の首にしがみ付いた。
同時に奈緒子のそこがぎゅっと収縮する。
「…っ出るぞ…!」
上田は奈緒子を抱き締め、一段と強く突き上げた。
「ああっっ!」
「くっ…」
長く抑えられていた欲望が、ようやく放たれる。
奈緒子の震える体を優しく抱き締め、上田は目を閉じた。
とどまることなく射精は続き、終わった頃には奈緒子は力尽きて眠ってしまっていた。
「…っ」
奈緒子の身体から、名残惜しそうに自身を引き抜く。
それは奈緒子の愛液でてらてらと輝きを放っていた。
上田はゴムを処理し、奈緒子の隣に寝転ぶ。
「…ありがとう、奈緒子」
奈緒子の頬に口付け、そっと抱き締めて布団をかぶる。
奈緒子と一つになれた。
上田は喜びと感謝の気持ちでいっぱいのまま、眠りについた。



どれほどの時が経ったのだろう。
上田は電話のベルの音で目を覚ました。
日差しが眩しい。
時計を見ると、11時20分。
随分寝入ってしまったようだ。
ふと、ベルの音に交じってシャワーの音が聞こえた。
奈緒子が入っているのだろう。
奈緒子を抱いたことを思い返しながら、放ってあった服を着た。
まだ電話は鳴り止まない。
大事な用件なのだろうか?
上田は誰にも邪魔されず余韻に浸りたかったのだが、仕方なく受話器をとった。
「あ…もしもし、昨日はお世話になりました。高松です。」
昨日、夕食をご馳走になった女性からだった。
「どうも。…何かあったんですか?」
上田は不機嫌そうに尋ねる。
高松という女性を、上田はあまり良くは思わなかった。
自分で呼んでおきながら調査の邪魔ばかりして、あげくの果てに
「あの現象は私の勘違いでした」で終わっていたのだから。
「…実は、貴方の料理に媚薬を混ぜたんですよ…
お食事の後お部屋に貴方を誘おうと思っていたのに、
いつのまにか帰ってしまわれてて」
上田の分の料理…上田はもちろん、
隣に座っていた奈緒子も上田の皿から勝手にとって食べていた。
まさか、昨夜の行為は媚薬による一時的な性欲の増長によるもの?



奈緒子を愛しいと思ったのも気の迷いだったのだろうか。
そして、奈緒子が自分を好きと言ってくれたことも。
「今夜、会えませんか?あ…怒ってます?
私、先生の本を読んで…憧れてたんです、それでつい…」
受話器からの声も全く耳に入らない。
呆然としていると、背後から元気な声が飛び込んできた。
「上田さんっ、おはよーございます!お風呂借りちゃいましたよ。
ほら、汗かいちゃったしな!
何か冷たい飲み物とかないのか?」
彼女なりの照れ隠しだろうか。
奈緒子は無駄にオーバーアクションでまくしたてて冷蔵庫の戸をあけた。
上田は無言で電話を切り、奈緒子を見つめた。
薬のことは言うべきか、言わざるべきか…。
「あ、烏龍茶発見!いただきまーす。
…上田さんも飲みます?」
「…あぁ」
奈緒子は烏龍茶の缶を二本両手にとり、右肩で冷蔵庫の戸を閉めた。
笑顔で駆け寄り、右手を差し出して上田に缶を手渡す。
「…はいっ!」
上田は缶を受け取り、ソファに腰掛けた。
奈緒子も続いて隣に座り、上田の肩にそっともたれかかる。
奈緒子は照れ臭そうに足をばたばたさせ、嬉しそうに缶を空けた。



「…奈緒子、昨日のことなんだが…」
「…昨日と今日で態度が違うとかいうんですか?」
お茶を一口飲み、怪訝な顔で奈緒子が見上げる。
「いや、その…」

上田がどきまぎしていると、奈緒子は缶を見つめてぼそぼそ話し始めた。
「昨日は、なんか…恥ずかしくて。
上田さんに対して弱音吐いちゃったから…。
美味しいもの食べたから、気が緩んでたのかな。へへ」
上田は何も言えずに、奈緒子の横顔を見つめていた。
奈緒子はまた一口お茶を飲み、笑顔で顔を上げる。
「でも、おかげで上田さんに好きって言えました。
もう一生言えないかと思ってた」
奈緒子は缶をテーブルに置き、上田の腕にぎゅっと抱きついた。
…そうだ。気の迷いなどではない。
二人にとって媚薬は、一歩踏み出すための触発剤にすぎなかったのだ。
この愛は、紛れもない真実。
上田は確かめるように奈緒子を抱き返す。
「…愛してる」
「私も、ずっとずっと愛してます」

何度もキスを交わし、暖かい光に包まれるベッドに二人は再び体を預けた。
いつまでも、愛を確かめ合っていた。


<完>


最終更新:2006年09月07日 09:59