ピラニア


「あぎゃあああああああっ!!?」
「なんだ、どうした山田」
どうしたもこうしたもない。上田が動くと・・・その、ソレがゆらりと揺れる。
嫌でも目に入る。
最悪だ。最悪の初体験だ。
こいつはいきなり全裸になって当たり前だとでも思ってんのか?
おおかた歪んだ知識しか持ち合わせてないからこんな蛮行に出るんだ。間違いない!

 ・・・いやいや、私だってこういう方面はからっきしダメダメだ。
もしかして私が間違ってて、ほんとはやっぱりこうやって脱いでくるもんなのかも・・・

口をあけたままで放心してる私を見咎めた上田さんが、どうやらようやく状況を理解した。
「YOUどうした、何か変か?」
「あああああの、その、普通、その・・・全部脱ぎますか普通、こういうとき」
「・・・違うのか・・・?」
でかい図体を傾げる。
ついでに、ソレも一緒に傾ぐ。
「ちがう、気がするんですけど」
たぶん。
口の中で、もごもごと付け足す。

 ・・・沈黙。

「そうか、違うのか・・・ハハハ!ああっやっぱり画像教材は飽くまで教材でしかないのか!くそうっこんな大事な局面で失敗するとは俺って奴はなんて情けないんだ・・・もっと実践に適した教材を集めて吟味して」
「黙れ木偶の坊」

腹筋の浮き上がる腹に、体重をこめてひじを叩き込む。
ぐほ、とくの字に折り曲がるからだを、ため息をつきながら眺めた。


ああ・・・どうしてもこうなっちゃうわけか、私たちは。

だから、きっかけが必要だったんだ。
揚げ足を取り合って茶化しあってばかりの私たちが、
すこしだけ前に進むための、エッセンス。
それがハルさんの薬だって言うのがもんんんんのすごくシャクだけど。
そんでもって、薬の力借りたって結局こうなっちゃうっていうのが、もっとシャク。

よし決めた。もう茶化さない。
女になるんだ、山田奈緒子!
ふぁいと、いっぱーつ!

「フハハ、効いたぞ今のは・・・腕を上げたな山田」
ゆらりと起き上がる上田(まだ全裸)。
よし、行け!今だ!言うんだ!
全裸に突っ込むんじゃないぞ!さっきまでの雰囲気を取り戻すんだ!

「それほどでも。ところで上田さ」

「・・・仕返しだ、な」

突然、天地が逆転した。
少し固めのスプリングに背中が押し付けられる。
さっきも感じた感触。でも今度は逃げられない。
本能でそれを悟った。

「や、何するんだっ」
「何じゃないだろ山田」
「・・・上田さん」

「するんだよ、これから、俺とYOUが・・・セックスを」

やっぱり
最終更新:2006年09月06日 04:31