ルームメイト脱却



目を開ける。唇は重なっていた。
山田は目を白黒としている。失敬な!でも当たり前か。

唇を離す。

「、ッ!?な、何するんですかっ!!きゅ、急にっ!」
「・・・じゃあ急じゃなかったらいいのか?」
「そ、そういう事じゃ!」

彼女の顔は真っ赤である。
そして逃げ腰。






分かっている。
今、自分が彼女にとってはおかしく見える事も。
今、自分がこれから彼女に何をしたいのかも。
理解している
でも――最早やめられない。

彼女の肩を掴んで立ち上がり、くるっと体を捻り彼女を今まで座っていたソファーに押し倒した。


分かっている。
俺は山田奈緒子が好きなのだ。





「う、上田ッ さっきから一体何を・・・っ!」
「youが悪いんだ」
「何が!」
「普通、男女が一緒に暮らして何も起きない訳ないだろ」
「・・・お前、過ちは嫌いじゃなかったのか」
「ほう、言うじゃないか」
もう一度口づけた
「・・ッ」
彼女が俺の腕を掴んで爪を立てる。
不思議と痛みを感じなかった。







「っ・・・はっ・・」
彼女の唇は温かく、ほのかに石鹸の匂いがして。
何度も口付けては離してまた唇を貪る。
舌も入れて口腔を掻き回して

罪悪感も感じなかった
何故今までしなかったのだろうか、と思うぐらいだった。


唇の端から垂れた唾液をそのまま唇でなぞり 顎に、舌を這わす。そのまま下に。





ふむ・・・・

そして欲に身を任せる。





「う、上田」
彼女が着ているTシャツの裾を左手で。
「や、なっ」

白い肌が見えた。触るとじっとりと汗を掻いている。
右手を滑らす。みぞおちからゆっくりと。そっと

「や、うえ」
Tシャツの下からだんだん胸があらわになってきた。

「・・・思った通りだ」
そうぼやいた。

見えた胸。やや小さい。微々たる量という訳ではないが矢張り小さい。
肌は白く。中心部は淡い桃色。色づいて。

掌にすっぽりとはまった





「、う 上田ッ!!!」
急に響いた大きな声。

視線を白く可愛い胸から山田の顔にずらす。
山田の顔は紅潮していた

「なんだ、やめて欲しいのか?」
「・・・・いえ」
「それは出来ない・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
 ・・・・虚を突くということはこういう事だ。あと、驚くと目が飛び出るというのも。いや出ないけど。
目の前の女は今 何を言った?空耳か?いやいや落ち着け落ち着け俺!聞き違いだろ!


「は?ってそんな真面目な顔しなくても」
「・・・あ、当たり前だろ!お前この状況分かって・・・!」
「じゃあするなよ」
その通りである。




「で、でもべ、別にいいですよ?だ、抱いても」

 ・・・・やっぱり今日という日はなんなのだろうか
ドッキリか?矢張りラブコメなのか?
あああああああああ錯乱してきた。

「い、い、い、いいと は?」
「取りあえず落ち着け」
彼女が冷静な目で言った。

今更だがムードなんて最早ない。ぶち壊れた。





「な、なんで」
「だって今更です、よね」
「今更って」
「いつかこうなるとは思ってたし」
「こうなるって」
「だから覚悟は出来てたんです、さっきのはびっくりしましたけど」
「さ、さっきって」
「だーー!自分で考えてください!」

彼女は顔を赤らめて俺から視線を外す。


えーっとつまりOKなのか?




「だ、抱いていいのか?」
「・・・自分で考えてください」
「本当に」
「執拗いです」
「すまん、」
「あ、で、でも」
びくッ

「するならここは嫌です」


正直 突如展開が変わった気がする。
言葉も足りてない気もする。
彼女はいつかこうなる事を予測していたのか?あ、そうだって言っていたな
俺が襲う事も理解してたのか?あ、今更だろって言っていた

つまり(執拗いようだが)いいのか?




頭がくらくらしている。
矢張り少しこの状況に信じられなくて彼女に口づけた。

受け入れられた。抵抗なんて微塵もなかった。


「いいのか?」
「いいって言ってるだろがこのスケベ」
「だっておま」
「執拗いんですって堂々巡りしてます!待ってたんですよ!」
「・・・・・は」
「そ、そのお前が手出してくるの!」


急転直下。180度回転したような展開。

「う、上田さんが好きです」


気絶するかと思った。



「だから、その。いいんです」
恥じらうように山田が、奈緒子が言った。

 ・・・だったら何を躊躇う事がある?男を見せろ何故ベストを尽くさないのか?どんと来い!

「you・・・」

抱きしめた







「好きだ」

最終更新:2006年09月05日 13:16