ルームメイト脱却 by 347さん

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一緒に。生活。を。初めて。えっと。2、・・・・1ヶ月と29日。そしておそらく18時間、になる。

そんな事を上田は自宅のユニットバスに入りながら考えていた。
風呂の温度は丁度良いぐらい。ようやく風呂についている給湯器の使い方を覚えたのかあの山田め。
最初はどうなることかと思ったが。・・・それだけ彼女がこの生活に慣れたということか。
 洗濯機も使えるようになった(なんと山田の家には全自動洗濯機がなかった!)
 電子レンジも使えるようになった(なんと山田の家には電子レンジもなかった!)
 ビデオデッキも使えるようになった(使わした覚えはないのに人のビデオに水戸黄門録りやがって!)
 飯も作れるようになった。(意外とあいつは料理を作れた、大方 おかあさんのおかげである)
今では当たり前の用にバイトに行っては家に帰ってくる。
バイトがクビになっても家に居て家事をしたりテレビを見たりして呑気にすごしている。

まるで妻、のような振る舞い



 ・・・・妻か。
とか思いつつも ないのだ。
本当に、 ないのだ
触れることが。



男女が夜にするせ、性行為もなければき、キスもない、手を繋いだことも!
買い物は一緒に行ったりする。インチキ霊能力者を倒すのもいつも通りで
で、でもそれだけ以上だ。これではただのルームメイト扱いだ。

俺は少なからず、いや少し、・・・針の穴ぐらい あ、あいつに好意はある。
好きだと思う、将来を見据えて け、結婚したいとは思ってる。子供も欲しい。
せ、SEXもしたいとは思う。あいつと。

「・・・独白でなに照れてんだ。ガキじゃあるまいし・・・」




『上田、なにぶつぶつ言ってるんだ』

び、びくっ
ジャバッ、
 突如聞こえた声に(タイミングが良さ過ぎた)俺は軽いパニックを起こしそうになって
 風呂に0.1秒ほど溺れそうになった。落ち着け、落ち着くんだ俺

「ゆ、youか・・・なんだいきなり。覗きに来たのか?」
『・・・馬鹿かお前は。服。服をベットの上に置き忘れてたから持ってきただけです。
 そしてたら上田さんがぶつぶつ行ってたんで。』
「ぶつぶつだと?」
『はい、なんか るーぅむ?メイトとか針の穴がどーとか・・・自覚してなかったのか?』


バッシャーン!!






『上田さん!?』
「い、いやなんでもないッ!なんでもない!!」
『?』
思った事を俺は完全に口に出していたのか。・・・え、ちょっと待て。
「ゆ、you俺が言ってた事は全部聞こえていたのか?」
『え?ああ、いえ。声が風呂の中からの所為でかで反響してて聞き取り難かったので。
 叫ぶ声とかは聞こえましたよ』
 ・・・一安心。ルームメイトは叫んでいたのか。針の穴も。いやそれは横に置いて。

『まぁいいや、じゃあ私行くんで。のぼせるなよ。』
山田のシルエットが浴室のガラスから消えた。

ほら。この通り。何もない。(今の会話でなにがあるんだ、という突っ込みは無視する)





「you出たぞ」
長い黒髪のシルエットがこっちに振り返る。
「おう、出たか。お前遅いんだよ毎回。男の癖に」
「お前が早すぎるんだろ。女の癖に。子供みたいに5分で出てきて」
「五月蝿い!私はそれぐらいで充分なんだ。」
山田が俺の横を通り抜けて浴室へと向かった。

 ・・・会話は同居中の恋人っぽい。ぽいが、
矢張り一緒に暮らすのだから風呂も一緒に入るのが普通ではないだろうか・・・?




「いや、それは早すぎるだろ」
自分に自分で突っ込みつつ、冷蔵庫のドアを開ける。


  ・・・・ドアポケットに入れておいた牛乳がない。


ばっ、とテーブルを見る。 そこには牛乳パック。
手に取ってみる、・・・・軽い。

「あいつ・・・」
俺がどれだけ風呂上がりの牛乳を楽しみにしているのかわかってんのか!

 ・・・この前も勝手に飲みやがって!最近、牛乳は高いんだぞ!しかも高いのに需要がないからってらくのう農家では
真新しい、おいしい牛乳が捨てられていくんだぞ!毎日!毎日!あいつ分かってるのか!
これは怒らなければ。同居してるとはいえ、ルールというものはある。

そのまま、俺は浴室に向かった。もうあいつの事だから出ているだろう。







ばん! 浴室のドアを開ける。中で服を着替えているのだろう。
   (この前浴室の前で体を拭くから床がびしょびしょになるのを怒ったばっかりだ。浴室の中で拭くように俺は言った。
    以後床は濡れなくなった。これはちゃんと聞いたのだ)


「おい山」

見てしまった。

最終更新:2006年09月05日 13:03