石原の憂鬱2


頭をしたたかにハンドルへぶつけて、ファーーー、と、クラクションが間抜けに鳴り響く。
「 フェ、フェラチオってわれ・・・そがなこと教えられるか! 」

何を言い出すかて思やぁ。こいつはほんもんの阿呆じゃ!
「 まさかわれ、兄ぃにもそがなこと頼んだんじゃなかろうな? 」
「 頼んで、断られました 」

ファーーーーーーー

「 近所迷惑だぞ、石原!」
「 誰のせいじゃ呆け!! 」

狭い路を迂回し、人気の無い小さな公園の路肩へハザードを着けて車を停める。本来じゃったら職質対象の不審車両ばりばりじゃが
其処はイザとなりゃぁ国家権力、職権乱用じゃ。

「 ・・・教えてくれるんですか!?くれないんですか!?」
「 ・・・なんでわれにわしがそがなことを教えにゃいけんのだ?・・・そこらへんの男に頼めや。」
すると山田は自信満々の笑みでこちらを指す。

「 そうそうそこらへんの・・・わしかい! 」
「 頼むっ!一生のお願いだ!このまま上田にお子様言われて引き下がるわけにはいかんのだ! 」
「 な・・・」

――結局、センセか。何じゃ、痴話げんかかしょーもない。
それでも、何か、胸んとこがチクッとしよった。何じゃ、この年で。

「 まぁ、ええが、わしゃやる時はスパルタじゃけぇな、後で泣きを見てもしらんぞ!」
「 合点承知。どーんとこーい!! 」

とことん、色気の無い女じゃのう、コイツは・・・・。


運転席のシートを後部座席のぎりぎりまで倒して、そこへ寝そべる。

「 潜れや。」
「 ――ン?ど、何処に? 」
「 察し悪いのォ、足元じゃ、足元。 」
「 ああ、成る程。そこへ潜ってこう、・・・こーする訳か。」

手で、男のブツをしごく真似を無表情にしくさる。――これじゃ、センセも堪らんな。そもそもわしはコイツで勃つかどうか・・・。
――胸もいっつもいっっっつも貧乳貧乳言われてる位じゃけ、寄せて上げてもA´って所かも分らんなぁ・・・。
そがなことを思うとると、山田はいつン間にかわしの足元できしゃっと体勢を整えとった。

然しこうして、暗がりで見る女は中々好きじゃ。長くてしっとりしてそな黒髪がサラサラ肌の出とるとこへ掛るのがぞくぞくして来よった。

「 開けぇや、チャック。」
「 ――えっ、わ、私が? 」
「 早ぅ。・・・はい、ごー、よォん、さぁん、にぃ・・・ 」
「 あー、はいはいはいはい 」

安値で買っただけ在って質の悪いジッパーに手間取って山田は情け無ぅ眉を寄せとる。フックを外し、意地悪なチャックが漸く開いて、
草臥れた豹柄のトランクスが現れると、山田は開口一番、

「 趣味わるっ 」
「 じゃかましィ。・・・それも下せ。 」

今度はじっくりと待っちゃる。戸惑った表情があどけのうて、中々可愛い。――いかん、勃ってきよった。

「 うわっ 」

下した途端に飛び出すけえ無理も無い。また暫く固まって、やけにまじめげな顔してわしのモンを摘んでくる。

「 センセと比べたらそりゃ違うかもしれんが、中々じゃろ。――ほら、咥え。 」

躊躇いがちに近付いてきよる唇の赤さが、これ以上無く猥らに見えた。


最終更新:2008年09月06日 00:50