夏服プレゼント

by 530さん



  「また来たのか上田。帰れ」
  「まあそう言うなよ。今日は君に素敵なプレゼントがあるんだ」
  「何。神戸牛?松坂牛?」
  「肉しかないのか。そうじゃない、いつも着たきりすずめの君のための夏服だ」
  「嘘つけ、どうせいつかのようなイラらしい下着だろ。さっさと帰れらないと箒で掃きだすぞ」
  「フッ。これを見てもそんな扱いができるかな?」
  「あ。……可愛い」
  「でしょ?汚れないよう、新品の下着も持ってきた。まあ着てみなさい」
  「ちょ、ちょっと!」
  「おおう!いいじゃないか…フッ、フフッ、髪が乱れてしまったな、まとめてあげよう」
  「気安く触んな。おいっ」

  「フフフ、フッ…思った通りだ、フッ…では次はこれだ」
  「何この霧吹き」
  「構えてみて」
  「はい?」
  「くるりとこっちに振りむきながら両手で可愛く構えるんだよ!俺を狙うようにだ!」
  「ど、どうしたんだ上田」
  「うるさいっ。言うとおりにすればたんまりと高級焼肉を奢ってやるぞ」
  「えっ…」
  「三田牛だろうが米沢牛だろうが思うままだ…」
  「死に物狂いでがんばります!教授!」
  「よし。……そう!そのポーズだ!もうちょっと肩をすくめて!」
  「はいっ!こうですね!」
  「いいぞ!やればできるじゃないか、山田!」
  「エヘヘッ。実力ですよ」

  「よーしよし。…そうだ!そこで笑う!」
  「……わ、笑う?」
  「そうだよ。爽やかかつ新鮮に、しかも愛らしくだ!」
  「え…エ、エヘヘヘヘヘッ!」
  「だめだこりゃ」
  「おいっ」
  「全く、使えない奴だな…このド貧乳めが」
  「な、なんで笑顔が微妙なぐらいでそこまで言われなきゃならないんだ!」
  「笑顔が可愛くないなんて、女として致命的だとは思わないか。ん?」
  「頭も根性も悪い上に友達のいない巨根の童貞男よりはセーフだと思います」
  「貴様…」
  「何だ。やるかっ」
  「痛え!…霧吹きで殴るな!」
  「このバカ上田め!さっさと出て行け、警察に訴えるぞ!」
  「やめろって。痛い!…わかったよ。帰るよ」
  「早くそう言えばいいんです」
  「帰るから、返せよ。その服と下着と霧吹きと髪ゴム」
  「ええっ。これもう私の物だろ」
  「何勝手な事言ってんだ。それは俺が買ったんだからな、俺のものに決まってる」
  「やだ。一度身につけたものは私のものです」
  「そうか」
  「はい」
  「わかったよ。実力行使で取り返すしか無いってことだな」
  「はいっ?」
  「フフッ…っておうっ!やめろ!だから霧吹きで殴るな、刺さる!」
  「もう二度と来るなよ、いいな」
  「………ジュワッ!」

  「あーせいせいした。タダでいろいろ手に入れたし、今日はいい日だったな!…ん?んんっ!?……ここに置いてた私の服…と下着……どこに…?……上田!おいっ、待て上田ー!!!」
最終更新:2008年08月29日 01:38