アダルトリック

3




教祖達が去り、ぐったりとしている奈緒子にそっと人影が忍び寄る。
山田「イヤ、もうイヤ。」
上田「しっかりしろ、俺だ。日本科技大教授の上田だ。」
山田「上田さん!やっと来てくれたんですか?」
上田「助けに来た。ほら服も持ってきた。」

服を着る奈緒子はふとある疑問に気が付く。
山田「上田、いつからいたんだ?」
上田「助さん格さんのあたりからかな」
山田「ずっと見てたんですか?」
上田「いや、楽しそうだったから」
矢部「俺は早くイケっていったんやで」
すっと矢部、石原も顔を出す。


山田「矢部、お前も見ていたのか?」
矢部「アホなことを。俺は見てへんで。見とうもないわ」
石原「でもアニィ、最後にうっかりハチベエが出てきたのにはビックリ
したの~」
山田「やっぱり見てたのか…もうお嫁に行けない。」
上田「それは大丈夫だ。俺が責任を持つ。それより、大変なことが分
かったんだ。」
上田はここの女性達が薬物で興奮状態にされていることを説明した。
山田「薬物って私も?」
上田「そうだ。今の君の場合は眠っている間に薬物を飲まされ上、あの
ローションみたいなものに媚薬をしこんで粘膜に塗りこんだんだ。で、
イカされたんだよ」
山田「でも、それじゃ、最初に私がおかしくなったときの説明がつきま
せんよ。あの時私は何も飲んでいないし、塗られてもいませんから。」
上田「それさえ解明できれば…・・」
矢部「お、お話中申し訳ないですが、ちょっと腹具合が悪うて、トイレ
行ってきます。」
石原「アニィ、昨日のナマガキかの?」
山田「勝手に行け」


そんな話しをしている時、教祖が現れる。
教祖「おやおや、みなさんお揃いで。なにか分かりましたか?」
教祖に続いて、男達が入ってくる。
教祖「あまりへんな言いがかりをつけるようであれば、警察を呼びますよ」

「待て待て~い」
トイレで脱糞終了の矢部がズボンを上げながら帰って来た。
矢部「警察ならここにおるで。おまえらがなんかいかがわしい商売している
ことはこっちもわかっとんのじゃ。後は上田先生にその証拠を・・アッ、
…その証拠を見つけてもらえばおまえらは・・アッ、終わり・・アッ・・
なんじゃ…ア~ン…」


山田「矢部さん?」
矢部「ウッ、アッ…・」
上田「矢部さん?どうしたんです?」
石原「トイレから出てきたらこんなんになったんじゃ~。アニィ~
   どうしたんじゃアニィ~…ドットコム。」
山田「キャッ!矢部さん、勃ってますよ」
矢部「見ないで…・」
その時ピーンとひらめいた。

山田「矢部さん、トイレってもしかして女子トイレに入ったんじゃないですか?」
石原「そうじゃ、男の方が清掃中だったからのう。」
奈緒子は教祖達に向かってあの名セリフを付きつける。

山田「お前達の悪巧みはすべてまるっとお見通しだ」

上田「一体なんなんだ?」
奈緒子が謎解きを始める。


山田「何故、ここを訪れた女性達の多くが薬物を混入された形跡もないのに
淫らになるのか?それは、トイレにあったんです。」
上田「トイレ?」
山田「トイレットペーパーですよ。ペーパーに粉末状の媚薬を塗りつけて
おくんです。女性はトイレに入れば必ず紙を使いますからね。自然と
粘膜に混入できるってことです。私も捕まる前にトイレにいきましたし。
矢部さんはタマタマ女子トイレに入り大をしたために、肛門の粘膜から
入ってこんな状態になっているんです。」

横ではズボンをおろし、一人でしている矢部の姿があった。石原は涙を
流しながらそれを隠していた。一通りの儀式を終えて丸めたティッシュ
をポケットに突っ込みながら矢部が話し出す。

矢部「試してみてわかったで、相当な媚薬、いや、薬物や。続きは署で
ゆっくり聞こうか」

こうして教祖達は連行された。マンションにもどった奈緒子達は
少しきまずしさが漂う雰囲気の中で無口だった。


山田「私が淫らになったから怒ってる?」
上田「怒ってないよ」
山田「ホントは怒ってるでしょ?」
上田「怒ってないよ。だいたい、YOUがなにをされようと俺が怒る必要
もない。俺は世界一の物理学者なんだ!」
山田「やっぱり怒ってるじゃん。」
上田「くどい!」
山田「そうそう、私がお嫁に行けないって泣いた時上田さん『それは俺が
責任をもつ』って言いましたよね。あれどういう意味ですか?」
上田「まあ、あれは、その…あれだ。まあ、いいじゃないか」
その口を塞ぐ様に奈緒子が唇を重ねる。奈緒子の目には涙が溢れている。
上田も奈緒子を抱きしめる。
上田「奈緒子…。」
キスのあと、上田は奈緒子をもう一度抱きしめる。
奈緒子は上田の手の中で安堵の眠りに落ちた。

山田「これにて…一件……落着………」
奈緒子の寝言に上田が微笑む。

部屋には暖かい日差しが降り注いでいた。   完。
最終更新:2006年10月21日 23:35