湯あたり by 267さん



 ・・・もしや私は迂闊なことをしたんだろうか。
明かりはベッドスタンドだけなのに、
(あの音がするとつくやつだ。どこかで見た気がする)
上田の顔は妙にはっきりと見えた。
いつもと変わらない・・・はずなのに、
すぐに返事ができない。
こんなに上田の顔をずっと見ているのは
初めてなんじゃないだろうか。
「・・・昼間の返事、真面目に考えちゃだめか」
「どういうことですか」
「俺に触られるのが嫌じゃないって言ったよな」
「言いましたね」
「触っちゃだめか・・・いや、その・・・なんだ、
 セ・・・」
「リーグ。合併問題にゆれてますね」
 「じゃない!おまけにパリーグだ!・・・ああ、だからこうだ!!」
上田の腕が私を抱きしめる。



俺たちはいつだってそうだ。
本音を隠して、はぐらかして、
素直になったかと思ったらまたひねくれて。
両方素直にならなきゃ始まらない。
「君と・・・セックスしたい」
いまさら隠してもどうにもならない。
抱きしめた山田の肌が心地いい。
情けないが、理性が煩悩に根負けした。
だが、山田が妙に愛しいのは煩悩だけのせいじゃない。
 ・・・こういうことを言うのは、やはり気恥ずかしいものだ。



そうつぶやいた上田が妙に小さく
(体が小さく見えたのではない。態度のことだ)
思えて、なんだかこっちが恥ずかしくなる。
抱きしめられているので
見えるのはベッドスタンドに照らされた天井ばかりだ。
だが様子から察すれば、きっと上田の顔は耳まで真っ赤なのだろう。
「俺は正直に言ったぞ。・・・youも正直に言えよ」
はぐらかせない。顔が熱い。
心臓の音が上田に聞こえそうなぐらいうるさい。
「俺は・・・いつまでも我慢できるほど
 大人じゃないんだよ」
何をいっていいかわからない。ただ、上田が妙に愛しい。
 ・・・こういうことを書くのは、ちょっと気恥ずかしい気がするけど。
さっきみたいに、上田に抱きついてつぶやいた。
「嫌じゃないって言ったじゃないですか」




以上が、今現在までの回想だ。

首筋にキスをして、
山田が心なしか青くなっていたのは
気のせいかもしれないと思った。
さっき抱きしめた時だって暖かかった。
心地いい体温と肌。女の匂い。今までずっと触れたことのなかった裸。
ともすればずっとなでていたいと思ってしまう。
くすぐったいのか、頭を抱きしめかけたり、
俺の背中に手を回す山田が面白い。
触るたびに、体がぴくりと反応する。
声も色を帯びてくる。



くすぐったいのか、体の心が疼くというのかわからない。
徐々に頭の中が霧に覆われるみたいだと思った。
ぼんやりと、ただ真っ白になって、
触れ合う肌からの刺激だけが鮮明だ。
最初のうちはそんな感覚だけで十分だったのに、
なんだか核心をえない、というか。
上田はただ肌を撫で回して、それに口付けているだけなのだ。
「・・・上田さん」
「何だ」
「その・・・まだなんですか」
「何がだ」
何がって、そんなこと決まっている。
私が口に出せないでしかめ面をすると、
ふっと笑って言った。
「もう少し待ってくれ。いい匂いがするもんだと思ってな」
そういってまた首筋に口付けた。



「・・・上田さん、いいかげ」
言いかけて、唇がふさがれる。
口の中に舌が入ってきて、私の舌に触れる。
こんなキス、やったことがないから、息をどうしていいか分からない。
頭がぼおっとする。体の心がしびれてくる。



口を離してやると、艶っぽい息をする。
当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが、
こいつは女なのだなぁ、などとあほなことを考えた。
直ぐにまた深く口付けて、唇を吸い上げる。
苦しいのか、息をしたそうにもがくが、
そんなことはお構いなしだ。
 ・・・趣味がサディスティックだって?
こっちだって長い間お預けを食らってきたのだ、
それくらい許されてもいいだろう。



突然、あそこに何かが触れた。
驚いて手で退けようとしたが上田が腕を上手に押さえ込んで
びくともしない。
それが指だと分かって、顔に火がつきそうなほど恥ずかしかったが
キスしているし、腕も自由が利かないからどうにもできない。
 ・・・これって、完全に上田のペースに
飲まれてるんじゃないだろうか。




抵抗する山田を押さえつけ、
指で花弁をいじる。
本当は間近で見たいところだったが
さっきの膝蹴り然り、足技が怖い。
手を離すと殴られそうなのでそれも怖い。
 ・・・山田が怖いというのはここら辺にしておこう。
すでにそこは濡れ始めていた。
秘部のさらに奥に指を伸ばす。
初めて入ってきた異物を、そこはしっかりと締め付ける。
指一本だけなのにこれだけ締め付けて、
規格外の俺のモノが入ったらどうなるのだろう。

最終更新:2006年09月17日 13:29